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現状の日本には、グローバル企業が円安効果と消費税増税で利益を膨らませる一方、国内向けに専念する企業は円安損失と消費税増税で経営に打撃を被るという対立構図が生まれている。
このような状況を国民レベルで言うなら、グローバル企業従業員やグローバル企業を主要な広告主とする大手メディアそしてグローバル企業中心に株式運用を行っている人たち以外の国民大多数が生活条件を悪化させていることを意味する。
このような対立も、かつてのように円安で輸出数量が増加していく流れなら、和らいだり帳消しになったりするが、輸出数量の増加はなく、グローバル企業がただ最終利益を増大させている状況では日本経済全体がおかしくなるだけである。
(グローバル企業が消費税増税の“対価”として行った賃上げは、国家公務員の7.8%の賃上げ(俸給水準を元に戻す措置)ほどの経済効果もなかった)
昨年の消費税8%増税決定前にも投稿したが、円ドルレートが10か月で25%近くも円安に動き1ドル=100円前後になった状況での安倍首相による消費税増税決定は、たとえTPPなど関税引き下げへの対策という意味合いがあるとしても、グローバル企業支援策として“屋上屋”であり、国民経済全体を疲弊させる誤った政策判断という謗りを免れない。
現在、来年10月に予定されている10%への消費税増税の実施判断が問われているが、財政再建や社会保障の持続性とは無関係で、日本経済をただよりいっそう歪ませる消費税増税政策は実行すべきではない。
日本の将来を真摯に考えるのなら、消費税税率引き下げないし消費税廃止に踏み出さなければならない。(消費税の代わりに、小売売上税を導入することには反対ではない)
中小企業の倒産増加という問題も、記事は触れていないが、消費税増税とは無関係ではない。
一般消費者のなかには消費税を日々負担している気になっているひともいるようだが、それは“錯誤”で、事業者が負担する消費税が日々消費者(取引先)に転嫁されているという話でしかない。
それでも、多くの事業者サイドから出てくるのは、増税で増大した消費税負担を消費者など販売先にすべて転嫁できているわけではないという恨み節である。
増税をゴリ押しした政府は、統制経済国家のように、消費税増税前から消費税転嫁を監視する役人を増大させているが、事業者同士の取引ならまだしも、不特定多数の消費者を相手にする取引では“監視”のしようもなければ、転嫁の有無をあれこれ言うこともできない。
元々現在の日本の消費者は価格交渉権をほとんど持たず、消費者はプライスカードに示された消費税込みの総額で納得できれば買い、高ければ買わないだけである。さら言えば、消費税の転嫁で高くなかったあるものを買ったからといって、別のものも以前と同じように買うわけではない。
消費者の購買力が同じなら、消費税が思うように転嫁できないか、単価を上げたことで売上数量が減少する結末になるのは避けられない。
最終消費者への転嫁と売上数量の維持が達成できなければ、否応なく事業者の経営は悪化する。
転載する記事に、「原材料高による倒産の大半はコスト高の転嫁が容易ではない中小・零細企業」とあるが、消費税増税もコスト高の一つであり、その転嫁は容易ではないのである。
消費税増税前までは、1千万円の売り上げがあったら、消費税を考慮しても、300万円の荒利がありそこから従業員の賃金や借入金の返済を賄えたのに、消費税増税と仕入単価や電力料金などが上昇したために、同じ1千万円を売上でも荒利が230万円しか確保できないといった経営悪化に苦しんでいる中小企業は多い。
中小企業はもともと最終利益が出ない経営を続けているところが多いから、荒利が減少すれば、給料・買掛金・社会保険料などの支払いに支障をきたすことになる。
中小企業の倒産が9月になって急増するのには現実的なワケがある。
会計的にはすでに“危険状況”なのだが、中小企業は、従業員給与源泉徴収の納付や消費税の中間納付が半年に一度というところも少なくない。
8月までは本来手を付けてはいけないお金を運転資金に回すことでなんとか乗り切れるところもあるが、消費税中間納付や源泉徴収分の納付でキャッシュが一気に枯渇する9月になると借入金の返済や手形決済が行き詰ってしまう。
このような論理から、10月以降、中小企業の債務不履行や倒産が増加していくと予測できる。
(※ 納付消費税額ないし還付消費税額が大(前年度の確定申告額4800万円超)なら毎月、中(400万円超)なら3か月ごと、小(48万円超)の消費税納付額なら決算年度の半分で月中間納付ないし中間還付を行う)
国内専業事業者の荒利が減少し、減少した荒利の一部が“消費税還付”という詐欺的手法で輸出企業に回っている消費税制度は、日本経済の土台を蝕み続ける「悪魔の税制」である。
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倒産、9月は5カ月ぶり増 円安で原料高、中小直撃
円安を受けたコスト上昇による倒産が増加している。原材料高を原因とした倒産件数は9月に前年同月の2倍に膨らんでおり、同月の全体の倒産件数は5カ月ぶりに増加に転じたもようだ。8月の後半から急激に進行した円安による原材料高が中小・零細企業を中心に倒産件数を押し上げたとみられる。
東京商工リサーチのまとめによると、原材料高を原因とした倒産は9月に21件発生し、前年同月の11件から急増した。9月の全体の倒産件数も前年同月の820件から5カ月ぶりに1%程度の増加に転じたとみられる。
昨年は原材料高による倒産が毎月数件から10件超発生していたが、今年に入ってからは増加基調が続いており、特に6月からは4カ月連続で20件を上回っている。8月までの原材料高による累計の倒産件数は167件で、すでに昨年1年間の実績を上回った。負債総額も8月は100億円を超え9月も90億円に迫る高い水準が続いている。
一方で今年の全体の倒産件数はこれまで4月を除いて前年同月比で減少が続いており、件数自体もバブル経済期以来の低い水準だ。今年は全体の倒産件数が9月分を含めて累計7500件程度となっており、1990年以来24年ぶりに1万件を割る可能性も出てきている。全体の倒産件数が減る中で原材料高による倒産の増加が目立つ格好となっている。
原材料高による倒産の大半はコスト高の転嫁が容易ではない中小・零細企業。業種別では燃料高の影響が直撃した運輸業が3分の1を占める。そのほかは製造業が5件、卸売業が3件と、円安の影響を受けやすい業種で倒産が多くなっている。「コスト高で少しずつ進んでいた企業体力の消耗が昨今の円安で表面化してきた」(東京商工リサーチ)事例が目立つという。
[日経新聞10月6日朝刊P.3]
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