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ノーベル物理学賞に赤崎・天野・中村氏 青色LED発明 日本の司法は腐っている 中村氏は米国籍
http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/812.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2014 年 10 月 08 日 04:23:31: KqrEdYmDwf7cM
 


http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG0700M_X01C14A0MM8000/
ノーベル物理学賞に赤崎・天野・中村氏 青色LED発明


 【パリ=竹内康雄】スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2014年のノーベル物理学賞を赤崎勇・名城大学教授(85)、天野浩・名古屋大学教授(54)、中村修二・米カリフォルニア大学教授(60)に授与すると発表した。少ない電力で明るく青色に光る発光ダイオード(LED)の発明と実用化に貢献した業績が認められた。照明やディスプレーなどに広く使われている。世界の人々の生活を変え、新しい産業創出につながったことが高く評価された。

 日本のノーベル賞受賞は12年の生理学・医学賞の山中伸弥・京都大教授から2年ぶり。計22人となる。物理学賞は素粒子研究の08年の南部陽一郎(米国籍)、小林誠、益川敏英の3氏以来で計10人となった。日本の物理学の高い実力を示した。

 授賞理由は「明るくエネルギー消費の少ない白色光源を可能にした高効率な青色LEDの発明」で、「20世紀は白熱灯が照らし、21世紀はLEDが照らす」と説明した。

 LEDは1960年代に赤色が開発された。緑色も実現したが、青色は開発が遅れた。あらゆる色の光を作り出せる「光の3原色」がそろわず、「20世紀中の実現は不可能」とまでいわれていた。

 その壁を破ったのが赤崎氏と天野氏だ。品質のよい青色LEDの材料を作るのが難しく、国内外の企業が取り組んでもうまくいかなかった。両氏は「窒化ガリウム」という材料を使い、明るい青色を放つのに成功した。

赤崎、天野、中村の各氏の物理学賞受賞を伝えるノーベル財団のホームページ

 中村氏はこれらの成果を発展させ、安定して長期間光を出す青色LEDの材料開発に乗り出し、素子を作製した。量産化に道を開き、当時在籍していた日亜化学工業(徳島県阿南市)が93年に青色LEDを製品化した。

 赤崎氏は7日の記者会見で「半分サプライズで、こんな名誉なことはない」と語った。中村氏は同日、大学構内で記者団に対し「ノーベル賞は基礎理論での受賞が多い。実用化で受賞できてうれしい」と語った。天野氏については「海外出張中で、帰国後記者会見する」と名大側は説明した。

 日本の強みである材料技術がLEDの光の3原色をそろえることに貢献し、LEDによるフルカラー表示が可能になった。電気を直接光に変えるLEDはエネルギー損失が少ない。素子そのものが光るので電子機器の小型・軽量化に役立つ。薄くて省エネのディスプレーなどデジタル時代の幕開けにつながった。

 3原色を混ぜ、自然光に近い白色光も再現できるようになった。省エネ照明として家庭にも浸透し始めている。現在、産業社会で消費するエネルギーの20〜30%は白熱灯や蛍光灯などの照明が占めるといわれ、これらがLED照明に置き換われば、地球温暖化を防ぐ切り札のひとつになる。

 青色の光は波長が短く、デジタルデータの書き込みに使えば大容量化できる。中村氏は青色LEDの後に青色レーザーの基盤技術を開発した。ブルーレイ・ディスクのデータの書き込みに青色レーザーが使われているように、大容量の光ディスク実現につながった。

 授賞式は12月10日にストックホルムで開く。賞金800万クローナ(約1億2000万円)は3氏で分ける。

関連キーワード

赤崎勇、LED、中村修二、天野浩、ゼネラル・エレクトリック、山中伸弥、カリフォルニア大学、ノーベル物理学賞、パナソニック、日亜化学工業

http://www.asyura2.com/kiseki/k200103/msg/18.html
中村修二青色発光ダイオードの開発に成功
(ノーベル賞候補 日時 2001 年 9 月 07 日 16:39:01:

根拠のない自信 −−中村修二

ほとんど全ての人は、もうこれ以上アイデアを考えるのは、不可能だというところまでいきつき、そこでやる気をなくしてしまう。いよいよこれからだというのに・・・〈エジソン)
アイデアの秘訣は執念である。(湯川秀樹〉

 <できそうか>と言われて、<できない><できそうもない>というのは、自分の敗北を認めたことになる。

私にはそれが耐えがたいことなのだ。

だから、何の目処もたってなくても、<できる>と答える。それぐらいの強気がなければ、成功はおぼつかないと思う。

実際私は大学院を修了して就職する時、企業の面接で、<あなたは何をやりたいのか>と聞かれて<いや、何でもやれます>と答えた。

今、こんな答え方をすれば、就職試験はたちまちアウトだろう。けれども、当時私にとっては、正直な気持ちであった。大学院を修了した時、自信があったからそう答えたのである。

別に大した根拠があるわけでもなんでもない。けれども自信だけは、すごくあった。営業の仕事だろうが何だろうが、とにかく大丈夫、自分にはやれるという感じがしていたのである。

もちろん、最初からやれるとは考えていない。最初は最下位からの出発でも、とにかくやってるうちにのし上がっていけると思っていた。それは、一つには子供の頃から負けず嫌いな性格であったこと、そしてもう一つは、一つのことを深くやっていくのが好きだったからだ。

何であれ、一つのことに没頭してやりとげていくことには自信を持っていたのである。
    ーー考える力やりぬく力私の方法 三笠書房

中村修二
工学博士 カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授
20世紀中には無理と言われていた高輝度青色発光ダイオードの開発に成功
現在ノーベル賞に最も近い人と評価されている

http://ja.wikipedia.org/wiki/404%E7%89%B9%E8%A8%B1
404特許(404とっきょ)は、かつて化学メーカーの日亜化学工業が保有していた窒化物半導体結晶膜の成長方法に関する日本の特許である。特許番号が第2628404号であったことから、その下3桁を取って404特許と呼ばれる。同社に勤務していた中村修二が職務発明したもので、裁判において、特許を受ける権利の帰属と、帰属が認められない場合の相当対価の支払いが争われた。


