02. 2014年10月13日 23:03:19
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現代自動車の取締役会、1兆円の土地購入を価格知らずに承認 By IN-SOO NAM 原文(英語) 2014 年 10 月 13 日 14:54 JST 更新現代自動車にとってソウル中心地の土地取得は単なる投資以上の意味を持っていた Bloomberg News 現代自動車の取締役会が9月、ソウル市内での土地購入計画について話し合うために招集された際、5人の社外取締役は詳細な情報を求めた。 ある社外取締役は「本当にこの土地が必要なのか。現代はなぜ価格の高い江南区で土地を買おうとしているのか」とし、「ほかに選択肢はないのか」と尋ねた。 社内取締役たちは、約30の関連企業を一つ屋根の下に集めて効率化を図る必要があると答えた。現代は、ブランドイメージを高めるためにこの新しい場所で自動車テーマパークを造るのだ、と説明した。 彼らが言わなかったことが一つある。土地の値段だ。 評価額の3倍の100億ドル(1兆0700億円)という価格が明らかになったのは、9人の取締役会が全会一致で購入を承認したあとだった。この数字は契約が行われたあとに公表された。 会議に出席したある社外取締役は「取締役たちは社外取締役に承認させようと必死だった。現代にとってこの土地は単なる投資ではなく、同社が失うわけにはいかないものだった」、「価格は問題ではなかった」と話した。 「チェボル」と呼ばれる韓国の財閥が企業の意思決定方式を変えようとしている物言う投資家の怒りを買うことは珍しいことではない。 投資家は以前から、一般に創業者一族が企業グループ間の株式持ち合いで支配している多くの財閥における透明性と外部監視の欠如に不満を抱いている。財閥のトップらは通常、資本投下など企業の主要な決定において権力を振るう。 現代自動車の株価の推移 現代の土地購入が発表されたあと、これを無駄遣いと判断した投資家たちは同社株を投げ売りした。現代とその傘下企業である起亜自動車と現代モービスの株価は、発表後の数日間にいずれも10%以上急落した。この下落で3社合わせた時価総額は、この土地の値段以上に縮小した。
漢城大学の教授で、企業統治改善を求めるグループ「経済改革に向けた団結」のエグゼクティブディレクター、キム・サンジョ氏は「これは韓国の弱い企業統治と社外取締役のいい加減な監視の典型的な例だ」と話した。上記3社の少数株主(株式数は非公開)である同グループは、取締役会の議事録を入手した。 議事録によると、鄭夢九会長はこの会議には出席していなかった。社外取締役によれば、同会長は数年前から個人的にこの土地購入計画を推していたが、これを取締役会の議題にしたことはなかった。 キム氏は「取締役会はわずか30分間の話し合いでこのように重要な案件を承認した。これは会議が形式だけのものであることを意味している」と語った。 現代は同社の意思決定プロセスや鄭夢九会長の行動についてのコメントを拒否した。会長自身のコメントも得られていない。 キム氏は、こうしたことは韓国財閥で典型的に見られるものだとしている。 通常、学者や弁護士、元政府当局者がなる社外取締役は、創業一族や企業幹部らで構成する委員会によって選任されることから、企業オーナーの要求に沿った動きを取る傾向があるという。キム氏は、株主が社外取締役を評価し、株価下落につながる決定について彼らに責任を持たせるようなシステムを提案している。 アジア第4の規模の韓国経済においては財閥が重要な役割を果たしてきた。1950―53年の朝鮮戦争からの復興を急いだ政府は、産業拡大の青写真を描き、経済急成長に寄与した大企業を融資保証などの形で優遇した。 西江大学のナム・スンイル経済学教授は、同族経営企業の構造には、危機を乗り切るための難しい問題での迅速な意思決定やオーナーによる長期投資といったメリットがあると述べた。 しかし、観測筋は、弱い企業統治を背景に韓国は1997―98年のアジア金融危機で最も脆弱だったと指摘した。大宇グループやその他10社は97年から99年の間に破たんした。政府は98年に、取締役のほぼ半分を社外取締役とし、外部からの監視を強化するよう企業に命じた。 CLSAとアジア・コーポレート・ガバナンス協会が先ごろ行ったアジアの944社を対象にした企業統治に関する調査では、韓国企業のスコア低下が最も大きかった。これはグループ内取引の増加と貧弱な情報開示によるものだ。 現代やサムスン電子などの韓国企業は世界的に名前が知られているが、その株価収益率(PER)は他の国の同業企業に比べてはるかに低い。韓国証券取引所によると、韓国総合株価指数の昨年の倍率は10.9倍で、米国での17.4倍、日本の14.7倍、香港の15.8倍を下回った。 朴槿恵政権は財閥の影響力を抑制するため、その所有形態を簡素化する財閥に税制優遇措置を取っている。政府は今年7月、新たな株式持ち合いを禁じたが、既存の構造には対処していない。 ガバナンス向上センターの研究員チェ・イーバエ氏は「朴政権発足後の数カ月は、大統領は財閥に厳しい姿勢を取っているように見えたが大きな変化は見られない」とし、「率直に言って、これまでに財閥改革で成功した政権は記憶にない」と語った。 http://jp.wsj.com/news/articles/SB12706435818283254423204580211483912603768?mod=wsj_nview_latest |