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「Xperia Z3」PRイベントの様子
ソフトバンク、なぜソニー端末発売開始?共に主力事業苦戦と戦略転換で思惑一致か
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141007-00010006-bjournal-bus_all
Business Journal 10月7日(火)0時10分配信
10月1日、ソフトバンクモバイルが発表した内容が、大きな驚きをもたらしている。それは、同社がソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Z3」を販売すると決定したことだ。
これまでソニーモバイルは、国内ではNTTドコモとKDDI(au)に端末を提供してきた実績はあるものの、ソフトバンクとの取引実績はない。それにもかかわらず、ドコモが「Xperia Z3」の発売を発表した翌日にソフトバンクからも発売が発表され話題となった。
過去を振り返ると、ソニーモバイルの前身であるソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズが、2004年にソフトバンクの前身であるボーダフォンの日本法人に「802SE」を、11年にはイー・アクセス(現在はソフトバンク傘下のワイモバイル)に「Sony Ericsson mini S51SE」を供給した実績がある。だがいずれも、各社がソフトバンク傘下になる以前の話であり、それぞれがソフトバンクに買収されて以降、端末供給に向けた動きは見られなかった。
それだけに、ソニーモバイルがソフトバンクに、しかも最新のフラッグシップモデルを提供するということは、多くの人に驚きをもたらしている。しかしなぜ、これまで取引のなかった両社が関係を持つに至ったのだろうか。両社を取り巻く背景を元に考えてみたい。
●ソフトバンクはMNPと差別化要因減少で不振
まずソフトバンクの最近の動向をみると、事業全体としてはアリババの上場などで好調さを見せている部分があるものの、実は主力事業となる国内携帯電話事業は調子を落としている。実際、今年の4〜6月期決算を見ると、端末の出荷台数減少により減収となっている上、解約率も上昇しているのだ。
しかも、従来ソフトバンクの強力な武器となっていた「iPhone」をライバルキャリアも扱うようになったことで、他社との差別化が難しくなりつつある。「iPhone 6/6 Plus」の初動販売では好調を維持しているものの、購入者の多くが同社の機種変更ユーザーと見られ、従来のように番号ポータビリティ(MNP)による他社からの流入はさほど増えていないようだ。
加えて、春商戦におけるキャリア同士の激しいキャッシュバック合戦が多くの批判を集め、自粛傾向が強まっていることから、ユーザーが積極的にMNPをする理由に乏しい状況だ。それゆえ大手キャリアは互いに他社からユーザーを奪うことが難しくなり、競争が停滞してきている。国内では後発キャリアであり、他社からユーザーを奪うことで拡大を続けてきたソフトバンクにとって、MNPで顧客を獲得できなければ端末販売台も停滞することになり、減収に至る可能性が高い。
そうした中、ソフトバンクは「iPhone」に大きく依存した端末戦略を改め、「Android」端末の販売強化を進めて競争力を高めようとしている。ただし、いたずらに端末数を増やすのではなく、あくまで魅力や特徴のある端末を提供することを重視しているようだ。フレームレス構造を実現した「AQUOS CRYSTAL」を、シャープやソフトバンク傘下の米スプリントと共同で開発したのも、そうした同社の狙いを象徴している。
「Xperia」は、国内では「iPhone」に次ぐ人気を獲得しているブランドの端末であり、他キャリアと比べた場合の“穴”を埋める上でも重要との判断に至ったと見ることができる。「Xperia Z3」はドコモやauも取り扱うことを発表しているが、ソフトバンクは端末価格を一括払いで6万9120円とし、月々割を2880円に設定。2年間では実質0円で購入できる計算になる。あくまで参考だが、ドコモが現行機種「Xperia Z2」をドコモオンラインショップで一括購入価格(10月1日時点)8万5320円としていることを考えると、挑戦的な値付けをしているのがわかる。
●米国への足掛かりがソニーの狙い?
そしてソニーモバイル、ひいてはソニー側の状況を見ると、やはり同社が主力事業と位置付けている、スマートフォンなどモバイル関連事業の急激な不振が、今回の販売には大きく影響したと見ることができそうだ。
ソニーは4〜6月期連結決算で、スマートフォンの年間販売目標台数を5000万台から4300万台へと大幅に下方修正したのに加え、9月17日にはモバイル事業の減損により、15年3月期の連結最終損益が500億円の赤字から、2300億円の赤字へと大幅に下方修正。上場以来、初めて無配となるなどモバイル事業の急速な悪化にソニー全体が苦しんでいる。
これには、中国メーカーの台頭による新興国向けミドル・ローエンドモデルの不振が大きく影響している。ソニーモバイルは新興国を狙った市場拡大が難しくなったことから、再び先進国主体のハイエンドモデルに集中することで収益向上を目指すようだ。
だがハイエンドモデルで収益を拡大するにしても、従来通りの取り組みだけでは難しいことから、販路の拡大が必要になる。そこで、「Xperia」ブランドの端末販売が好調の日本で確実に販路を拡大するのが得策と判断し、ソフトバンクへの端末供給に至ったのではないだろうか。
さらにその先には、ソフトバンクが持つ米スプリントへの端末供給も見据えているかもしれない。ソニーモバイルは先進国のうち、日本と欧州には販路を持つが、より大きな市場となる米国に関してはブランド力が非常に弱く販路も少ないなど、同社にとって開拓が難しい市場となっている。実際米国市場において、ソニーモバイルはアップルやサムスン電子だけでなく、個性派モデルで存在感を発揮する京セラにさえ及ばない状況だ。
それゆえ、米国に販路を持つソフトバンクとの接点を作ることで、将来的に米国市場への足掛かりを強化したいという狙いもソニー側にはあるかもしれない。もっとも、今回の「Xperia Z3」に関して、ソフトバンクは日米の共同調達ではなく、あくまで日本のみのため、実際にスプリントからソニーモバイルの端末が登場するかどうかは不明だ。
両社の不調から思惑が一致し実現したと考えられる、ソフトバンクによる「Xperia Z3」販売。だが、ソフトバンクは「Xperia」を販売するのが初めてなだけに、どの程度注力するのか、またそれによって販売を順調に伸ばせるかは、正直なところ未知数だ。両社の業績回復を占ううえでも、まずは販売に対する本気度が問われるだろう。
佐野正弘/ITライター
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