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アベノミクスによるドルベースの日本の国富100兆円縮小: 2011年の3.11東日本大震災時に猛烈な円買い 謎が解ける
http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/784.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 10 月 06 日 16:38:15: igsppGRN/E9PQ
 

アベノミクスによるドルベースの日本の国富100兆円縮小: 2011年の3.11東日本大震災時になぜ猛烈な円買いが起きたのかの謎が解ける
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/34220388.html
2014/10/6(月) 午後 2:28 新ベンチャー革命2014年10月6日 No.988


1.米景気が持ち直し、米国中央銀行FRBの動きが急となっている

 今日、2014年10月6日、米オバマ大統領やFRBイエレン議長など米首脳が金融規制緩和について協議するようです(注1)。11月の中間選挙を控えて、米景気回復を宣言したいのでしょうか、オバマ政権は・・・。

 ところで本ブログにて先日、アベノミクスで100兆円が吹っ飛んだという話題を取り上げました(注2)。そして、米国中央銀行FRBは、10月末に量的緩和を終了するようです(注3)。その後は、当然ながら、異常事態のゼロ金利を打ち止めにして、政策金利引き上げを模索することになります。

 ネット情報では、今年12月に政策金利の引き上げをほのめかし、来年6月から実施される予定のようです(注4)。

 日本が円安で揺れるなか、米国は金融市場の正常化にむけて着々と準備しています。

 本ブログでは、この2年弱で日本の国富100兆円が米国に移転されたため、米国の金融危機が一息ついたとみています(注2)。

2.2011年、3.11東日本大震災で日本国民が動転しているスキを突いて、猛烈な円買い攻勢が浴びせられたことが思い出される

 本ブログでは、円ドル為替取引を利用する日本の国富の米国移転を『新帝国循環』と呼んでいますが、この概念は故・吉川元忠氏(注5)の造語です。

その新帝国循環(注6)が実行された代表例が、2011年の3.11東日本大震災勃発直後に発生した猛烈な円買いドル売り取引でした。3.11事件時の新帝国循環は、米国戦争屋系金融機関(JPモルガンチェイスなど)や、米戦争屋と呉越同舟的ライバル関係にある欧米銀行屋(ゴールドマンサックスなど)によるとみられる火事場泥棒的な猛烈な円買い攻勢でした(注7、注8)。

 このとき、日本政府・日銀が国際金融資本(FRBのオーナー)から買わされたドルの総額が100兆円規模と見積もられました。この額は、日刊ゲンダイの指摘した100兆円のGDP縮小現象(注9)の100兆円と奇しくも一致していますが、これは偶然でしょうか。

なお、上記、米国戦争屋(世界的寡頭勢力の主要構成メンバー)およびそのロボット・悪徳ペンタゴンまたは悪徳ヘキサゴンを構成する日本人勢力の定義は本ブログNo.816の注記をご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/32874377.html

3.3.11火事場泥棒的な新帝国循環(日本の国富の米国移転)が2年経って、日本のGDP縮小をもたらしたのか

 3.11事件当時の新帝国循環実行時、1ドル80円前後の円高でしたが、今は100円強の円安となっています。要するに、3.11事件の際、日本政府・日銀に大量のドルを売って、大量の円を手にした国際金融資本(欧米銀行屋など)が、少しずつ、円ドル為替市場でドルを買い戻している結果、2014年10月の今、1ドル100円強の円安に戻っているということです。

 一方、3.11事件時、100兆円規模のドルを強引に買わされた日本政府・日銀は、すぐに、米国債を買って、米政府財政を救済したと思われますが、米政府は日本政府・日銀にちゃんと返済していないのではないでしょうか、だから、この2年弱でドルベースの日本のGDPが100兆円分縮小しているわけです(注9)。

