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タイのある地元不動産会社のコンドミニアム販売用営業資料。利回り13%を今後20年間保証、さらに建設から5年後に購入額100%で買い戻し保証をするという内容。
利回り660%保証?過熱するタイ不動産投資の“危険な”実態 日本人も被害の恐れ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141003-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 10月3日(金)6時0分配信
「このマンションに今投資すれば、払い込んだ時点から年間利回り13%を20年間にわたり保証します! さらにマンション建設の5年後には、購入額の100%で買い取り保証! 10年後には2倍の価格で、20年後には4倍の価格で買い取り保証します! 今なら、さらに購入額の10%を即キャッシュバック!」
これは不動産価格の暴騰に沸く東南アジアのタイ・パタヤで、地元系中堅ディベロッパーがコンドミニアム(日本でいうマンション)の販売資料で謳っている内容。一般顧客向けに出している物件だが、保証内容は単純計算で20年後にはなんと660%以上に増え、購入者に返されることが保証されるという内容。しかし、そんなとんでもないリターンが、個人の購入者相手に支払われることなどありえるのだろうか?
現在、東南アジア諸国はASEAN(東南アジア諸国連合)統合予定を来年の2015年に控え、ASEAN加盟国の中で中心的な役割を果たすタイなどでは不動産価値が大きく上昇している。タイといえば日本では、最近は軍事政権化やデモなどがニュースで取りざたされて不安なイメージもあるが、経済的に見るとASEANの中でも特に先進的な国であり、物流や交通のハブとしての役割を担い、金融においても巨大バーツ経済圏を擁し、海外からの経済成長期待は大きい。
さらに、タイは先進国と比べると比較的物価も安く、繁華街も巨大市場となっており、世界中からの観光需要も大きい。特に外国人からの観光で人気が高いのは、東南アジアのハブ空港であるバンコクのスワンナプーム空港から車で約90分のリゾート地パタヤなど。実際にパタヤでは、中東、インド、東南アジア、中国など多様な人種の観光客で昼のビーチも夜の繁華街もごった返している。12月や1月の冬などは、寒い地域からバカンスに来たロシアや北欧の人々も加わり、ホテルがどこも満室となっているという。
そのパタヤでは、150万バーツ(日本円で500万円程度)から外国人でも小さなコンドミニアムを買うことができ、長期滞在する観光客がコンドミニアムを買ってバケーション中のホテルとして使い、自分が使わない期間は賃貸に出すという使い方で購買需要が大きくなっている。そこに、経済力の上がったタイの都市部の人々がバケーション用に購入する動きが重なり、巨大な購買需要が生まれている。加えて、タイには不動産の取得税や固定資産税が現在はなく、コンドミニアムの取得、維持のコストが安い上に、ASEAN統合の期待により国内外から投資が盛んとなり、不動産価格が上昇している。
このように、タイのパタヤで不動産価値が上がっているのは事実だ。とはいえ、冒頭の660%の利回り保証などありえるのだろうか? 今回は、そんなタイの不動産市場の実態について取材した。
●詐欺や欠陥住宅も多数
タイのコンドミニアム投資については、販売側からは営業用に都合の良い話が多く出されている。そこで今回は、タイで不動産投資に関する調査サービスや、独自調査に基づいた不動産情報を提供しているAIS(Asia Investment Support)に取材し、最新の実情を聞いた。
「現在、確かに東南アジアの不動産価格は上昇しています。すでに随分と上がってしまった東南アジア全般の株などに比べると、タイなどの不動産はまだ比較的割安なものの、今後は観光業などで大きく上昇が期待されているため、観光地で人気のパタヤなどのエリアは価格が上昇しています。今年に入ってからもパタヤでは、人気の場所は3カ月ごとに不動産価格が上昇しているという状況にあります。しかし上昇が期待できるからといって、安易に日本の個人投資家の方などが、タイの不動産へ投資をするのは危険だと思います。タイでは不動産価格の上昇から、ありえないような利回りを宣伝して、まだ建てられてもいない『コンドミニアム建設予定』の権利を先に売りつけて、実際には建設が終わる前に開発会社が倒産してしまったり、欠陥住宅のような物件を売りつけたりする被害などが増加しているのです」(AIS担当者)
