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財務省官僚は「そんなことはわかっているけど、消費税増税を小売事業者に納得させるためには仕方がなかった」と言い訳するのだろうが、「外税方式」での価格表示容認は、財務省官僚の浅知恵のほどがよくわかる政策である。
まず、付加価値税を物品税や小売売上税のようにみせようとする姑息な手法が消費税の理解を妨げ消費税問題をよりわかりにくくおかしなものにしている。
付加価値税であり、仕入原価だけでなく設備投資をも含む諸経費の購入までがかかわってくる消費税を、個々の販売商品の価格で調整しようというのは無理がある。「外税方式」で“預かった”ように思わせている消費税のすべてが税金として国庫ないし地方自治体に納められているわけではない。
「売上に係わる消費税」は、あくまで税務処理として算定する際に意味がある概念であり、消費税の負担を販売先に転嫁するとしても個々の商品の販売時点では隠れているべきものなのである。
経済活動は算数とは違い、「外税方式」にしたら本体=「仕入原価+マージン」に税=「消費税転嫁分」の上乗せがスムーズできるというわけではなく、ましてや、それによって消費税増税後も売上と荒利がきちんと確保できるというわけでもない。
思うように売れなければ、本体の「マージン」部分を縮小させて総額価格を低くするか、売上や荒利を減らしてしまうことを甘受しなければならない。
「外税方式」は、消費税増税直後の短期間であれば目眩ましになるが、すぐに、消費税税率8%の重さを思い知らせる役割を発揮する。本体価格198円の商品は、税として15円を負担しなければならず(ウソだが)、レジで支払うときには213円になることを毎日のように思い知らされるからである。
消費税増税前と価格が変わっていないように思えて買い物をしたのに、帰ってレシートで確認したら、以前と同じような品物を買ったのに支払った金額がずっと大きいのに驚いたという人は少なくないはずである。
記事にも、「増税の負担を感じる「痛税感」を和らげるため、消費者のわかりやすさを優先し、税込み価格に戻す動きも出てきた」とあるように、総額表示(内税)方式よりも、「外税方式」のほうが“痛税感”が大きいのである。
“痛税感”が大きいのに、小手先のゴマカシで本体価格表示を前面に出す商売をしていれば、買い物の行動を抑制するようになる。
記事に、「税込み価格に表示を転換すれば1年後に値札の変更などの作業が発生」とあるが、来年10月に一度だけ値札を変更すれば済むなら“無問題”である。
「税込み価格に表示を転換すれば1年後に値札の変更などの作業が発生」とは、まるで、消費税だけが価格変動要因のような書き方だが、そんなバカなことはない。
野菜と果物が顕著だが、生鮮食品は天候などの影響で頻繁に価格が変動する。生鮮以外でも、仕入価格の変動で販売価格は変動するし、事業者自体がセールで頻繁に価格を変動させることで買う気をそそっている。
消費税はその目的から制度まで、ウソとデタラメで塗り固められた“悪魔の税制”である。
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イオン、税込み表示模索
レジでの困惑を解消 小売業界、追従の動きも
イオンが傘下の小型スーパーで値札の表示を税別価格から税込みの「総額表示」に戻した。小売業界は消費増税後に税別価格の表示で統一したが、レジで8%の消費税が上乗せされることに困惑する客も多い。消費の回復がもたつくなか分かりやすい表示で客の不満を減らす。業界最大手が表示の見直しの模索を始めたことで追従する動きが出てきそうだ。
イオンは9月末から10月上旬にかけて小型スーパーの「まいばすけっと」で税込み価格の値札に順次切り替えた。イオンは「あくまで実験」として実施の規模を明らかにしなかった。日本経済新聞が調べたところ、少なくとも都内の25店以上で税込み価格を導入していた。税別価格の表示を続けた店舗はなかった。
まいばすけっとは東京都と神奈川県の都市部で約500店を展開する。コンビニエンスストアに対抗する店舗という位置づけで、利便性と低価格を武器にする。今回、価格表示を見直し「税込み98円」や「同78円」といった値ごろ感のある値付けにしている。
イオンは消費税率引き上げが正式に決まった昨秋、増税後の価格表示について税込み価格を中心にする案を検討していた。ただイオンなどが加盟する日本チェーンストア協会が税別価格をメーンに表示していく方針を採った。イオンも消費者の混乱を避けるため税別価格中心にした。同社は「現段階では(マックスバリュなど)グループの別店舗で表示の変更は検討していない」としている。
多くの小売業が採用する税別価格の表示はレジで8%の消費税が上乗せされる。税別であることに気がつかないと買い物中の計算よりもレジの支払額が多くなる。「だまされたと思う消費者も少なくない」と大手スーパー関係者は明かす。このため「無印良品」の良品計画やしまむらなどは税込み価格の表示を続けている。日本チェーンストア協会は「税別表示はあくまで指針」とし強制ではないとする。仮にイオンが税込み価格に戻しても罰則はない。
増税の負担を感じる「痛税感」を和らげるため、消費者のわかりやすさを優先し、税込み価格に戻す動きも出てきた。
ホームセンター大手のケーヨーは8月に税込み価格に戻した。「消費者の反応はおおむね良好」(同社)という。ケーヨーの方針転換で税別価格が主流の小売業界に波紋が広がった。ある大手スーパーは「一つのシナリオ」として、水面下で税込み価格に戻した際のコストを試算し始めた。POS(販売時点情報管理)レジを提供する情報システム会社には相談が舞い込んでいるという。
ただ政府は来秋にも10%への税率引き上げを検討している。仮に税込み価格に表示を転換すれば1年後に値札の変更などの作業が発生する。追加コストを覚悟してでも消費者の「わかりにくい」という声に応えるかどうか。「税込み」か「税別」かという価格表示の問題は小売業全体を悩ませ続けることになりそうだ。
[日経新聞10月11日朝刊P.11]
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