 こうして、米政府・FRBとその先手・欧米銀行屋はまんまと日本の国富を合法的に米国に移転したわけです。

 その代り、2013年末の日本の対外資産は800兆円規模で世界最大のドル債権国となっています(注10)。産経新聞によれば、2012年末から2013年末の1年で、日本のドル資産(対外資産)は670兆円規模から800兆円規模と130兆円(20%増)も増えています。

 要するに日本の国富がわずか1年(2012年末から13年末の1年)で130兆円規模のドル資産に化けて日本から出て行っていることを意味します。

4.3.11東日本大震災時のどさくさで何者かが100兆円規模もうけた

 日刊ゲンダイ(注9)の推算で、この2年弱で100兆円規模の国富がドルベースで失われたということは、何者かが100兆円もうけたということです。誰がもうけたかはいうまでもありませんが・・・。

 ところで、2001年の9.11事件が米国政府の自作自演テロだったとすると、9.11事件の同時多発テロ資金を工作員はどのように調達したのでしょうか。イラン・コントラ事件で暴かれたようにCIAの工作資金(裏金)は、麻薬密売収益という話はよく知られていますが、9.11偽旗作戦の工作資金はラスベガスやマカオのカジノ収益とのことです(注11)。もしそうなら、米戦争屋の闇スポンサー・シェルドン・アデルソンなどのカジノ王が9.11偽旗作戦の工作資金を提供していたということになります(注12)。

 ちなみに、本ブログで疑っているように、もし、3.11事件も9.11事件の謀略工作勢力と同じ勢力の仕業だとすれば、海底核爆発の費用もカジノの収益で賄われたのかもしれません。

注1:WSJ“オバマ大統領、6日にFRB議長らと協議へ―金融規制などで”2014年10月5日
http://jp.wsj.com/news/articles/SB11102303130114484576704580195102395654436?mod=_newsreel_5

注2:本ブログNo.985『アベノミクスで100兆円が吹っ飛んだ?そのおかげで米政府は量的緩和を終了できる?:アベノミクスは日本国民の稼いだ資産で米国を救済するマジックだったと知れ!』2014年10月2日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/34203980.html

注3:日経新聞“FRB、10月に量的緩和終了へ 雇用改善を条件に 出口戦略の大原則公表”2014年9月18日
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN17H16_X10C14A9I00000/

注4:ダイヤモンド社“FRBは12月に利上げをほのめかし、来年6月から実施する?”2014年10月5日
http://diamond.jp/articles/-/60130

注5:吉川元忠
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E5%B7%9D%E5%85%83%E5%BF%A0

注6:みなみの子のブログ“新帝国循環とは?‘2013年3月3日
http://ameblo.jp/minami10kisei/entry-11482302571.html

注7:本ブログNo.402『3.11東日本大震災の火事場泥棒:ATM窃盗7億円ではなく100兆円規模の大被害か』2011年7月16日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/25587397.html

注8:本ブログNo.467『3.11事件直後の不自然な超円高とTPP督促の関連性を読み解く:米国オバマ政権はなぜ、日本にTPP参加を急がせるのか』2011年10月17日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/26991861.html

注9:日刊ゲンダイ“アベノミクスで「100兆円消失」…ドル換算で見える真実”2014年10月1日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/153774/1

注10:産経ニュース“日本の対外純資産が過去最大を更新 23年連続で「世界一の債権国」”2014年5月27日
http://www.sankei.com/economy/news/140527/ecn1405270024-n1.html

注11:オルタナティブニュース“9/11 TRUTH GOES NUCLEAR: Massive Download In Progress”2014年9月27日
http://stateofthenation2012.com/?p=7858

注12:本ブログNo.521『イラン戦争を企む戦争中毒ネオコンの闇スポンサーはラスベガスの帝王だった』2012年1月28日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/archive/2012/1/28

ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm

テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html

 

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コメント
 
01. 2014年10月06日 20:37:05 : DKhwYBOUus
>2011年の3.11東日本大震災時になぜ猛烈な円買いが起きたのかの謎が解ける

普通に考えれば日本の終わりなので円安になるはずが猛烈な円高だったのは謎でした。
どこを読めば、この謎を説明しているのか更なる謎です。
わかる人がいれば解説をお願いします。