中村修二 国籍:アメリカ合衆国
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E4%BF%AE%E4%BA%8C
日亜化学工業社員時代に青色発光ダイオードの開発を社長に直訴し、会社から約3億円の開発費用の使用を許される。アメリカ合衆国のフロリダ大学に1年間留学後、日亜化学工業に戻り、2億円ほどするMOCVD装置の改造に取り掛かるが、社長の交代等もあり研究の取り止めを求められた(著書より)。その後、青色発光素子であるGaN(窒化ガリウム)の結晶を作製するツーフローMOCVDを発明した。ツーフローMOCVDは通称404特許と呼ばれ日亜化学工業と特許権譲渡および特許の対価の増額を争った。

なお、日亜化学工業は同訴訟中にツーフローMOCVDは無価値だと述べており、訴訟終了後に特許権を中村に譲渡することなく放棄している。この高裁控訴審において高裁から示された和解勧告に対し、中村は弁護士とは異なる記者会見を設け「日本の司法は腐っている」と述べた[6]。


http://www.asyura2.com/0403/hasan35/msg/439.html

訴状の抜粋を貼り付けます。

--始め--

訴状に見る中村氏の叫び(訴状より抜粋)

 中村教授は自ら行った新製品の開発から,下記の3つの苦い教訓を学んだ。

―中略―

 第2に,製品開発に技術的に成功しても,市場の中でその商品の売り上げが十分上がらなければ,社内ではその開発は失敗例とみなされ,開発技術者(本件では中村教授)は社内で「穀潰し」とみなされ,冷遇される。

 中村教授は日亜社内で冷遇され,日亜内での将来の出世も望めなくなった。こうした状況に追いつめられて,中村教授は「どうせ辞めさせられるのなら自発的に辞表を書くのではなく,日亜が自分を解雇するまで,開発すべき新製品を自分で選択し,それを自ら単独で開発研究してみよう」と考えるに至った。
 そして,中村教授は1988年2月ごろ,首を覚悟のうえ,日亜の上司などの了解もないまま,窒化物系青色発光半導体を開発することを,自ら一人で決定し,実行した。

 社長は「窒化物系青色発光半導体素子の開発」に強く反対した。同社長はある日突然,外部から競合メーカーのM社の半導体研究所のお偉いさんであるA氏を中村教授の働いている研究室まで連れてきた。同研究室見学後,A氏が日亜社内で講演して「窒化物系青色発光半導体素子は近い将来では開発困難であろう」旨発言した。
 講演後,同社長は中村教授に向かって「窒化物系青色発光半導体素子の開発をすぐに中止するよう」強く命じた。同社長はその後も何度も中村教授に対し,「窒化物系青色発光半導体素子の開発を中止し,GaAs/GaAlAs系HEMT(高電子移動度トランジスタ)の開発を命ず」との業務命令を直接文書で発した。
 中村教授はその時すでに「日亜から首を切られてもいい」という覚悟が出来ていたので,これらの文書によるたび重なる社長からの業務命令を無視した。

 概して言えば,多くの例では会社は第1に発明のための資金提供者であり,第2に発明の母体となる技術の所有者であり,第3に発明のきっかけを与えた企画者でもある。
 ところが本件では多くの例とは異なり,日亜の本件発明への貢献は,上記第1の「資金提供者」であることは正しいにしても,上記第2の「発明の母体技術の所有者」でも,上記第3の「発明の企画者」でもない。中村教授こそが上記第2の「発明の母体技術の所有者」であり,上記第3の「発明の企画者」であった。

 上記第1の「資金提供者」としての日亜の貢献度はすべて,日亜の当該通常実施権の取得により吸収され尽くしている。

―中略―

 特許法35条3項,4項に基づく「相当の対価」の算定に当たっては,日亜の貢献度は0%である。本件発明の貢献度の比率は公平にみて,資金提供者(日亜)0%,発明者(中村教授)100%である。

--終わり--

日亜での待遇については、本人の仰ることと私が伝え聞いたのとは隔たりがありました。デマ含み投稿になり申し訳ない。中村氏の書いた本を立ち読みして日亜の社長の変なところも多少は知ってもいたのですが、同業者の人が「自由に研究を」と話していたので、私も自由にさせてもらってたのかと思ってました。同じ業界でもあまり中村氏の主張は理解されてないことを暴露したみたいになっちゃいました。

しかし、中村氏も言うこと聞かずに研究するのも問題だろう(特許裁判とは関係ないかも知れません)。完成間近にGaNの研究していたのは日亜だけじゃないんだから移ればよかったのに。移るにしても社長は機密扱いにしたんだろうかなあ。

この裁判については下のような図書紹介も見つけたので参考までにどうぞ。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/shigas/HOMPG713.HTM
発明報酬

岸宣仁:「発明報酬−技術者が会社を訴える時−」、中公新書ラクレ、'04を読む。青色LEDの発明者・中村修二カリフォルニア大教授と元の雇用者・日亜との争いを中心に話が進む。日亜は会社機密流出の理由により中村先生をアメリカの裁判所に訴えた。中村先生のアメリカ関係先がおこした対日亜訴訟に対するしっぺ返しという。発明報酬の逆々訴訟は中村先生側の直接のカウンター・パンチである。日亜は中村特許から何千億円かの利益を上げるだろうが、中村先生は2万円の報酬をもらっただけであった。中村先生は仲間からスレイブ・ナカムラという有り難くないあだ名でからかわれるようになったとある。ご本人の海外流出はもちろんだが、日本の研究者の企業における「軽い」立場が広く外国に知れ渡ってしまって、取り返しのつかないまずい事件になったと、いつかこのHP内で述べたように記憶する。

