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金買い急ぐロシア 欧米制裁対抗だけじゃない思惑[日経新聞]
2014/10/4 6:00
世界第5位の外貨準備高を持つロシアが金の購入を加速させている。国際通貨基金(IMF)の統計によると同国の金の保有量は5カ月連続で増加。中国やスイスを上回り、世界第5位に浮上した。ウクライナ問題を巡って欧米が発動した対ロ制裁を受け、米ドルとユーロへの警戒感を強めたためだ。主要国の債務が膨らむなか、金への分散投資によって資産の保有リスクを減らそうとする思惑もある。
IMF統計によると、ロシアが8月末時点に外貨準備で保有する金は1112.5トン。1月からの増加量は約77トンで、7カ月で約7%増えた。外貨準備に占める金の割合も8.3%から9.8%に上昇した。
背景にはウクライナ危機による欧米との関係悪化がある。ロシアが3月にウクライナ南部・クリミア半島を編入して以降、米国と欧州連合(EU)はロシアへの経済制裁を発動。防衛関連企業などはドルでの決済を制限される事態となった。今後の追加制裁によっては、経済の屋台骨であるドル決済のエネルギー輸出も阻害される可能性がある。
ロシアの外貨準備のうち米ドルとユーロは7割強を占めるとされる。米国との対立を深めるプーチン政権は「制裁に対抗するためにもドルやユーロへの依存から脱する必要がある」(エネルギー省幹部)と判断。外貨準備の見直しを加速した。金や中国の人民元の購入を増やす一方で、全体に占めるドルや米国債の割合を減らしているもようだ。
金の国際価格が軟調に推移していることも買い増しの動きを後押ししている。市場では最近、米連邦準備理事会(FRB)による早期の利上げ観測が広がったことで金利が付かない金が売られる展開が続いており、価格は9月に年初来の安値圏に下落した。結果としてロシアにとって金を積み増しやすい環境になった。
欧米の財政問題によるロシア経済への悪影響をできるだけ避ける狙いもあるとみられる。原油収入のおかげで健全財政を続けてきたプーチン政権内では、欧米の債務膨張への警戒感が根強い。国家の財政問題とは無縁の「無国籍通貨」とされる金の保有を増やすことで将来の世界的な金融危機を乗り切ろうとする思惑も透ける。
プーチン大統領は5月のサンクトペテルブルクでの経済フォーラムに出席した際、記者団に「合理的かつ安全な方法で金と準備通貨を預けておくことが重要だ」と強調した。市場関係者の間ではロシアが今後数年にわたって金を買い増すとの見方が大勢を占める。外貨準備に占める金の割合が6割台のフランスやドイツと比べてなお小さいためで「中銀が年末にかけて200トンの追加購入に踏み切る」(モスクワの金融機関幹部)との見方も出ている。
欧米の対ロ制裁を批判し、ロシアとの経済関係を強める中国も近年、金の購入を増やしている。欧米への対抗姿勢を示す中ロの二大国がさらに金へのシフトを加速すれば、基軸通貨としてのドルの地位が揺らぐとの見方も出ている。
(モスクワ=田中孝幸)
http://www.nikkei.com/markets/kaigai/emerging.aspx?g=DGXLMSGM29014_30092014000000&n_cid=DSTPCS007
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