02. 佐助 2014年10月06日 22:49:32 : YZ1JBFFO77mpI : WBNBGXIFfM
世界の基軸通貨が金とのリンクを維持すれば、世界の通貨交換(為替)は安定する。だが、1972年ニクソンが金とのリンクを停止すると、世界の通貨交換は金の枠組みから自由となり、為替はフロートになる。すると、各国の通貨は膨脹しバブルとなる。そして約40年後に破裂。パニックが発生する。バブルが破裂すると、複数の基軸通貨が金とリンクし固定為替制度になる。ところがドルは25%の金しか保有していないので、三年すると世界の通貨と信用は、再び不安定になります。ドルが暴落した。

1972年に為替フロート制へ移行し、世界の通貨の発行がキンから開放された結果、最も利益を受けた国が日本なんです。石油ショックはドル下落の結果だが、日本は円高のおかげで乗切った。そして、高い円は、海外投資と海外からの安い原材料の輸入を容易にした。だから、インフレになるほど通貨を発行しても、低価格の輸入物価の圧力のおかげで、国内物価と賃金を抑制することができた。こうして、長いデフレとバブルを温存させ、日本経済は膨張し続けた。そしてゼロ金利の円が世界にばら撒かれた。

だから、2008年のリーマンショック後も、世界の政治と経済の指導者は、自国の農業畜海産と対外競争力の低い中小企業を犠牲にしても、関税障壁を低くし、外資を導入し、土地や株のバブルを復活させれば、恐慌にはならない、と確信したのです。間違いですが。

最初からドルとユーロが一緒に、債券や通貨発行高を金とリンクさせれば、より長期間安定できるのですが、ユーロは「ドルの寿命を延命させるだけだとか、自己責任をとらない国は除名脱退すればよい」と、お互いのテレトリー(縄張り)の既得権益擁護が障害となり、簡単に収束できないのです。

日本のマスコミは、政治と経済が混乱しているのに、円はナゼ独歩高なのか?のアト理屈として、消去法(欧米が不安定)で一致しました。これが見当違いのアト解釈であることは、その消去法のアト智慧で通貨投機すれば破産するので、簡単に証明できます。

円の独歩高は、日本と中国がため込んだ巨額のドルが、間接的に金と等価と連想されているためです。ですから、中国の元が政府管理下でなければ、世界の通貨投機は元に集中します。だから中国は元の管理が破れないように、香港の銀行(国有・私有)に元建て国債を発行させ、たいへんな人気なのです。

日本の財務官僚は日本の金を大量に海外に流出させた。第一次世界恐慌では、英国から金証券を借り最後のポンド金本位制を維持。だが、ドルを無視したため、ドル投機家を勝利させ国家財政の赤字を増大。戦後は、米国の顔色をうかがってドル国債を溜込み金保有を避ける。一ドル360 円は五分の一に暴落して、国益に甚大なる損失を与える。そして日本の財務官僚は、ポンド復活のための金本位制採用。そのため、ドル投機者を
大勝利させたのです。

日本の民間の金輸入量は、米国の保有金の25%を越え天皇家のキンと合わせると75%になる。そこで、1933年のルーズベルト大統領にならい、金の輸出輸入を国家管理にし、原価百円の1万円札紙幣で、国民から金価格相場にプレミヤムを付けて買上げると、円は間違いなくドルとユーロと共に、25%の金を保有して、第三の基軸通貨となる。そして、現在進行形の第二次世界恐慌は、今回はドル・ユーロ・円が、世界の75%の金とリンクすることで収束できる。つまりすでに米国に渡したキンがドル25%・ユーロ25%・円25%で分かち合うと現在進行形の第二次世界恐慌は収束する。基軸通貨ドルの暴落が止まりMAXで1ドル200円越えます。そして150円で安定する。