20年勤めた日亜を辞めた理由がいろいろ書いてある。人事上の配慮の無さが上げてある。途中入社の有名大学大学院出身者を先に昇進させた。彼は手取り足取りして教えた部下だが特別の実績はなかった。所長辞令をもらったが、部下のいない新設のいわば窓際研究所だった。企業秘密保持の理由で研究発表や学会出張さえ拒否されていた。中村特許は彼の強行出願だったという。アメリカでは発明者と雇用者とは取得特許による上がりを折半するのが普通だと、彼は留学の時に知ったのであろう。そこへ3億円のヘッドハンティングが来た。中村先生を怒らせた理由の一つは、LED関連テーマに携わってはならないと言う退職金支払い条件であった。日亜の提示した6千万円の退職金は、20年の勤続に対するものとしては大変な高額である。しかし3億円に対しては影が薄かったであろうし、研究者の生命とも言うべき研究テーマに対する制限を前提にしているから、とうてい受けられるものではなかったのであろう。

中村先生は言う、「日本がここまで経済大国になれたのは、やはり製造業が強かったからです。その製造業を誰が支えてきたかと言えば、優秀な技術者や研究者です。彼らが独創性の高い特許を成立させながら、今日の経済力をつくり上げたのです。(相応の評価をしない今のままでは)日本の製造業は衰退するばかりです。」と。5/10の読売に宋文州氏の言葉が載っていた。「日本の工場は・・・世界一効率がよい。販売や管理部門は(それに)あぐらをかいていた・・」。異口同音である。宋氏は中国人で、「やっぱり変だよ日本の営業」というロングセラーの本を書いたソフトブレーン社の会長である。5/11 NHKクローズアップ現代は「元気な会社は”会議”が違う」と言う題であった。タイミングを外さずに短時間で結論を出すという、当たり前の会議運営がクローズアップされねばならぬほど、我が国はことに営業部門で遅れているという指摘であったのだろう。やはりNHKが立ち直ったマツダを紹介していた。フォード系列会社へのエンジン供給で息を吹き返している。優秀なエンジン技術をフォードが認めたからと言う。

私がこの裁判で本当に知りたいのは、中村先生の日亜利益への貢献度に対する合理的説明である。日本の特許法はドイツ法の流れである。そのドイツには職務発明に対する適切な額の補償の算定基準(ガイドライン)が労働大臣から公表されており、産業界はおおむねこの線に沿って補償額を算定しているという。非常に細かいところまで決めた基準だそうだ。東京地裁は青色LED関連利益の50%と判断したが、全くの丸数で、判断理由は定性的に項目を並べ立ててあるだけでお粗末にすぎる。おおよそ司法試験に通っただけの裁判官に、高度な技術問題の貢献度の判断など出来るはずがないと思わせる内容である。ガイドラインが作れないのなら、技術問題の裁判官には、理系の博士号を持つことを義務づけるぐらいの改革が必要である。

著者は中村先生とはインタビューを重ねている。私も中村先生の講演を聴いたことがある。なかなかプレゼンテーションに優れたお人だ。「スレイブ・ナカムラ」なんて言うキャッチフレーズにマスコミが飛びついた感じもある。この本にも先生の言い分は順当に採録されている。日亜は会見拒否とかでだいぶ損をしている。本として出す以上もう少し何とかならなかったのか。

青色発光ダイオードの発明者が、中村先生ではなく、赤崎勇名城大学教授であると言う記事(京大学生新聞'02/09/05号)を見たことがある。赤崎先生の藤原賞授賞式で審査委員長が、「発明者は赤崎先生です」と云ったら、会場の人々がみな驚いたそうだとある。赤崎先生の成功は'89年で、その年に中村先生が研究に着手しているという。本書でも先行基本技術の存在を肯定している。中村先生の発明は実用に耐えるダイオードの製造法特許として出されている。

日亜側の、今や中村特許は時代遅れで恩恵を受けていないかのような発言は、内容が企業秘密とあるので何とも言い難いが、基本物質特許でない限りあり得る問題だ。迂回技術である場合もある。しかし、訴訟対象の中村特許は、会社在任中の取得特許80何件かの1つにすぎないから、彼の別特許に含まれる可能性だってある。いずれにせよ日亜の現在の技術が明らかにされていないから、いわく言い難しだ。なぜそこを裁判官は突っ込まなかったのか。著者は書かなかったのか。経歴を見ると明らかに著者も文系だから、そこまでの力量を期待するのは難しいのかもしれないが。

私は研究者の給与の大半は、その専門とする学術技術分野で、自身従って所属機構を一流に保つために、日夜行う努力にたいして支払われるのだと思う。専門が分化多様化し、それぞれが猛烈な勢いで奥へ奥へと進化し分野をどんどん拡大して行く、その速度がどんどん加速されて行く。特に儲かりそうな新規分野でその傾向が激しい。こんな時代では、例えば発表論文について行くだけでも大変な重荷である。研究に真剣になればなるほどマネージャーつまり重役になるコースから外れる。終身雇用で応分の処遇をすると言っても、せいぜい社業には発言権のない窓際重役である。そういう視点はこの本にはない。本書では労働市場の流動化による終身雇用制の退化、報酬の平等主義から能力主義への変質が背景にあると無難に論じている。

中村先生の、「理系を志す子供に夢を」は、民族の将来を心配する声としてなかなかのアピール性がある。公判冒頭に陳述したと言うから立派である。確かに、イチローやゴジラを目指して野球選手になりたいと目を輝かす子は大勢いるが、だれかを目指して研究屋になりたいという子供にはまだお目にかからない。字句解釈に明け暮れる無味乾燥の裁判ではなく、大義名分をはっきりさせた簡明な一般に分かり易い裁判は我々の望むところだ。中村先生はアメリカの裁判経験を活用している。

中村修二:「怒りのブレイクスルー」、集英社文庫、'04の広告を見た。テーミス編集部:「青色発光ダイオード―日亜化学と若い技術者たちが創った」、テーミス、'04は日亜側の言い分を集めたものだそうだ。そのほかにも類書はいろいろあるらしい。この本は今までの断片的知見を要領よく纏めてくれた。
('04/05/20)

【日亜側にも立った本】青色発光ダイオード―日亜化学と若い技術者たちが創った
http://www.asyura2.com/0403/hasan35/msg/440.html


