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深まるアマゾンvs.欧州の構図 文化保護や租税回避めぐる対立、妥協しないアマゾンの勝算(Business Journa)
http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/776.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 10 月 06 日 07:53:15: igsppGRN/E9PQ
 

深まるアマゾンvs.欧州の構図 文化保護や租税回避めぐる対立、妥協しないアマゾンの勝算
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141006-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 10月6日(月)0時10分配信


 世界中の小売業が“大魔神”アマゾンに押しつぶされるのではないかと戦々恐々としているわけだが、ヨーロッパではこの大魔神に対抗して戦いを挑んだりもしている。今回は、そんな動きを簡単にまとめてみたい。

●フランス

 なんといっても、「やっぱり文化の国だ」と再確認させられたのがフランス。アマゾンの市場参入は2000年。同国における売り上げは明らかではないが、書籍のインターネット販売全体の約70%を占め、すでに4つの物流センターを開設している。同国ではネット販売のせいで毎年数百の書店が消えているが、書店がつぶれるということは同国固有の文化がなくなることを意味するとして、政府がアマゾンの活動を規制する法律を14年1月に成立させた。アマゾンが書籍を安売りしたり、配送料無料にしたりすることを禁じたのだ。

 ヨーロッパの国々とアマゾンとの戦いは、ビジネス的な側面もあるが、それと同じくらい文化的な要素もある。書籍と書籍を売っている場である書店は、フランスにとっては文化そのものだとみなされている。グローバル化によってフランスの文化が、例えばハリウッド映画や英国の音楽(ロック)によって荒らされるのを嫌い、自国の芸術や文学に対しては例外として補助金や税務上の優遇措置をとっているお国柄だ。アマゾンが市場に参入する以前のすでに1981年には、小さな書店を大きな書店チェーンから守るために5%以上の割引を禁じた法律をつくっている。

 フランスには約3000店の独立書店があり、これは国民2万2000人に書店1店の割合だという。ちなみに、アメリカのアマゾン本社のあるワシントン州では7万人に1店。日本では14年5月現在で書店数は1万3943店あるから、9000人に1店くらいのようだ。ただし、この数字には大手チェーンの店舗数も含まれているかもしれない。ちなみに、アマゾンが日本市場に参入したのは00年だが、前年の1999年の書店数は2万2296店で、これが14年には1万3943店にまで減っている。15年で8353店、毎年平均550店以上が閉店したことになる。

 前述したアンチ・アマゾン法と一般的に呼ばれるこのフランスの法律が、独立書店を守ってくれるとは楽観できない。実際にアマゾンはその後、配送料をほぼ無料である0.01ユーロにすると発表した。

 楽観できない理由はもう一つある。フランスの国民は自国文化を守ることには心情的には賛成でも、実際には便利さを選んでしまうだろうとみられている。書店に行って目当ての本がなければ、自宅に戻ってアマゾンで注文してしまう。顧客なんて「不実な愛人みたいなものだ」と書店店主はフランス的なメタファーを使って、アマゾンは今後も成長していくのではないかと憂えているそうだ。

●ドイツ

 次に、ドイツの事例をみてみよう。アマゾンのドイツ市場への参入は98年。13年の売り上げは105億ドルで、9つの物流センターを開設し、約9000人の従業員を抱えている。ドイツにおけるアマゾンの問題は、文化ではなく労働組合だ。もっとも、ドイツにおいて労働組合は伝統ある文化のようなものだ。

 米国や日本で労働組合とは、企業側からはどちらかというと邪魔な存在だとみなされる傾向が強い。しかし、ドイツでは、戦後の復興や世界的景気低迷の中で自国経済が強いのは、経営陣と労働組合との「ソーシャル・パートナーシップ」にあると考える向きも多い。従業員代表者が経営上の重要な決定に参加することも多いし、取締役会のメンバーとなっている例も多い。労働組合は、経営者グループと同様に敬意をもって遇されるべきだと考えられている。

 ドイツで一番最初に2カ所のアマゾン物流センターで400人ばかりの従業員がストライキをしたのは、より高い報酬を要求する目的もあったが、そもそもの問題は従業員が労働組合をつくり団体交渉をする権利を会社が認めなかったことにある。アマゾンのドイツの物流センターで働くフルタイム従業員約9000人のうち約2000人は、ドイツで2番目に大きい労働組合に属し、13年から時々ストライキを実行していた。だが、アマゾンは、労働組合と交渉の場につくことを拒否している。

「労働組合はドイツの文化であり、労働者と経営者の協力体制が産業界での特徴だ」とする従業員側に対してアマゾンは、「アマゾンの成功はネット小売業の急激な変化に適応する融通性にある。労働組合と交渉することにより物事が迅速に進まなくなるようなことがなかったから成長できたのだ」と反論している。アマゾンとしては、物流システムに支障を来さずに、物流センターを組合員の少ない地域や隣国に移すことができる。そのため労働組合も、そこまで追い込むことはしないようにしているというのが現状のようだ。

●イギリス

 このほかの国として、イギリスでアマゾンが抱える問題はお金だ。英国市場への参入は98年、8つの物流センターを抱え、約7000人の従業員が働いている。アマゾンの同国における売り上げは13年に71億ドルだったにもかかわらず、700万ドルの税金しか払っていない。本社が税金の安いルクセンブルクに置かれているからだ。ヨーロッパのどの国からアマゾンに注文しても、ルクセンブルクの会社から購買したことになる。

 イギリスは景気低迷が続く中、国家予算をまかなうために、節税を図ろうとする企業への締め付けを強化している。スターバックスやグーグルも、税率の低いオランダやアイルランドに本社を置いていると批判された。スターバックスは、税金逃れをしていると非難されることによるブランドイメージ低下を懸念してなのか、あまりに厳しく執拗な追及についに根負けして、14年内に本社をオランダのアムステルダムから英国のロンドンに移すことにしたと発表している。

 アマゾンはそういった妥協をしないので、英国でブランドイメージを落とすことになるのではないかと危惧する声も聞こえるが、ブランドイメージが落ちても売り上げは伸びるというケースもありえる。日本でもアマゾンが日本の税金を払っていないと問題になったことがある。心情的にはアマゾンで買いたくないと思っても、即日・翌日配送はやはり便利なので消費者は利用してしまう。代替となる小売業が存在しないのだから仕方がない。筆者を含めて多くの消費者は(独仏英国の消費者も含めて)、なんだかんだといっても結局は購買し続けてしまうのではないだろうか。

ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学教授


 

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