だが縮小した経済指数は戻りません,そこで第二次産業革命を加速させると,未曽有の繁栄が期待できるが,原発や技術革新にあぐらをかいた企業の消失は避けられません。ようするに大企業の交代劇が発生します。


「結論」
まずドル暴落があり、次にドル防衛のため、キンとのリンクを復活させたドルが暴騰し、次にユーロがキンとリンクして暴落から暴騰に反転、最後に円がキンとリンクして暴落から暴騰に反転し為替が固定制度に移行すると予測するならばリスクは避けられる。キンは国家が買い手になると安定期の十倍に暴騰した後に半減して安定する。その理由は、キンは価格が引上げられると、一年後に、生産が逆に低下する唯一の貴金属だからである。

通貨を無制限に発行しインフレが発生しないのは、消費者物価と労賃が安い輸入品で制御されているためだ。雇用はバブルが超人手不足を発生させているのに、流入する輸入物価が間接的に制御している。そのため、ディスインフレ現象が、石油などの原材料物価の高騰と共存してきた。信用の崩壊は原材料と消費物価と労賃の下降を加速するため、工場閉鎖と失業と所得の下降を発生させる。だから世界の信用崩壊は、平時の特定産業や地域に限定されることはない。


03. 2014年10月07日 02:09:29 : mkUjNQ8rVA
>>2は特にキンに関し記されたところ、なるほどと。コメントに感謝。

↓と併せて再読しましsた。

日本政府は対米上納外貨準備を金地金に変換せよ (植草一秀の『知られざる真実』) 
http://www.asyura2.com/13/senkyo152/msg/705.html
投稿者 笑坊 日時 2013 年 8 月 20 日 06:41:17: EaaOcpw/cGfrA