青色発光ダイオード―日亜化学と若い技術者たちが創った
テーミス編集部 (編集)ISBN: 4901331086 ; (2004/03)

アマゾンのカスタマーレビューから1つ転載します。裁判の結果については私の考えはこれに近いです。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/-/books/4901331086/customer-reviews/ref=cm_cr_dp_2_1/249-6084881-9471551

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青色LED東京地裁判決、200億円という巨額な金額に誰もがびっくりした判決ですが、青色LED「発明者」中村氏が発明の「相当の対価」(特許法35条)の支払いを求めてかつての勤務先・日亜化学に起こした訴訟でした。
 中村氏または中村氏サイドの本は数多く出ていますが、かつての勤務先であった日亜化学サイドからの初めての「反論」本です。

 「中村氏のブレイクスルー」はブレイクスルーでも何でもない、という主張がなされています。この「ブレイクスルー部分」こそ、上の訴訟で争われている特許発明2628404なのですが、これは、やはりどうみてもブレイクスルーでしょう。まあ、物理屋や電子・電気系のエンジニアで、この本のこの記述にうなずく人は皆無だと断言できます。

 一方で「青色LEDが青色LEDを産んだ」という訳で、改良にあたった(かつて中村氏につけられたであろう部下達の)技術者群像が描かれています。日亜の青色LEDですが、日本での特許取得件数は200件以上、その数々の発明の中で、中村氏一人による発明者の特許は、ごく初期の、「海のものとも山のものとも分からない」段階の5,6件だけです(上の「ブレイクスルー特許」は、この中の一つです)。これら200件以上の特許の中には、6人もの研究者による共同発明というものも数多くあります。ですので、本書のこの部分に限っては、青色LED発明の一側面をきちんとあぶりだしています。

 判決に触れた箇所は…。

 判決文(最高裁サイトで入手できます)を読めば分かりますが、日亜側は、「中村氏の発明貢献度はゼロだ」などという「何考えてんだ」みたいなことを主張しています。このような主張をしていては、当然に裁判官の心証を悪くするばかりで、大負けするのも当然、この本で書かれていることも、判決文をごく少々の民事訴訟の知識を持って読むと、説得力ゼロです。難しい言葉を使ってしまいますが、自由心証主義を採用する民事訴訟では、いったん裁判官に悪く思われたら、極端な話、100人中99人の人を説得できる論理を法廷で展開しても、負けちゃうんです(殺人とかの刑事事件を扱う刑事訴訟は、全く違いますよ)。

 なお、この東京地裁判決は、発明の発明者への「相当な対価」の金額の算定にあたり、被告日亜側の金額算定手法を採用せず、かといって原告中村氏側が主張する金額算定手法も何故か採用せず、「どこからでてきたんだ?」というような全く独自の仮定をファーストステップに置いて、更に仮定に仮定を重ねた上で、600億円という金額を最終的にはじき出しています。判決を2,3度読んだのですが、この金額算定の部分は、どうにも理解に苦しみます。この判決の金額算定方法は、日亜側がきちんとスタンスを改めれば、今後、東京高裁で金額がはるかに小さくなる方向に、大きく修正されることでしょう。

 この事件にまつわる色々な情報(ニュース、本等)、そして問題となった特許そのものや判決文を俯瞰すると、中村氏も、日亜も、そして、東京地裁も、もう、なんだかなあ…、という感じです(中村氏のそもそもの主張は、「この発明の特許権はオレのものだ」というものです。当然にこの部分は認められませんでした。中村氏は、だから、勝ってはいないんです)。

 最近、私の住む地域で、青色LEDの信号機が急増しました。従来のものよりも飛躍的に見やすく(特に「矢印の青」)、クルマの運転をしていて青色LEDの恩恵にあずかっているなあ、と思わされます。しかし、この信号機で使われている青色LEDは日亜化学の200以上もの特許発明が有機的に結合して僕の眼前を灯しているわけで(実際は50くらいか?)、たった1つの特許発明がもたらしたものでもなく…。

 そして今、「200億」という数字の魔術というのか、マスコミが中村氏を時代の寵児みたいに持ち上げてみたり(ブレークスルーの功績自体は素晴らしいと思いますけど)、経済団体がケシカランと発言してみたり…、訳分からない事態になっちゃってるわけでしょう?

 そう考えると、青色LED関連の本(中村氏サイドの方も含めて)は、どれを読んでも複雑な気分になってしまい、この50年に1度というくらいの素晴らしい大発明(群)の価値を自分たちの手でいたずらに貶めているようで残念でなりません。

 この本の星2つは、日亜の技術者達の群像を書き出したところを評価したもので、この部分は東京地裁裁判官も含めて世の誰も認めていない部分です(ここを裁判官が完全に見落としたために(日亜も主張しなかったが)、600億円なんていうとんでもない金額の算定をしてしまった)。ですので、この部分だけはは読む価値があり、また、この「大事件」を知るためのバランス感覚を培う上でも、一読なさることをお勧めします。

(引用ここまで)

そして、今回のノーベル賞受賞である。  

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コメント
 
01. てんさい(い) 2014年10月08日 04:32:50 : KqrEdYmDwf7cM : 0kUGInjLpY
【ノーベル賞の謎】日亜化学工業・小川信雄社長と中村修二 何故ローカル企業が3億円の開発費を出せた?
http://matome.naver.jp/odai/2141269223608006001
より抜粋

父一代の日亜化学―青色発光ダイオード開発者中村修二を追い出したのは誰だ!
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4882181185/asyuracom-22

第1部 洗脳の果て(中村問題の裏の裏
父を裏切った銀行員
社長宅の用心棒
欲深き住職
堕落した医師
中村特許にタカる人々)
第2部 泉下の悔い(貧困と献身
母娘三代婿養子
監禁虐待そして横領
風樹の嘆)

"裁判における日亜化学側の代表者は、小川英治氏である。小川家が創業家だということは知っていたので、英治氏も創業者の実子だと思っていたのだが、創業者である小川信雄氏の長姉和子氏の婿養子として迎えられた人だった。"

