05. 2014年10月07日 23:25:21
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アングル:黒田総裁のメッセージに微妙な変化、QQEに期限なし 2014年 10月 7日 21:23 JST [東京 7日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は7日の会見で、現行の「量的・質的金融緩和」(QQE)は予め期限を区切った政策ではないと語り、当初は強調した「2年で2%」のメッセージから微妙にカジを切り始めた。背景には丸2年が経過する2015年4月4日が目標達成の期限ではないと市場に伝える意図がありそうだ。ただ、市場にはQQEの先行きで多様な思惑が出ており、日銀が何らかの意思を表明する時期が、次第に迫っている。 日銀は昨年4月のQQE導入時に、物価目標の達成時期について「2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」と大々的に打ち出した。2年「程度」の範囲は現在でも明確ではなく、物価2%やマネタリーベースと違って目標という位置づけではないが、市場では2年で達成できるかが政策判断の重要な要素とみられている。 総裁は会見で、2%の物価安定目標を2年で達成する考えに変わりがないかを問われ、「2年で2%をできるだけ早期に実現するため、量的・質的緩和を導入したのであり、その意図は変わらない」と強調した。 2%を目指す強い意思に変更がないことを示し、物価目標へ向かう足取りに関する市場の期待が、無闇に弱くなることがないよう配慮した発言とみられる。 実際、内需中心に景気が回復する中、人手不足が顕在している労働市場の影響で、賃金が上がり出しているだけでなく、需給ギャップも着実に改善。今後も2%に向かって物価が上昇していくと2年程度での目標実現にも自信を示した。 一方で、QQEは物価2%の安定的な実現に必要な時点まで継続する、としていることを指摘し、「政策自体はカレンダーベースではない」とし、予め期限を示している政策ではないと強調した。 市場の一部には、QQEを発表した2013年4月4日から丸2年が経過する15年4月4日が日銀の提示した政策の期限であると認識している参加者がいるのも事実。 この総裁の発言には、15年4月4日が「緩和停止」「追加緩和」の判断を下す際の期限と思っている向きに対する「メッセージ」の可能性もありそうだ。 また、総裁は追加緩和の可能性について「来年度を中心とした時期に2%の物価安定目標が達成される状況であれば、調整を行う必要はないし、そうでなければ調整を行う」と言明。「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で示したシナリオが維持できているかが判断基準になるとの考えを表明した。 物価が想定のシナリオに乗っているのか、それとも外れているのかが判断基準になると明言したと言える。その意味で、足元での大幅な円安は、先々における物価上昇を押し上げる要素としてカウントされる可能性があるとみられる。 一方、様々な思惑が交錯するマーケットでは、QQEに対し、正反対の解釈がある。1つは、円安による輸入物価上昇を通じた物価上昇圧力の増大に対する批判だ。 他方、消費税率引き上げ後の景気のもたつきなどを背景に、追加緩和観測もくすぶる。複雑な情勢の中で、2年という期限が強く意識されれば、政策期待がひとり歩きする可能性も否定できない。 こうした状況の下で、この日の総裁は「金融政策はあくまで物価安定が第一の目標」と強調した。 シナリオ重視を強調することで、政策への過剰な期待の高まりをけん制する狙いもありそうだ。 しかし、15年度中という新しい期限でさえ、かなり先に存在するマイルストーンではない。現行のQQEをどうするのか、日銀が何らかの意思を表明する時期が、そう遠くない時期に到来する可能性は否定できないだろう。 (伊藤純夫 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0HW12820141007 日銀決定会合、黒田総裁がQQEは期間限定でないと明言 2014年 10月 7日 19:16 JST [東京 7日 ロイター] - 日銀は6─7日の金融政策決定会合で、量的・質的金融緩和(QQE)の現状維持を決めた。軟調な鉱工業生産を反映して生産の判断を引き下げたが、景気が緩やかな回復を続けているとの基調判断は据え置いた。 黒田東彦総裁は会見でQQEは「カレンダーベース(期間限定)ではない」とし、期限を2年に限定してはいない点をあらためて強調した。足元の急速な円安については、日本経済にプラスとの見方を繰り返したものの、やや慎重な言い回しで表現した。 <総裁の国会出席で16年ぶりに会合中断> 会合2日目の7日は、黒田総裁が参院予算委員会に出席するため、1時間半弱会合が中断された。総裁の国会出席のための会合中断は速水優総裁時代の1998年9月以来で、16年ぶりの異例な事態だ。 会合では景気について「緩やかな回復を続けている」との総括判断を据え置いたが、「生産面を中心に弱めの動きがみられている」との表現が加わった。生産については「在庫調整の動きもあってこのところ弱めの動き」とし、従来の「基調として緩やかな増加」から下方修正した。個人消費について反動の影響が「ばらつきを伴いつつも全体として和らいできている」とし、従来の「徐々に和らぎつつある」から小幅に変更した。 <白井委員が独自提案> 委員の中で木内登英氏が、従来通り2%の物価上昇率達成を緩やかな目標とするよう提案し、反対多数で否決された。白井さゆり委員は「予想物価上昇率が全体として上昇している」との文言を「横ばい指標が多くなっているものの、やや長い目でみれば上昇傾向は続いている」と変更するよう提案し、否決された。 会見で黒田総裁はQQEについて、期間を2年と限定したものではなく、「物価目標を実現し、安定的に持続するまで続ける」とあらためて述べた。 一方、「2年程度の期間を念頭にできるだけ早期に実現するためQQEを導入した意図に変わりはない」と述べ、現時点で「2年」の旗は降ろさない姿勢を強調した。 <円安、「これまでは自然な動き」> 9月以降の急激な円安について「テンポが速いという見方や、行き過ぎたもの(円高)の是正、日米金融政策の違いというひと人もいる」と指摘。「これまでのところ、行き過ぎた円高の是正や日米の金融政策の違いに注目した自然な動き」とした。 為替については「重要な指標のひとつ。水準や1日の変化率ではなく、実体経済や金融の状況から物価への影響に着目」していると述べ、「そのような観点から見て、何か異常なことが起こっているとは思わない」と述べた。 もっとも、円安の背景について「金融政策や各国の成長率など様々な要因がからまっている」と述べ、これまでにない説明を付け加えたことが注目を集めた。 総裁会見についてSMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「カレンダーベースではないと表現したことと、為替動向について慎重に言葉を選んだのが特記事項」と指摘している。 為替市場では、決定会合の結果や総裁会見を控えて投機筋の買い戻しが活発化し、前日円高方向に進んだドル/円の下落幅を半分取り戻した。午後には安倍晋三首相による円安のデメリットに触れた発言で弱含んだ。総裁会見への反応は限定的だった。 (竹本能文 編集:山川薫) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0HW0S620141007 |