04. 2014年10月07日 10:56:32 : nJF6kGWndY

>2年弱で日本の国富100兆円が米国に移転

金融経済がわからないバカだなw


05. 2014年10月07日 11:50:25 : xEBOc6ttRg
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41905 
アベノミクスで「円安不況」がやってくる
グローバル企業の「空洞化」は元には戻らない
2014年10月07日(Tue) 池田 信夫
 日本経済の変調がはっきりしてきた。1ドル=110円近い水準になったが、安倍晋三首相の狙っていた「円安で輸出主導の景気回復」というシナリオは実現しない。2014年4〜6月期のGDP(国内総生産)は前年同月比−7.1%となり、7〜9月期はややプラスに戻すが、通年ではゼロ成長に近いと予想されている。
 大企業中心の日経平均株価は堅調だが、9月の倒産件数は増加に転じた。中小企業には「円安倒産」が広がっている。円安なのに輸出が増えず、輸入増とコスト高のダメージが広がっている。何が起こったのだろうか?
「偽薬効果」は円安のコスト増で消えた
 これを「消費税の増税が原因だ」と主張する向きもあるので、そうではないことを確認しておこう。次の図は製造業の活動を示す指標だが、今年の初めをピークにして生産が下がり、在庫が増えている。特に鉱工業生産指数は今年初めから1割近く下がり、逆に在庫は今年初めから増え、民主党政権の水準を超えている。
工業生産指数と在庫指数(出所:経済産業省)
拡大画像表示
 今年初めがピークになった一部の要因は、消費税の増税を見越した「駆け込み生産増」とも考えられるが、それなら4月以降は元に戻るはずだ。ところが図のように4月以降、生産減は加速し、これも安倍政権以前の水準に戻っている。
 これは、2013年にはアベノミクスによる好景気を期待したバブル的な生産増が起こったが、年明けから「期待バブル」が崩壊したと考えるのが、素直な解釈だろう。株価も昨年末をピークとして年明けから下がり、大幅な円安になっても戻らない。
 アベノミクスのほぼ唯一の目新しい政策は、「異次元緩和」と呼ばれる非伝統的な金融政策だった。これは理論的には意味がないが、「期待」に働きかけることによって投資や消費を促進する可能性がある。
 これは偽薬効果と呼ばれる。例えば多くの被験者にビールとノンアルコールビールを(識別できないように)飲ませて脳の働きを調べると、ノンアルコールビールを飲んだ人も、ビールを飲んだ人と同じような変化が見られる。「ビールを飲んでいる」と錯覚することで酩酊に似た状態になるためだ。
 同じような現象が、2013年に起こった。ゼロ金利の状態で通貨供給を増やしても銀行融資は増えないので、心理的な効果しかないが、株価が大きく上がったことで偽薬効果が大きく出たのだ。
 リフレ派の目論見では、この「期待」で投資が増え、それによって需要が増えて成長率が上がる・・・という「好循環」が起こることになっていたが、残念ながら円安によるコスト増で、偽薬効果は相殺されてしまった。
2%のインフレ目標は延期せよ
 円安なのに貿易赤字が史上最大になった最大の原因は、原発の停止で化石燃料の輸入額が激増したことだが、もう1つの原因は輸出がほとんど増えないことだ。
 日銀の黒田東彦総裁は、最初のうちこれは短期的な現象だと説明していたが、貿易赤字はますます増えてきた。彼も最近は「長期的には円安が定着すれば、日本に生産拠点は戻ってくる」と言うようになったが、それも疑わしい。
 例えばソニーは、1円の円安で30億円の減益要因になる。単価の高いスマートフォンなどを輸入し、コモディティ化(日用品化)して価格競争の激しい液晶などの素子を輸出しているからだ。1ドル=120円になったらソニーがスマホを国内で生産して輸出するようになるとは、誰も思っていないだろう。
 つまり以前のコラムでも書いたように、日本の製造業の国際競争力(経済学の言葉で言えば交易条件)が大幅に低下したことが根本原因であり、これは円安(輸入コスト増)でむしろ悪化するのだ。ここにアベノミクスの錯覚がある。
 その結果、潜在成長率はほぼゼロに低下し、実質成長率もゼロに近づいている。潜在成長率というのは成長率の天井なので、それを超えて持続的に成長することはできない。潜在成長率を上げるには、生産性を上げるしかないのだ。
 ただ民主党政権の「アンチビジネス」の政策で株価が過小評価され、投資が萎縮していたことは事実であり、その気分を偽薬で変えた黒田総裁の功績は大きい。多くの人が懸念していた国債バブルの崩壊も、今のところ避けられた。
 今のうちに「量的・質的緩和」から撤退し、2%のインフレ目標を延期して、これ以上の円安を防いだほうがいい。1ドル=110円以上の円安は、大企業のメリットよりも中小企業や消費者のデメリットのほうがはるかに大きい。
日本はこれからグローバル資本主義になる
 2010年代に起こった「空洞化」は、元に戻らない。例えばパナソニックの海外生産比率は55%だが、海外で生産した製品はほとんどそのまま海外へ輸出されるので、もともと日本を通っていないため、ドル/円は影響しない。
 国内で売り上げの立っている45%も、付加価値の大部分は海外法人で生み出されている。半導体のような成熟産業では、人件費や法人税が日本よりはるかに安いアジアで生産することが合理的で、為替レートは世界最適生産のポートフォリオの1つの要因にすぎない。
 円高局面では製造業の業績が急速に悪化したので、海外生産を増やしても最終工程だけ日本でやり、本社の決算を黒字に見せる「お化粧」が行なわれていた(これは違法な粉飾決算とは違う)が、株主の立場から見ると、こういう益出しは不合理だ。
 グローバル生産体制を取っている企業では、企業会計もグローバルな連結決算になっていることが多いので、法人税率40%の日本より13%の台湾で納税することで税引き後の(配当可能な)利益は最大化される。
 株主利益の最大化のためには、日本から輸出するより海外で生産して海外に輸出し、海外で投資したほうが効率がいいのだ。日本では2011年以降、こうした海外法人からの配当や金利による所得収支の黒字が貿易収支の赤字を埋めている。
 さらに効率的なのは、ケイマン諸島などのタックスヘイブン(租税回避地)に登記上の本社を置くことだ。もちろん各国の税務当局はそういう節税を規制しているので、規制をくぐり抜ける金融技術が発達する。「デリバティブ」と呼ばれる金融商品のほとんどは「金融工学」ではなく、こうした節税で利益を上げている。
 アメリカの経常収支は大幅な赤字だが、こうしたオフショアで上がっている「裏の黒字」が多い。トマ・ピケティの『21世紀の資本論』は、世界の対外資産の合計は対外債務の合計より少なく、世界のGDPの少なくとも7%が「地下経済」に隠されていると推定している。正直に対外純資産を計上しているのは、日本とドイツだけだ。
 グローバル企業の株主にとっては、法人税も人件費や材料費と同じコストの1つなので、それを最小化するように生産拠点を配置することが合理的である。日本政府に義理立てして「年産300万台」と約束しているトヨタ自動車は不合理で、タックスヘイブンでほとんどの利益を上げるアップルが合理的なのだ。
 ピケティも指摘するように、こうしたグローバル資本主義とナショナルな政府の闘いは、原理的には政府に勝ち目がない。日本企業もこれからますます「空洞化」し、グローバル企業の納税額も減ってゆくだろう。それは資本主義では避けられないことだが、人類はそれよりましな経済システムを知らない。
【あわせてお読みください】
・「韓国で起きた『ピケティ・ブーム』」(玉置 直司)
・「資本主義とその批判者:現代のマルクス」(The Economist)
・「21世紀に資本家と労働者の格差は拡大するのか」(池田 信夫)