この抜粋元から引用

血脈…C日亜化学異聞

中村修二氏と日亜化学の裁判には、どうも血脈的な背景があるらしいことを知った。
小川雅照『父一代の日亜化学』洛風書房(0504)に、その特殊事情が記されている。サブタイトルとして、「青色発行ダイオード開発者中村修二を追い出したのは誰だ!」が付されており、著者の肩書きは、「日亜化学工業株式会社創業家実子」となっている。

裁判における日亜化学側の代表者は、小川英治氏である。小川家が創業家だということは知っていたので、英治氏も創業者の実子だと思っていたのだが、創業者である小川信雄氏の長姉和子氏の婿養子として迎えられた人だった。
著者の雅照氏は、信雄氏の三男であるが兄2人が夭折したので、実質的な長男として育てられた。
一時期日亜化学に在籍していたが、雅照氏の夫人と、信雄氏の妻との間に「嫁−姑」問題などがあって、退社した。

そういう事情があるから、雅照氏の主張を一方的に信じることはできないのかも知れないが、先代の創業者信雄氏に可愛がられていた中村氏が、日亜化学から離反することになる事情について、納得させられるものがあることは確かである。
というのは、創業家の実子で雅照氏の弟の智滋氏も、日亜化学を退社することを余儀なくされているからである。
智滋氏は、日亜化学の常務取締役であったが、信雄氏亡き後平取締役に降格され、さらには取締役からも外されたらしい。

創業者の信雄氏は、中村氏の才能を高く評価していた。
それは信雄氏自身が、職人的な技術者だったことが大きな要因だった。
信雄氏の下で、中村氏は自由な研究環境を与えられ(とはいえ、地方のさほど大きな企業ではないから、設備等が充実していたわけではない)、独創的な開発にチャレンジすることができた。
裁判で、日亜化学は、中村氏が発明した「404号特許」は実際には会社の事業に貢献していない、と主張していたが、職務発明対価を求める裁判の前に、特許を実施する権利の帰属についての争いがあったことからしても、日亜化学の主張は不合理と考えるべきだろう。
同特許の経済的価値を、新日本監査法人は−15億円と査定したが、これは依頼者の日亜化学の意向に沿うように算出したものと言わざるを得ないだろう(12月16日の項)。

婿養子の英治氏には、偉大だった創業者に反発する気持ちもあったのだろう。
創業者の2人の男の実子はいずれも会社から離れているし、日亜化学の現在の好業績をもたらした中村修二氏も会社を離れる結果となった。
もちろん一方からの見方ではあるが、雅照氏が1つの喩え話を創作していて分かりやすいので抜粋・引用する。

ある地域が広大な砂漠で、住民も旅人も井戸が出来ることを待ち望んでいた。
そこへ地質学等の専門知識を学んだ若者がやってきて、ある場所に狙いを定めて掘り始める。
若者の主人は遠くから眺めていて、「そんなところから水が出るわけがないから、止めて別のことをしろ」という。
若者は、主人の嫌がらせを受けながらも穴を掘り続けた。
ある日、穴の底から湿り気のある砂が見えたかと思うと、瞬く間に水が沁み出て豊富な水が湧き出した。
主人の父親(養父)は、その成功を我が事のように喜び、若者を褒め称えた。
主人は、「これは組織の力だ」と若者が掘り当てた井戸に大勢の部下を投入して、石組みを施し、ポンプを設置して村の中心部まで水管を通した。
主人は若者1人の力ではないことを強調し、若者が学んだ地質学さえ否定した。
主人の父親が病床に伏して人事不省に陥ると、若者は失意のうちに主人のもとを去った。

青色発光ダイオードの製品化に関しては、「モノ生み」と「モノ作り」、「個人と組織」、「理系と文系」など、多くの教訓が秘められているように思う。


02. てんさい(い) 2014年10月08日 07:59:39 : KqrEdYmDwf7cM : 0kUGInjLpY
なぜLEDによるブルーライトが目に悪いのか? - 岐阜薬科大が仕組みを解明 確かにアレは異常に眩しい。つうか、気分が悪い
http://www.asyura2.com/13/health16/msg/608.html

03. 佐助 2014年10月08日 08:46:10 : YZ1JBFFO77mpI : WBNBGXIFfM
なにがともあれLEDは
収穫を千倍にして世界の食料危機を救えことが出来るLED植物工場

光ダイオードの発明は,光(電子液)から,熱を切り離して観察することを教えてくれている。LEDの赤と青の光は、低くて頑丈な茎と広い葉をもち、収穫量を十倍にでき稲を、水中を進行するベルトコンベア上で成長させ、自動的に刈り取ることも可能となる。耕作放棄にカネを出すより、LED植物工場に投資すべきである。

外気からの影響を排除できるLED植物工場だけが、世界と日本を食料危機から救うことができる。そして、食料の原価を、百分の一以下に引き下げることが可能になる。遺伝子組み替え作物も、相手の細胞表面の分子を反転させれば、効果はなくなる。自然は生物を、何億年かけて、環境に適応するためには、常に形質を変化させてきた。遺伝子組み替え作物が、太陽光線下で成長するかぎり、永遠の効果は保証できない。

太陽光発電率に効率は25%以下と低い。常に太陽から放射されている電子の波は、100%の効率で電力と蓄積を放出することができ、半導体のサイズで造れる。植物工場の投資と稼働を、10分の1にできる。LEDは食料危機を救えことが出来る。


04. 2014年10月08日 10:11:16 : nJF6kGWndY

個人より全体という思想が、日本経済を発展させ、そして衰退させるということかな

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20141007/272279/?ST=print
ノーベル賞学者は10年前、「敗軍の将」として何を語っていたか

2014年10月7日(火)  小笠原 啓

 「こんな国では、もう仕事なんてできませんよ」

 2014年のノーベル物理学賞が、米カリフォルニア大学の中村修二教授ら日本人3に贈られることになった。一報を聞いて記者の脳裏に浮かんだのは、激烈な口調で不満をぶちまける、怒りに満ちた中村氏の表情だった。

