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セブン-イレブンは消費増税後も既存店売上高がプラスを維持している
セブン-イレブンは、なぜ反動減と無縁なのか 増税で多くの小売りが苦しむ中で異色
http://toyokeizai.net/articles/-/50305
2014年10月12日 田野 真由佳,石川 正樹 :東洋経済 記者
「もともと消費の回復には半年ほどかかると言ってきたが、もう少しかかるかもしれない」。9月下旬、新業態店の発表会で、ミニストップの宮下直行社長は先行きの見通しに弱気だった。
小売りで苦戦している業態の一つがコンビニだ。大手各社の大量出店もあり、昨年から既存店の動向は芳しくなかった。そこに消費増税が重なったうえ、直近では天候不順も打撃となり、前年同月比の既存店売上高は8月に2.4%減少。「財布のひもが固くなっており、きついという印象はある」と、ローソンの大山昌弘専務は語る。
■セブンの”絶妙”な値付け
セブン&アイの鈴木敏文会長は「値段を下げればいいという時代ではない」と強調する(撮影:風間仁一郎)
こうした中、プラス成長を維持しているのは、首位のセブン―イレブンだけ。セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は「増税は心理的に相当な抵抗感があるが、値段を下げればいいという時代でもない」と強調する。同社は4月以降、弁当などオリジナル商品の8割をリニューアルした。商品改廃の早さでは有名だが、これだけ大規模な見直しは初めてだ。セブンのように需要を喚起する新商品を打ち出せるかが、明暗を分けるともいえる。
値下げには否定的だが、「セブンの値段設定は絶妙。同じような商品だとライバルと比べて10円から20円安いケースが多い」(メリルリンチ日本証券の青木英彦アナリスト)と、値付けのうまさも功を奏しているのだろう。10月2日に発表した中間期決算では半期ベースで過去最高益を達成している。
一方、増税で低価格志向の顧客も増えており、生鮮品などは買いだめが利かないことから、スーパーは食品販売を中心に前年並みを維持している。食品スーパー大手ライフコーポレーションの岩崎高治社長は「本当に必要なものだけを選んで買うという基調が続いている」とみる。今上半期(3〜8月)の既存店売上高は前期比3.7%増と堅調だが、「スーパーも特徴がないと生き残れない。チーズやラム肉など、これまでにない品ぞろえに挑戦している」(岩崎社長)と気を引き締めている。
「都市部は出店余地がほとんどないため、競争が緩い。だが、地方ではドラッグストアなども増えており、競争が激しい」(大和証券の津田和徳チーフアナリスト)というように、売れ行きには立地の違いも影響する。実際、ライフは店舗が都市部に多く、首都圏で展開する同業のマルエツも堅調だ。
駆け込み消費の伸びと反動減の高低差が大きかった百貨店でも、東京など10大都市の8月の売上高合計は、前年同月比0.5%増と増税後初のプラスに転じた。だが地方では、マイナスが続いている。
■物価上昇で購買力は低下も
昨年、百貨店の売り上げを牽引した宝飾品や貴金属などの高額品は、増税後の反動減の幅が徐々に縮小。婦人雑貨や婦人衣料などのラグジュアリーブランドについても、大手各社が「ほぼ戻っている」と口をそろえる。大都市圏の店舗の復調は、所得水準の高い顧客の存在が下支えとなっている。さらに、訪日客向けの売上高が好調なことも大きい。現在、19カ月連続でプラスとなっており、8月単月としては過去最高の47億円となった。免税品は消費増税の影響がないうえに、購買は大都市に集中する。
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、賃金自体はわずかに上昇傾向にあるが、足元の物価上昇には追いついておらず、購買力はむしろ低下している。今後さらに円安が進み、物価高に拍車がかかるようだと、消費が一層冷え込むおそれもある。増税の影響を読み切れず、各社が頭を悩ます状況が続きそうだ。
(「週刊東洋経済」2014年10月11日号<10月6日発売>掲載の「核心リポート05」を転載)
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