パタヤでは、今年に入ってからは特に、地元系大手ディベロッパーでも、ありえないような利回り保証を宣伝して一般客に売るケースなどが実際に出てきているというが、その儲けの構造はどうなっているのであろうか。
「開発会社としては、仮に建設したコンドミニアムの全部屋が定価で売れたとすると、その売り上げは物件の原価である土地代、建物の設計・建築代、販売代、その他の合計コストに対して2倍程度になるように不動産販売価格が設定されています。これが現地の不動産価格の一般的な相場で、これを超えると相場より高く、コンドミニアムがなかなか売れなくなるのです。実際の販売現場では、相場で販売しても売れ残ってしまう部屋が出たり、安くしないといけない事情ができたり、建築代などのコストが想定よりかかったりして、実際には原価の2倍にまで増えることは少なく、うまくいった物件でも1.5〜1.6倍程度となることが多いのが実情です。また、土地の買収から設計、建設、そして引き渡しの完了までにかかる期間は1.5年〜2年程度。つまり、成功すれば2年弱で投資額の1.6倍ぐらいになるという商売なのです」(同)
●トラブル回避法とは
そんなコンドミニアムビジネスだが、開発会社の中には、まだ土地だけの企画段階で「建設予定」として販売し、とんでもない利回りを宣伝して販売するケースも多いため、注意が必要だという。
「開発会社側には、保証する利回りに加えて、その「権利」を一般の個人に売る販売コストもかかる以上、実際に保証された利回りよりもずっと高い収益を実現しなければ会社としては利益が出ません。そして実現しないとなれば、会社は計画倒産するなどして契約もろとも消滅してしまうケースも多いのです。このような物件では契約においてキャンセル条項がついていないことがほとんどです。つまり、一度払い込んだら返金されることはまずありえず、転売もなかなか難しい。そしてディベロッパーが倒産した時には資産など残すわけもありませんから、回収は非常に難しいのです」(同)
非常にリスクの高い投資といえるが、コンドミニアム投資を行っているのはどのような人が多いのだろうか?
「(本文冒頭の利回り660%を謳う物件について)調査したところ、購入者は外国人が半分程度で、その中には日本人も数十人が含まれていることがわかりました。この物件は日本人を狙ったものではないですが、それでも日本人も多く購入し、比較的年齢の高い人が多いようです。これまで東南アジアの不動産に投資されたいという日本人は、30代ぐらいの比較的若くて情報収集力のある人が多かったのですが、最近はそれも変わってきています」(同)
●リスクを踏まえて慎重な検討が必要
その背景には、日本の金融環境の変化がある。今年の1月に日本銀行がインフレ目標を2%に設定したが、銀行金利は0%に近いまま。つまり、日本に資産を持っていても、毎年2%ずつ価値が目減りする事態となってしまってしまう。そのような状況になって、もともとあまり投資でリスクを取らない60代以上の人で、老後の資金などを運用されているような人が、東南アジアの不動産などに投資をするケースが多くなってきているのだという。
「そのような方が大切な資金を、販売業者だけの話を信じて投資をしてしまうことは非常に危険です。不動産価値が上昇している中、詐欺的な話も多く存在しますし、ほかにも短期間でコンドミニアムをつくって安く売るという地元系開発会社なども存在します。その結果、欠陥住宅なども多くなっており、このような物件を購入してしまうと高額な修繕費用を長年にわたり負担し続けなければならなくなり、賃貸に出そうにも借り手もなかなか見つからないという事態に陥ってしまいます。そのような危険も多分にある市場だと理解された上で、一度慎重に調査・検討されることをお勧めします」(同)
タイでもまともな不動産を賃貸に出した場合の正常な利回りは長期的には6〜8%であり、希少な出物情報を使って購入しても10%程度が適切なレベルだという。
「タイの場合は現状、不動産の取得や維持の税金もなく、また新築物件でもまだ不動産価値の上昇が続けば、売却時の価格上昇(キャピタルゲイン)も期待できます。しかし危険な話も多く、そのリスクをも踏まえて慎重に検討することが必要です。特に高齢の方などは、老後のためにコツコツと貯めてこられた大切な資金ですから、それを失ってしまう人が少しでも減ってくれたらと思います。私どもも、このような被害が減ってくれればと考えて、タイで不動産調査サービスを行っています」(同)
東南アジアの不動産は確かに利回りの期待も大きいが、そのリスクも含め、慎重に選び抜く姿勢が必要なようだ。
文=編集部、取材協力=Asia Investment Support
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