 記者が中村氏に取材したのは、2005年の1月上旬。いわゆる「青色LED訴訟」が和解に至り、中村氏が事実上敗北した直後のことだった。インタビュー内容は、日経ビジネス2005年1月24日号の「敗軍の将、兵を語る」欄で4ページにわたり掲載した。

 今から振り返ると、中村氏が10年前に見せた怒り、あるいは怨念のようなエネルギーが、ノーベル賞を引き寄せたように思える。お祝いムードに水を差す格好になり恐縮だが、「敗軍」の記事から中村氏の原動力を探ってみたい(引用文の肩書きは記事掲載当時)。

 日本の司法制度は腐っている――。言いたいことは、この一言に尽きますよ。本当に頭にきています。

 (2005年)1月11 日、「青色LED(発光ダイオード)」の発明対価を巡って私と日亜化学工業(徳島県阿南市、小川英治社長)が争っていた裁判が和解しました。昨年(2004年)1月の東京地方裁判所判決では、私が発明した「404特許」が青色LEDの製品実用化を可能にしたと指摘し、約604億円の発明対価を認定しました。そして日亜化学に対し、請求額の200億円を支払うよう命じました。

 それが東京高等裁判所の和解勧告ではわずか6億円。利息を合わせても8億4000万円ですよ。しかも404特許だけではなく、私が日亜化学在職中に発明した全特許の対価だというんですからね。もうむちゃくちゃです。初めから「100 分の1」という落としどころを決めていたとしか考えられない。

 もちろん大いに不満ですよ。でも高裁の和解勧告は判決とほぼ一緒で、最高裁に上告しても勝てる見込みはほとんどない。それで、升永英俊弁護士と相談して和解することにしました。和解とはいえ、完全に私の負けですよ。

 負けを認めつつも、素直にそれと向き合えない。むしろ徹底的に司法制度を罵倒することで、自らの正当性を主張する。この「諦めの悪さ」こそが後のノーベル賞に結びついたのだろうが、当時はそう感じざるを得ない事情があった。

 ここで裁判の前史をざっと振り返っておこう。

 中村氏は1979年に徳島大学大学院工学研究科を修了し、日亜化学に入社。1990年に「ツーフロー方式」と呼ぶ、窒化ガリウム結晶成長技術の特許(404特許)を出願した。これが、高輝度の青色LEDの道を開いたとされる。そして1993年に日亜化学が青色LEDの製品を発表し、同社の業績は右肩上がりで急成長していった。

 99年12月に日亜化学を退社した中村氏は、翌2000年2月に米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授に就任した。そして2000年12月、米国において日亜化学が中村氏を企業秘密漏洩で提訴。これに対し、2001年8月に中村氏が日亜化学を東京地裁に提訴した。これが4年に及ぶ青色LED訴訟のきっかけだった。

 この過程で中村氏は、日米の司法制度の違いを目の当たりにする。

 私は米国でも裁判を経験しているので、日本の裁判制度自体に非常に矛盾を感じるんですよ。

 米国では証拠書類の開示が本当に徹底しています。相手側の弁護士が要求する書類を全部出さないとダメ。パソコンは全部押収されましたし、私が消したアダルト関連の迷惑メールまでチェックされるんですよ。

 ところが日本では、そんなのないんです。今回の訴訟に関する証拠、私の研究ノートや特許書類は全部日亜化学が持っています。持ち出したら本当に企業秘密漏洩になりますからね(笑)。それを提出しろと言っても完全に無視。しかも裁判所は何も言わない。そのくせ日亜化学側は、自分たちに有利な証拠書類だけを出してくる。

封建制度を引きずる裁判官

 一方、こちらは記憶だけが頼りですからね。日亜化学側が提出した証拠書類に反論したり、我々に有利なことが書いてある部分を引用したりはできますが、十分とは言えない。こんな状況では対等な裁判なんてできませんよ。

 だから日本では真実がよく分からないんですよ。そこで裁判長が「お前ら両方の主張はよく分からんから、わしが全部決める。落としどころの判決はこれじゃー」と言って終わり。封建制度そのままの、まさに裁判長の独壇場。江戸時代から全く変わってない。

 こうした不満を、中村氏が以前から持ち続けていたわけではないだろう。2004年1月には東京地裁が、404特許の発明対価を約604億円と認定し、請求額の200億円を中村氏に支払うよう命じた。この結果、「会社vsエース技術者」という対立構造が浮き彫りになり、中村氏はその代表選手として強烈な光を浴びるようになった。

 地裁で200億円判決が出た時は、これはいけると思ったんですよ。経済団体の幹部たちが「とんでもない判決だ」とか言ってましたが、現場のサラリーマンの99%は私の味方だったと思います。「会社にばれるとまずいので名前は出せないが、陰ながら応援している」といったメールを、いろいろな会社の方から頂きました。研究者も技術者もみんな意気揚々としてましたね。

 それに地裁の判決以降、多くの企業が報酬制度を見直しました。先日ある会社の人に会いましたが、そこでは報酬が天井知らずに変わりました。その人がこう言いました。「うちの会社の報酬制度で中村さんの発明対価を計算すると、軽く100億円を超える」と。

 日亜化学は不服として控訴し、東京高裁に舞台が移った。しかし中村氏は、自らの主張が覆されるとは夢にも思わなかった。

 約1年間控訴審をやってきましたが、私としては負けるなんて思ってもいなかった。地裁の三村(量一)裁判長は発明対価を約600億円と認定しましたが、高裁ではさらに1000億円ぐらいになるんじゃないかと自信を持っていました。地裁の時も完璧でしたが、さらに完璧を期した準備書面を升永さんと作って高裁に出していましたから。100%なんかじゃなくて、1000%勝てる確信があったんです。

 2004年12月24日、その自信は打ち砕かれる。東京高裁が日亜化学と中村氏双方に和解を勧告したのだ。

 和解勧告が出たというので、法廷から帰ったと思われる時間に升永さんに電話したんですよ。和解だから1000億円とゼロの中間で、数百億円ぐらいだろうと期待してね。そうしたら秘書の方が「今、升永は忙しくて電話に出られません」と言うんですよ。しょうがないなと、4〜5時間してまた電話しました。

