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イオン、完全子会社化のダイエーは重い荷物or都市戦略の武器?影落とす「空白の10年」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141007-00010007-bjournal-bus_all
Business Journal 10月7日(火)0時10分配信
流通業界から「ダイエー」の名が消えることになった。ダイエーといえばかつては流通の王者として戦後の流通革命をリードし、全盛時は米ハワイ・オアフ島メインストリートのアラモアナショッピングセンター、百貨店のプランタン銀座、コンビニエンスストアのローソン、プロ野球球団の福岡ダイエーホークス、さらにはクレジットカードのOMCカードやホテルと、100社以上の関連企業を傘下に収めた日本有数の巨大流通コングロマリットだった。
その王者が昔日の面影を失ったのは、1990年代前半のバブル崩壊がきっかけ。高度経済成長期、店舗用地や流通関連企業を買い漁り、買収した用地や企業の資産価値上昇を見込んで借金を重ね、債務超過をものともせず拡大を重ねた。そのビジネスモデルがバブル崩壊で頓挫した。
その後は3度にわたる金融機関による緊急支援に始まり、04年からは産業再生機構による本格的な経営再建が開始された。だが再建支援企業となったイオンと丸紅の共同再建体制(商品戦略は丸紅、店舗運営はイオン)も災いし、再建は遅々として進まなかった。その結果、ダイエーは今年12月26日付で上場を廃止、来年1月1日付でイオンの完全子会社(イオン100%出資)となり、屋号「ダイエー」の消滅も決まった。
実際、ダイエーの業績はこの10年間、「空白の10年」といわれるほど低迷した。直近でも2期連続の営業赤字で、売上高は減る一方。今期も業績不振から立ち直れない。9月24日には15年2月期の売上高が8300億円から7870億円へ、営業損益が20億円の黒字から65億円の赤字へとの業績下方修正を発表。3期連続の営業赤字転落が確実となった。これにより、7期連続の最終赤字転落も確実視されている。
流通業界担当の証券アナリストは「経営再建の失敗要因は3つに集約できる」と、次のように指摘する。
1つ目は丸紅(商品供給側)とイオン(商品調達側)の共同再建という根本的な矛盾であり、抜本的な経営改革の阻害要因になった。2つ目は、それによる中途半端なリストラ。ダイエーの既存店は大半が老朽化しているが、「空白の10年」がネックとなり改装も改築もできず、客離れの遠因になった。そして3つ目は商品力。「安さ追求だけの商品政策しか実施できなかった結果、収益を上げられなかった。同時に商品的な魅力が何もないダイエーは、客に飽きられる店になった」(同アナリスト)
●既存店は商圏を限定し、食品スーパーへ業態転換
イオンはダイエー再建の主導権を握るため昨年8月、それまで20%だった出資比率を44%に引き上げて同社を子会社化したが、再建に手を焼いた。業務効率化が計画通り進まず客離れが進み、既存店売上高は当初見込みを下回る状態が続いている。この状態に音を上げたイオンは「ダイエーを上場したままで経営再建をするのは困難と判断、上場廃止と完全子会社化を決めた」(流通業界関係者)という。
今回の措置を発表した9月24日の記者会見で、イオンの岡田元也社長は「今後のeコマース市場の成長と小売業の関係を考えると、ブランドが今のようにバラバラに分かれているのは徹底的な不利になる。イオンとしてブランドを整理する時期に来ている」と説明。業態転換によるダイエー再建方針を明らかにした。
具体的には、ダイエーの商圏を同社既存店の90%が立地している首都圏と京阪神に限定。強みである食品を生かし、総合スーパーから食品スーパーへの業態転換を図る。首都圏と京阪神以外の既存店やダイエー子会社は再編する。例えば北海道で展開しているダイエーグループはイオン北海道とマックスバリュ北海道に統合し、九州のそれはイオン九州とマックスバリュ九州に再編する。
●大胆な改革か、茨の道か
イオンのこの新しい再建方針について、株式市場関係者は概ね好意的だ。例えば大手証券関係者は「いつかはしなければならなかったイオンの決断。完全子会社化は以前も米ウォルマートが西友に実施して成功しており、不採算店を一掃するなどの大胆な改革に適している」と話す。
一方、ダイエーの内情に詳しい業界関係者は「これでイオンは茨の道に入った」と心配する。業績低迷から抜け出せないのはイオンも同様だからだ。イオンの14年度第1四半期連結決算では、総合スーパー事業は38億円の赤字、食品スーパー事業は23億円の赤字だった。総合スーパー事業は衣食住を取り揃え、消費者にワンストップショッピングの場を提供するのが強みだが、近年は客を衣料品はファーストリテイリングなどの専門店チェーンに、住宅関連はニトリなどの専門店チェーンに奪われている。さらに食品でも総菜メニューを充実させたコンビニに、米・酒・菓子類など生鮮3品以外の重量やかさのある食品はネット通販に客を奪われている。
この構図はライバルのセブン&アイ・ホールディングスのスーパー事業も変わらない。同社はコンビニ事業依存から抜け出せないでもがいている。スーパー業界全体が明るい未来を描けない状況に陥っているのだ。そんな状況下でのダイエー完全子会社化だが、「業態転換で本当にダイエーを再建できるのか」(業界関係者)と疑問の声も多い。
それだけではない。完全子会社化により、ダイエーの営業赤字はすべてイオンの連結決算に跳ね返ってくる。ダイエーの赤字を止血できなければ、業績への負荷は飛躍的に高まる。 業界関係者は「ダイエーが従来にも増して重い荷物になるか、イオン都市戦略の強力兵器になるかは、岡田社長が大胆なスーパー事業改革の道筋を示せるかどうかにかかっている。それは、今春打ち上げた首都圏スーパー連合構想の成否とも直結している」と指摘する。
いずれにしても、ダイエーの名は消えても消えないのがイオンの憂鬱だ。
福井晋/フリーライター
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