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再生エネ買い取り中断の背景 電力会社が嫌う発送電分離など自由化推進を
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141007/dms1410070830003-n1.htm
2014.10.07 「日本」の解き方 夕刊フジ
エネルギー政策の中に「再生可能エネルギー買い取り制度」という仕組みがある。その名の通り、太陽光など再生可能エネルギーで発電された電力を一定価格で電力会社が買い取る制度だ。世界各国で採用されている標準的な政策で、日本では、2011年8月に法案が成立、12年7月からスタートしている。
ところが、この分野に参入する企業などからの申し込みが急増し、送電線の容量を超えてしまう可能性も出たことで、買い取り手続きを中断する電力会社が出てきた。再生可能エネルギーは発電コスト以上の価格で買い取るため、電力会社の持ち出しが大きすぎるという事情もあるようだ。
この買い取り制度は、諸外国と同様に効果があったことはたしかだ。この制度を採用している国が多いのも納得できる。問題は「買い」と「売り」の価格をどのように設定するかである。需給状況を見ながら価格改定をするのは当然のことだ。
電力会社の言い分は、理解できなくもないが、本音としては自社の持つ発電施設との関係で再生エネルギーを嫌っているのではないか。
「発電」と「送電」を分離させておけば、もう少し議論はすっきりする。発送電が完全に分離されていた場合、送電会社としては、発電分野で再生可能エネルギーの参入が多いことは歓迎である。参入が多いなら、送電網の設備投資増で対応することもあるだろう。
一方、発送電分離が行われていない現状では、再生可能エネルギーの参入が多いことは自社の発電部門にとっては望ましくない。その結果、送電網の増設ではなく、再生可能エネルギーの買い取りを抑えることもありうる。また、発送電分離せずに発電施設間の競争が適正になされていない状況では、買い取り価格の妥当性もチェックしにくい。
つまり、買い取り制度は発送電分離の下でよりよくワークするし、適正な買い取り価格も決めやすくなるわけだ。
こうした点を踏まえれば、今の時点で再生エネルギー買い取り中断という判断は、発送電分離されていない現状を固定化させるおそれがある。簡単にいえば、原子力関係の補助金をそのままにしておくので、再生可能エネルギーの方には回さないというわけだ。
経済産業省が9月30日に発表した試算によると、現在の買い取り制度では、電気代に上乗せされる利用者の負担額は年間2・7兆円、国民1人あたりで約2万円になるという。この試算の妥当性を検証するとともに、発送電分離の自由化措置を織り込んだ最適エネルギー政策を模索しなければいけない。
原子力発電の社会的コストは思いのほか高いので、将来の最適エネルギー構成では原子力の位置付けは今の政府の想定より低くなるはずだ。そうした将来像を構築するには、買い取り制度の見直しでは不十分で、発送電分離などの自由化措置を、同時並行的にまたは先行して推進していくことが必要だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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