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青色LEDは、実は圧倒的に「白」に使われている
ノーベル賞を獲得した青色発光ダイオード 産業としての可能性と苦悩とは
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141010-00060390-diamond-bus_all
ダイヤモンド・オンライン 10月10日(金)8時0分配信
10月7日、青色発光ダイオード(以下、青色LED)の開発で、赤崎勇名城大終身教授、天野浩名古屋大教授、中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の3氏がノーベル物理学賞を受賞し、日本中が沸き立っている。3人の業績は多くのメディアで報道されているので、ここでは産業としての青色発光ダイオードに焦点を当ててみよう。
科学技術が急速に発展した今日、ノーベル賞(特に物理学賞)は素人にはチンプンカンプンな基礎研究に与えられる傾向があった。20世紀初頭にまで時計を戻すと、ノーベル賞が与えられたアンモニアの合成法は、そのおかげで窒素肥料が合成できるようになり、農業生産の飛躍的増大に貢献し、化学産業を勃興させた。ペニシリン発見は抗生物質を生み、人類を化膿から救いだして、製薬産業を発展させた。青色LEDもすでに実用化・産業化されており、だれにでもその社会的、産業的価値が分かりやすい。
● 青色LEDの革新性は「白」にあり
LED(発光ダイオード)とは、電圧を加えると発光する半導体素子のこと。赤色LED、緑色LEDはすでに開発されていたが、青色LEDの実現は20世紀中は難しいと言われるほど、その開発は困難を極めていた。その中で、赤崎、天野両氏が青色LEDの原理を解明し、中村氏が量産技術を確立した。
青色LEDは、「青」そのものとして使われるより、実は 圧倒的に「白」に使われている。青LEDの周囲を蛍光色素で囲むと、青い光は黄色い光に変換される。青の光と黄色の光のミックスで白色光となる。
1996年に開発された白色LEDの2大用途は、照明とディスプレイ(TV)で、白色LEDの誕生が両者の世界を大きく変えた。ただ、白色LEDは、ほとんど照明としてのみ使われており、ディスプレイを変えたと言われるのに、ディスプレイそのものとしては使われてない。
どういうことか。液晶バックライトという言葉を聞いたことがあるだろうか。バックライトというのは、カラー液晶ディスプレイ(TV)において、「のっぺらな、単なる白色光を背後から出しているライト」のことである。ここに白色LEDを使う。最初は 携帯電話用の中小型液晶画面のバックライトとして普及した。すぐれた省電力性と、小型化のためだ。次いで、大型液晶TV等のバックライトにも広がった。サムスンカラー液晶TVが有名である。
ただしカラー液晶ディスプレイは 白色LEDによって初めて実現したわけでない。LEDバックライトが普及する前からカラー液晶ディスプレイは広がっていた。当時のバックライトは冷陰極管という特殊で高価な、一種の蛍光管が使用されていた。それを置き換えたのが白色LEDなのだ。
このように、白色LEDは、カラー液晶ディスプレイのバックライトというかたちで、携帯(スマホ)からTVまで、各種ディスプレイに用いられている。カラー液晶ディスプレイ(TV)の急成長とともに、バックライトとしての需要も爆発的に増えたが、市場の成熟化からバックライトとしての成長率は鈍化している。
● 一般照明分野で革命といわれるワケ
他方、一般照明の分野では、蛍光灯や白熱球ランプ(ガラス管+気体照明)からLED照明(固体照明)へと、基本原理が全く異なる光源の登場を意味する。照明における歴史的大転換と言われ、スウェーデン王立科学アカデミーが、ノーベル賞の授与理由で、「彼らの発明は光の技術を根本的に変え、世界を一変させた。20世紀は白熱電球で照らされた時代だったが、21世紀はLEDのランプで照らされる時代となるだろう」と、称賛した所以でもある。
LED照明には長寿命、省電力、加えて水銀など有害物質を使用する必要がないという特徴がある。一言で言えば、環境に優しいのだ。
矢野経済研究所の調査によれば、日本国内の一般照明の市場の規模は2012年で1兆264億円、うちLED照明は195%増の4204億円に達する。2011年の東日本大震災以降の省エネ意識の高まりもあり、急速に普及が進んできた。これに対して、世界の一般照明の市場の規模は13年で約10兆円と言われているが、LED照明への代替はそれほど進んでいない。
一般照明に占めるLED比率は、日本が5割超なのに対して、世界平均で3割弱という推計もある。新興国や発展途上国の人々にとっては、LED照明はまだ高嶺の花。ただ、逆に言えば、それだけ市場開拓の余地が大きいとも言える。
● 産業構造にも大きな変化
従来のガラス管+気体を含むランプ(白熱電球や蛍光管)からLED照明(固体照明)への移行は、産業構造にも大きな変化を及ぼしている。従来のランプは破損しやすく、輸出が難しいため、地場ごとのサプライヤー(ないし直接投資による現地工場)が成り立ちやすかった。こうした製品の特徴から、グローバルなメーカーは、しばしば現地会社にライセンス供与してフィーを得る「ライセンス商売」をしていた。
しかしLEDは固体であるため、破損は少なく、輸出が容易だ。したがって、ライセンス商売よりは、先導的デバイスメーカーが世界数ヵ所で集中生産して、グローバルに輸出する態勢となっているのが特徴だ。
照明産業を例にとると、関連企業はLEDの「石」(極小の粒で「ダイ」と呼ばれる。発光素子そのもの)を生産するダイメーカーと、ランプ・照明を生産する組み立てメーカーに大別できる。ダイメーカーでは世界1、2位を、米国のクリー社とかつて中村氏を擁した日亜化学工業が占め、韓国のサムスンLED、ドイツのオスラム・オプト・セミコンダクターズ、赤崎氏らの技術的流れをくむ豊田合成などがその後を追う。
一方、LED照明は、ダイメーカーからLEDチップを購入し、ガラスカバーを付けたり、口金をつけたりして、電気ソケットに差込めるようにすれば製品化できるので、参入障壁が低く、新規参入者が相次いで、多くのメーカーが乱立している状態だ。国内だけ見ても、パナソニックと東芝ライテックが1位、2位を占めるほかは、岩崎電気、遠藤照明、アイリスオーヤマなどが、数パーセントずつのシェアで争っている。
● ここでも忍び寄る韓中の足音
今後の展開はどうか。ダイメーカーの、「国内立地モデル」(国内生産→輸出)は次第に苦しくなるだろう。なぜなら、サムスンだけでなく、中国勢の追い上げが急だからだ。発光効率や耐久期間や色味など質の面では劣るとはいえ、安いチップなら中国勢でも生産可能だ。すでに豊田合成などは、主に台湾メーカー等へのライセンス商売にかなり傾斜していると見られている。
LEDの用途は、医療(治療・検査・消毒)用、農業用などに広がっているが、メディアや一部の調査会社が騒ぐほどの「スピード」では広がっていない。日本のメーカーがDRAMの二の舞にならないためには、設備投資の規模・タイミング、マーケティングなど「戦略」のよろしきを得ること、新たな用途の開拓という地道な作業が必要だ。産業レベルでは、ノーベル賞受賞に浮いてばかりはいられないのである。
(ダイヤモンド・オンライン編集長 原 英次郎)
ダイヤモンド・オンライン編集部
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