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世代間格差や世代間対立を煽るような内容も含まれているが、シニア層において、預金であれ債券類であれ多額の金融資産を保有している世帯は限られている。優雅な世帯があることは否定しないが、70歳代で高級服を買える層は限られている。
政府部門がバラマキをすれば別だが、「実質賃金が低下」している限り、総体として消費が戻ることはないというのが結論である。
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消費は戻るか
(上)地域・所得で広がる温度差 ギター買えぬ若者/70歳代は高級服
4月の消費増税後の個人消費のもたつきが長引いている。政府は来年10月に消費再増税を実施するかを年末までに判断する。消費に再増税を乗り超える地力はあるのか。
サックスプレーヤー、渡辺貞夫氏を生んだ「ジャズの街」宇都宮市でギターが売れなくなった。上野楽器(宇都宮市)では毎月5本以上売れていた1万〜3万円のギターが4月の消費増税後は1本も売れていない。10万円以上のギターの売れ行きは増税前と変わらない。販売担当者は「パートで働く若者らが離れ始めている」と嘆く。
賃金から物価上昇率を引いた実質賃金が栃木県では7月に前年比9.9%減った。県内は家電などの部品メーカーが多く、「増税後に生産が減り、残業代などが減っている」(あしぎん総合研究所の柳田将志研究員)。
実質賃金が低下
地方の方が都市より物価が上がり実質賃金を押し下げている。小規模な市町村の住民の消費に占めるガソリンや光熱費の割合は都区部の1.8倍だ。円安でガソリン価格は1年前より高い。車が欠かせない地方で暮らす負担は重くなった。
ただ、地方も一様ではない。「今夏のボーナスはこれまでにないくらい」と広島市に住むマツダの社員は笑顔で話す。円安で業績が急回復したマツダの城下町、広島県は、7月の実質賃金が前年より9.1%増と全国トップの伸び率だった。
偏る株高の恩恵
所得による消費力の差も広がっている。富裕層の高額消費は旺盛だ。8月、三越日本橋本店(東京・中央)の高級腕時計のフェアでは、1本数百万円の商品が次々に売れた。耐久消費財は売れ筋が高額品に変わった。家電量販店ビックカメラとケーズホールディングスは8月の商品単価が前年同月水準を上回り、全体の売上高を押し上げた。
「少量のご飯をおいしく」。日立アプライアンスが9月15日に出した2合炊きの炊飯器「おひつ御膳」は税別6万円前後と高額だが、月間の販売目標4千台を発売2週間で達成した。少量炊きは若者向けの安い機種という定説を覆し、高額・高機能のおひつ御膳は子供が独立して離れたシニア世代が手にする。
熊野英生第一生命経済研究所首席エコノミストは「株高は過去1年半の消費を6兆円押し上げた」と分析する。主に恩恵を受けるのは30歳代の約13倍の有価証券を持つ70歳以上の世帯だ。家計調査を世代別に見ると、70歳以上が買う牛肉価格は全世代のなかで最高で、婦人用コートは平均より約3割高い。吉本佳生関西大特任教授は「今後は70歳以上の女性が消費の中心」と予想する。
今の消費は地域や世代で差が大きく、基調が見えにくい。円安で収益が改善した企業が投資や雇用を増やし、消費全体に波及するには時間がかかる。それまで逆風下の勤労世代に代わり高齢者が消費を下支えできるかが景気の回復力を左右しそうだ。(関連記事総合・経済面に)
[日経新聞10月12日朝刊P.1]
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消費は戻るか
(上)シニアに資産効果
個人が保有する資産の価値が高まることで、消費が拡大することを資産効果と呼ぶ。安倍政権の経済政策(アベノミクス)による円安・株高で6月末の個人の金融資産は1645兆円と過去最大になった。政権発足直後と比べ93兆円増えた。株を持っている人は一部を売却して買い物に回せる。実際に売却しなくても心理的に余裕が生まれ、消費に前向きになる効果もある。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「今後、日経平均株価が1000円上がれば、個人消費を0.25%押し上げる効果がある」と分析する。
株高の恩恵を受けるのは株式を持つ人が中心になる。6月末に個人が保有していた株式と投資信託は合計232兆円。個人金融資産全体に占める割合は14%で、米国(47%)に比べると少ない。加えて株を保有する世代にも偏りがある。
総務省の家計調査によると、70歳以上の1世帯当たり(2人以上の世帯)の株式など有価証券の保有額は平均421万円と年代別でトップだ。30歳代の13倍に相当する。高齢者による高額消費が堅調なのは、この影響が大きい。
株高は消費者の心理を改善する効果もある。ただ、昨年57%上昇した日経平均株価は年初から6%下がった。消費増税後の物価上昇による購買力(実質賃金)の低下をすべて補うほどの力強さはないとの見方がエコノミストの間では多い。
[日経新聞10月12日朝刊P.3]
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