 「升永さん、どうでした」と聞いたら、「中村君に電話したかったんだけど、落ち込んで廃人になっていた。心の整理をして中村君に言うために、今まで考えていた」と。そして「裁判長の意見では、和解は6億円だ」と。

 えーって、耳を疑いましたね。むちゃくちゃじゃないですか。それで即、言いましたよ。こんな和解勧告は無視して、判決を待ちましょうよと。すると「和解勧告は判決文とほぼ一緒。6億円は全部の特許に対する対価だから、(訴訟の争点の)404特許に限ると判決はよくて2億円」と言うんです。

 それでも納得できなかったので、2億円でもゼロでもいいから最高裁までいきましょうと言いました。そうしたら「最高裁は憲法審議をするところで、お金などの事実審議は高裁で終わり。最高裁で勝てる確率はほとんどない」と。そして「ありとあらゆる可能性を考えるけれども、和解がベストだと思う」と升永さんに言われました。

 最終的に中村氏は和解を受け入れ、法廷闘争は終結した。しかし、本人は決して納得していなかった。発明対価の算出方法が、地裁と高裁で大きく異なっていたのが最大の理由だ。

 6億円という数字に根拠なんて全然ありません。これまで発明対価は「超過利益」が判例の基準になってきました。日本の電機メーカーの場合、売り上げに対する利益率は良くて5%ぐらいでしょう。これが「普通の利益」になります。超過利益というのは(発明が売り上げに貢献した年の)総利益から、普通の利益を引いたものです。その超過利益と発明者の貢献度を掛け合わせることで、対価は決まります。

 私のケースだと、日亜化学では売り上げに対する利益率が60%。だから「60%−5%=55%」が超過利益になります。地裁では超過利益を1200億円と算出し、私の貢献度を50%と認定した。それで、600億円という発明対価になったんです。

誰も発明する気なんて起こさない

 今では超過利益は2000億円ぐらいになっているでしょう。それに対して、高裁が認めた対価は6億円。しかも全部の特許をひっくるめたものなので、争点の404特許だとせいぜい2億円になります。2000億円の2億円。だから私の貢献度は0.1%ということですよ。こんな話がありますか(注:高裁でも中村氏の貢献度は5%と認定したが、発明による売り上げなどの算出方法が異なる)。

 自分で言うのもおかしいですけれど、(青色LEDは)50年や100年に1度の発明ですよ。普通の発明だと超過利益は10億円あればいい方でしょう。でも貢献度が0.1%だとすると、対価はたったの100万円。これでは誰も発明する気になんてなれないし、訴訟なんて起こさなくなると思います。

 金銭の話を強調する背景には、中村氏の信念がある。資本主義社会においては、仕事の成果に応じた報酬が支払われるべきだ。できる人とできない人が同じ処遇を受けるなら、それは社会主義に他ならない。裁判の目的は、日本に蔓延する社会主義的な風潮を打ち破ることにあったと、中村氏は語った。

 だが、裁判を通じてその願いは叶えられなかった。青色LED訴訟の和解が、日本の技術者にどんな影響を及ぼすのか。記者がそう話を向けると、「怒り」とよりもむしろ「諦め」のような発言が目立つようになった。

 (地裁の600億円から)高裁では6億円でしょう。せっかく企業が(報酬制度を)考え始めたのに、明らかに逆行してしまった。技術者の方々から「愕然とした」というメールがたくさん来ましたよ。こんなので納得したらダメだというお叱りも受けました。皆さん意気消沈しています。

 地裁判決の後、私は「子供に夢が与えられた」と言いました。プロ野球選手になりたいと思うように、子供が優秀な技術者になりたいと思うんじゃないか。でも、6億円では厳しいですね。巨人の選手なら1年で6億円稼げますよ。5年間で30億円です。

日本の技術者全員の敗北

 しかし企業に勤める研究者、技術者はどんなに頑張っても、一生に1度の大発明をしても6億円しかもらえないんです。サラリーマンならそれで我慢しなさいという意味ですよね。

 極端ですが、企業研究者や技術者はカネの話をしたらいかん、黙々と会社に滅私奉公しろと、高裁は言っているわけですよ。お前らは奴隷だから、もう何もやらんと言うのに等しい。結局日本では大企業が一番で、個人はどうでもいい。これまでと全然変わっていないんです。

 今回の裁判にも多少の意義はあったと思います。しかし裁判所は、大企業中心の現状を維持する判断を下しました。ちょっとは良くなったかもしれませんが、技術者が抱いている閉塞感とか(企業社会の)システムを大きく変えることはできませんでした。そういう意味では、日本の技術者全員の敗北だと言えると思います。

 本当に悲しいことですが、裁判所が保守的である限り日本は何も変わらない。技術者が全員海外に出ていって、日本がおかしくなるまでは真剣に考えないんじゃないでしょうか。

 「こんな国では、もう仕事なんてできませんよ」。冒頭で紹介したこの言葉を残し、中村氏は米国へと帰っていった。そして今も米国を拠点に研究を続けている。

 2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した、山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所所長は、本誌の取材に対しかつてこう語った。「中村先生は勇気を持って、当然の権利を主張したと考えています。その彼が、今は米国で教壇に立っている。日本人としては寂しいことです。すごい技術を開発した研究者に、日本の若い人たちが学び、後に続くことができたら、どれだけ素晴らしいことか」。

このコラムについて
ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。


05. 2014年10月08日 18:34:21 : RQpv2rjbfs
日本も組織改革を頑張らないとこれが最後のノーベル賞になりかねない。
政府に危機感はあるんだろうか。ねーだろうな、総理大臣にしてあれだもの。