http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/41231 
21世紀に資本家と労働者の格差は拡大するのか
ピケティ『21世紀の資本論』の衝撃
2014年07月15日(Tue) 池田 信夫
ピケティを表紙にした「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」
 今、アメリカで『21世紀の資本論』と題する本が話題を呼んでいる。700ページ近くある専門書がアマゾン・ドットコムのベストセラー第1位になり、「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」はこんなカバーストーリー(Piketty's Capital: An Economist's Inequality Ideas Are All the Rage)を組んだ。
 多くのデータや数式の並ぶトマ・ピケティ(パリ経済学院教授)の本がアイドル並みの人気を集める背景には、アメリカで深刻化する所得格差の拡大がある。上位1%の高額所得者がGDP(国内総生産)の20%以上を取る格差社会に対して怒る人々が、ピケティを「21世紀のマルクス」として崇拝しているのだ。
マルクスの「窮乏化の予言」は甦るか
 マルクスは『資本論』で、資本主義の未来について矛盾する予言をした。第1巻では、資本が少数の資本家に集中して労働者が窮乏化して蜂起し、「収奪者を収奪する」未来を予言したが、未完の第3巻では「一般的利潤率の傾向的低下」を予想した。しかし利潤率が下がるなら賃金は相対的に上がるので、労働者が窮乏化することはあり得ない。
 20世紀には、利潤率が上がるとともに労働者も豊かになり、マルクスの予想はどっちも外れた。しかし今、マルクスが第1巻で予言したように労働者は窮乏化している、というのがピケティの主張だ。図のように欧米の所得格差は1970年代から拡大し始め、今では上位10%の所得がアメリカでは50%近くを占める。

