01. 2014年10月10日 22:38:40
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焦点:海外勢の日本株売り加速、足並みそろわぬ政府・日銀を不安視 2014年 10月 10日 18:24 JST [東京 10日 ロイター] - 海外勢の日本株売りが加速している。前週に現物と先物を合わせて1兆円売り越したが、「余力」はまだあるとみられている。円安に対する政府・日銀の足並みがそろっていないとして、海外ヘッジファンドが利益確定の動きを進めているほか、米投信の節税売りも出ているという。日本株は下げ過ぎとの見方もあるが、国内勢の買いは鈍く、下げ幅を広げている。 政府と日銀のそろわぬ足並みに対して、警戒感が強まっている。──8日の香港、BNPパリバ証券が開催したカクテルパーティーで、100社規模の欧米ヘッジファンドと対話した株式・派生商品統括本部長の岡澤恭弥氏は、投資家が抱える懸念を読み取ったという。特に不安視されているのは円安に対するスタンスの違いだったと話す。 10月に入って政府要人からは円安をけん制する発言が目立つ。1日には甘利明経済再生担当相が、1ドル110円台への円安進行について「経済実態を反映していない過度の円高・円安あるいは急速すぎるレートの変動は、その国の経済のプラスにはならない」と言及。安倍晋三首相も6日午後の衆院予算委員会で、円安にはプラス、マイナス両面の影響があるとの認識を示した。 一方、日銀サイドは円安容認の姿勢を崩していない。黒田東彦総裁は7日の金融政策決定会合後の記者会見で、9月以降の急激な円安に対し「これまでのところ、行き過ぎた円高の是正や日米の金融政策の違いに注目した自然な動き」と指摘。市場ではドル買い・円売りの追認として受け止められている。 こうした「ずれ」が政策に敏感な海外短期筋の日本株に対する警戒感につながっているという。「ヘッジファンド勢は、今まで積み上げた円売り・株買いポジションをアンワインドし、利益を確定している」(BNPパリバ証券の岡澤氏)。 IMM通貨先物の投機筋の円売りポジション(9月30日時点)は12万0878枚、東証公表の裁定買い残(10月3日時点)は3兆4687億円といずれも高水準。足元の調整で巻き戻しが進んだとしても、余力は大きい。 10月第1週に海外投資家は日本の現物株と先物合計で1兆0632億円の売り越したが、それまでに約1カ月間で約2兆5000億円を買い越している。 加えて10月は毎年、米投資信託の節税対策売りにより、需給環境が悪化しやすいことも下押し圧力となる。大和証券・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏は「米ミューチュアルファンドなどの会社型投信は、実現益にかかる税金を抑えるために、10月末にかけて評価損を抱えた銘柄に『損出しの売り』を出している」と指摘する。 特に今年の日本株は世界の株価に比べてパフォーマンスが悪いため、損出し売りの対象になりやすい。年初来のパフォーマンスでは、米S&P総合500種.SPXのプラス4.3%、米ダウ.DJIのプラス0.45%に対し、日経平均.N225のドル建てはマイナス8.4%と大幅に下回っている。 市場では「ドル/円JPY=EBSの水準と比較して、今の日経平均は下げ過ぎ」(国内証券)との声が出ているが、需給悪が続く10月は一段の下値を探る展開となってもおかしくはない。10月28─29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米量的緩和縮小(テーパリング)が終了すれば、世界的なマネーフローが変調するとの警戒感も根強い。 海外投資家がグローバルなリスク調整で日本株を割安な水準まで売ったとしても、国内投資家が割安銘柄を拾えば、下げは減速する。しかし、下期に入っても国内機関投資家の動きは依然鈍い。 マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は「(日本市場は海外勢の売りに対して)買い向かう投資家がおらず、値動きが一方通行になり、ボラティリティが高まりやすい。10月で米金融政策が大転換期を迎える中、市場が一段とナーバスになってもおかしくはない」と警戒している。 (杉山容俊 編集:伊賀大記) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0HZ0PH20141010 |