06. 2014年10月09日 05:27:56 : deuqCHIbN6
どうも中村氏の特許裁判では雲行きが怪しい感じがするけど。

中村氏1人で成し遂げたことは,GaN単結晶を作製したことのみ。

高輝度青色LEDは複数の層からなっていて、その他は別の研究者が開発したみたい。

中村氏が貰えるのなら松岡氏、妹尾氏、山田氏、向井氏、岩佐氏、長浜氏も当然入れるべきじゃないのかな。

http://techon.nikkeibp.co.jp/NEWS/nakamura/mono200406_3.html


07. 2014年10月09日 06:12:28 : hxI6yg9xeM
この日本人のノーベル賞受賞

山中伸弥の時と同様

あやしい



08. 2014年10月09日 07:28:07 : wmIU8Hls8Q
後発メーカー星和電機株式会社は
H/P(http://www.ashisuto.co.jp/corporate/column/users-voice/detail/1193009_2272.html)で、

「LED製造においては先行各社で様々な特許を持っています。
星和電機は、先行の特許に触れない独自の方法で製造しています。
製造方法の開発には苦労がありますが、特許料の支払いはありません。」

特許使用者が皆無の特許って、どうなんでしょうかね・・・


09. 2014年10月09日 07:50:44 : I1dXExxYp2
技術屋から見ると、それができることがわかれば再現することは簡単だ。一方できるかできないかわからないことのブレークスルーを発見することは至難の技でありその価値は失われない。これはノーベル賞でお墨付きがついたいま、言うまでもないことだが。

大体200億なんぞその商業的価値に比べればいくらでもなく、別に驚きもない。
一部の優秀な人間に多くの無能な人間が寄生する日本社会の構造は鎖国する以外に成り立たせる方法が無いので、今後は能力と意欲のある研究者はみなアメリカに行くだろう。よい傾向だ。


10. 2014年10月09日 09:12:35 : INmRx7FCeK

日本の特許法はドイツ法の流れである。

そのドイツには職務発明に対する適切な額の補償の算定基準(ガイドライン)が
労働大臣から公表されており、産業界はおおむねこの線に沿って補償額を算定しているという・・・・。

だが、
日本は職務内の特許は「会社に帰属する」という法律に変えようとしている。
そう報じられているが・・・どうなのか?。人材が外国に逃げるのでは?


11. 2014年10月09日 10:11:39 : NQKMRP9F0A
青色LEDからでんじ波が出るから人体には有害だそう、、(ーー;)
。。。。

12. 2014年10月09日 22:34:52 : XXhldHt4HI
>日本は職務内の特許は「会社に帰属する」という法律に変えようとしている


企業のための現内閣ですから、当然でしょう。

他にも
死ぬまで働け、倭民法
正規社員は不要、パンメ法
残業代は無用
首切り自由

徑団連が喜ぶ法案が目白押し。


13. ばかなこと[250] gs6CqYLIgrGCxg== 2015年12月12日 05:20:04 : ea87LB8lXE : QLXs07ycaI8[252]
赤崎勇
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E5%B4%8E%E5%8B%87
この人達変な鹿児島の青色LEDノーベル賞の影で、私はIOSの日本語チームの
変な出水の女に襲撃や、スパムを受け付けられたわけですが、
この人達、何考えてるんでしょうか?
普通に暮らしてる我が家において、空襲を受けたので、それで屈辱だから
私を襲撃したり、80sの高校時代から、就学妨害して、更には、
変な東海大付属高校中退者を中東で殺すような嫌がらせの事件を作ったんでしょうか?それもアメリカの国旗にまかれていた、それはどういう侮辱なんでしょうか?
よくこんな卑劣な工作が出来ますね。
それでノーベル賞って情けないと思いますよ。それで、アメリカで研究してるってのが、意味不明ですね。
鹿児島は変な所で、80s代は私は高校生でしたからね。
よく妨害や嫌がらせが出来たものだと思いますよ。憲兵みたいなバカな日本人に囲まれて。稲盛だっけ?
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A8%B2%E7%9B%9B%E5%92%8C%E5%A4%AB
鶴丸出身の高卒でしょう?

それで、LEDとかアップルウオッチとか、変なものが最近多いですよね。
NECウオッチってアップルウオッチだし。

なんのつもりで、変な鹿児島の人達が私の周辺でうろうろしたり、
情報工作したり、更には変な音の電話かけてきたり(これは、95年頃も有りましたが)
それで、80sと2004の事件が同じで、何が楽しいんですか?

頭がおかしい集団にしか見えませんけれど。

で、我が家は、アメリカ人のまあ、ベンジーだったとして、
お雇いじゃないですか? よこでこういう鹿児島藩士みたいなのが、
日本のクリスチャンの首をわんさと切ってる横で、脅されながら仕事しないと
ならなかった立場ですし、

福岡とか四国とか、鹿児島とか、何を考えて産業だとか、政治だとか、
NHKだとか悪用しているのか、だから最初から、やくざが多いと指摘したんですけれどね。

泥棒にも入られたし、それが近所の日産関係の勤めの妻などでしょう?
あとなんです?就業妨害されたし。

で、アメリカで研究して、私に暴行を加えて脅す為に、青色LEDを
米軍に持ち掛けて利用してみました、みたいな。

残酷性の自覚が全くない人達だと思いますね。

まさか天皇も、そいえば天皇も 医薬品実験に犬でもなくてPOWや
慰安婦や、中国人を使ってたんですよね。

これだけ、残酷な変な実験を94、2013とやるくらいなんで、
そのくらいやったんでしょうね。

日本なんて、無くなればいいと思いますよ。

悪質にして幼稚で、経済も武器も持たせないでいいし、間違っても
NHKやらせるなって言いたいですね。


悪質な、まあ、性懲りのない、歴史をねつ造して、個人に擦り付ければ
ハッキングと同じそれでいいかと思って。

これは、心理が出てますね。擦り付ければ済むと思ってるわけで、
まだ逮捕されてないでしょう。

この出水などのハッカーたちね。

しれっとしてそのままスルーしようとしてますね。

ホテルがどうとか、意味不明な事言って、それがごまかせると思ってる
これらの田舎者たち。

ダメですよ、ちゃんと処罰しないと。

で、こんなもの機密にもならないですね。

ばかじゃないの?



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