 ピケティの本が大きな反響を呼んだのは、「資本主義で格差は縮小する」という定説をくつがえしたからだ。これまでは成長に伴って資本家も労働者も豊かになると考えられ、戦後の各国のマクロ経済データもそうなっていた。
 しかしピケティは、1930年から70年ごろまでの平等化の傾向は、大恐慌や戦争で資本が破壊されたために起こった例外であり、19世紀から資本家と労働者の格差は拡大してきたと主張しているのだ。
格差を拡大させる「資本主義の根本的矛盾」
 これは経済学者の論争を呼んだ。標準的な限界生産性理論によれば、資本収益率が高ければ資本蓄積が高まり、その収益が低下する収穫逓減が起こって「資本/労働」比率が一定の率に収斂する。したがって不平等が拡大し続けることはあり得ない。
 しかしピケティは「資本の限界生産性なんてあり得ない」と言う。資本と労働を「生産要素」として同列に扱う新古典派経済学は寓話であり、実際に生産を行うのは労働者だ。資本家はリスクを取って投資し、そのリターンを取るので、資本に限界生産性はない。
 彼はここ200年の資本収益率(資本収益/資本ストック)rと成長率gの間には、おおむね次のような関係があるという。
 r>g
 つまり資本収益率が成長率を常に上回るので、資本収益の増えるスピードが(資本家以外の)所得が増えるスピードを上回り、格差が拡大する。これを彼は資本主義の根本的矛盾と呼ぶ。
 しかしこの式がどうやって導かれるのか、はっきりしない。rは資本というストックに対する比率で、gはGDP(国内総生産)というフローに対する比率なので、このまま比較することはできない。資本ストックとGDPの比率がないと、両者の関係は分からない。
 その「資本/所得」比率βも、ピケティによれば拡大しているという。つまりGDPに対して資本ストックが増え続け、それに対する資本収益率が上がり続けているため、これからも格差は拡大するというのだ。
 それは本当だろうか。標準的な新古典派成長理論によれば、「資本/労働」比率は長期的には一定の定常状態に収斂するはずで、資本蓄積だけがどんどん増え続けることは考えにくい――というのが正統派の経済学者の反論だ。
日本では格差は拡大しないが経済は停滞する
 ところが驚いたことに、新古典派成長理論の元祖であるロバート・ソロー(ノーベル経済学賞受賞者)が、長文の書評で「ピケティは正しい」と評した。
 その要点は、簡単に言うと次のような話だ: 経済が定常状態に到達すると、「資本/労働」比率は一定になるが、成長はそこで止まるわけではない。技術進歩や知識の蓄積などの外部性によって成長は続く。
 この生産性の増加のうち、労働者個人に帰着するものは賃金として還元されるが、それ以外の労働人口の増加や地価上昇の利益などはほとんど資本家のものになるので、生産性が上がると格差は拡大する。他方で資本の収穫逓減の傾向もあるので、長期的には両者は相殺されて所得分配は安定するだろう、とソローは予想している。
 日本についてはどうだろうか。ピケティの本には各国ごとのデータもあるが、日本の所得格差はフランスとほぼ同じで、ヨーロッパと似たような動きを見せている。これは意外に思う人がいるかもしれない。日本は格差が欧米ほど大きくないと思われているからだ。
 これはピケティの「資本」の定義が広く、労働以外の設備や土地などを含んでいるからだ。こう定義すると「資本収益」には賃金以外の所得のほとんどが含まれるので、日本でも賃金は低下して格差は拡大している。
 しかし日本で特異なのは、資本収益が株主に還元されないで、企業貯蓄(内部留保)になっていることだ。この結果、株主資本利益率はアメリカの3分の1になる一方、企業が貯蓄超過になる異例の状態が続いている。
 資本収益があまり投資されないので、格差はアメリカほど拡大しないが、成長もしない。潜在成長率は、ゼロに近づいている。この最大の原因は生産年齢人口が減っていることだが、資本蓄積率も生産性上昇率も下がっている。
 資本主義には格差を拡大させる傾向があるが、それは投資によって成長するエンジンでもある。資本収益を投資しないで「会社」に貯め込む日本経済では、株主も労働者も豊かになれないのだ。
 ピケティが言うようにアメリカでは「過剰な資本主義」が不平等をもたらしているが、日本では「過小な資本主義」が停滞をもたらしている。これを是正して資本市場を活性化することは容易ではないが、今後の日本経済の最大の課題の1つだろう。


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