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好調なスタバとコカ、苦境のマック、何が明暗分けた?カギは消費者との社会貢献体験の共有
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141003-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 10月3日(金)6時0分配信
ここ数年、コーヒー業界は激しい争いが繰り広げられている。喫茶店ではコメダ珈琲店、星乃珈琲店などのフルサービス型店舗が急成長し、ドトールコーヒーショップ、スターバックスコーヒーなどのセルフサービス型店舗を脅かす存在となってきている。また、ファストフード店やコンビニエンスストア各社も高品質で格安なコーヒーを打ち出し、売り上げを伸ばしている。
そんな激戦のコーヒー業界、そしてコーヒー飲料をはじめとする飲料業界の勝ち組企業にはある共通点があると語るのは、元日本アイ・ビー・エムのソフトウェア事業部SWGイネーブルメント部長で、現在は永井オフィス代表を務める永井孝尚氏だ。永井氏は7月に上梓した『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』(KADOKAWA/中経出版)の中でさまざまな事例を紹介・分析しつつ「コーヒー業界はビジネス戦略の宝庫である」と明かしているが、今回はそんな永井氏に
・マーケティング3.0とは何か
・企業に求められる社会貢献とは
・日本コカ・コーラとスターバックスコーヒーは、なぜ消費者に支持されているのか
・日本マクドナルドが再建するためにはどうすべきか
などについて話を聞いた。
--本書を執筆された経緯についてお聞かせください。
永井孝尚氏(以下、永井) 私が30年勤務した日本アイ・ビー・エム在籍中に執筆した『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズの舞台はIT業界でした。このシリーズをお読みになったUCCから講演を依頼されたことをきっかけに、コーヒー業界を知る機会を得たのです。そしてコーヒー業界は非常に奥が深く、ビジネス戦略の宝庫であることを知りました。
昨年10月頃から『100円コーラ』シリーズの続編の企画を編集者2人と議論し始めたのですが、なかなかアイデアがまとまらない中で、コーヒー業界で学んだことをお話ししました。すると2人の編集者とも「コーヒーは、まさに今が旬のテーマ。しかも、すでに材料があり、事例もまとまっている」と判断してくださり、コーヒー業界を題材に、ストーリー形式で執筆するという方向で企画がまとまりました。それから半年以上をかけ、理論の裏付けとコーヒー業界の事例を整理して書き上げました。
--本書のテーマである「マーケティング3.0」の成否は、何によって決まるのでしょうか?
永井 モノ不足で作れば売れた時代に、『この製品を作って売ろう』と考えたのが「マーケティング1.0」。豊富な時代になって洗練された消費者に「消費者を満足させよう」と考えるのが「マーケティング2.0」。しかし消費者はさらに進化して、お金を使う意味を考えるようになりました。そこで「世の中をよりよい場所にしていこう」という考え方が「マーケティング3.0」です。ということは、企業の社会貢献に対する姿勢が問われるのですが、そもそも企業の目的は社会貢献にほかなりません。
「経営の神様」といわれるパナソニック創業者の松下幸之助翁は「利益追求が企業の最大命題ではない。企業に大きな利益が与えられるのは、さらに大きな社会貢献を為せとの世の声だ」と説いています。世界で最新のマーケティング理論が、日本企業の伝統的な考え方を取り入れ始めた象徴のひとつが、マーケティング3.0であるといえます。
--経営理念や社是・社訓を明文化している多くの企業では、「社会貢献」という言葉が文面に盛り込まれています。しかし、空文化している企業も多いのが実態です。
永井 流行に乗って「当社もマーケティング3.0に取り組もう」と考えても、付け焼き刃の浅い取り組みでは、消費者の厳しい目にすぐに見抜かれてしまいます。社会貢献を企業哲学としてどのように考え、日々の企業活動で実践しているのか、という姿勢が厳しく問われます。
--永井さんが評価されている、マーケティング3.0の先進企業はどこでしょうか?
永井 本書で紹介した日本コカ・コーラとスターバックスコーヒーは、マーケティング3.0の先進企業です。日本コカ・コーラが2009年に発売した飲料水「い・ろ・は・す」は、ペットボトルを従来品よりも40%軽量化して、CO2の排出量を削減しました。発売初年度に3億本を販売しましたが、これは3800トンのCO2削減に相当します。これだけのCO2を吸収するには東京千代田区の面積に相当する森林が必要です。すなわち、日本コカ・コーラは消費者に対して「普段飲んでいるミネラルウォーターを『い・ろ・は・す』に替えるだけで地球温暖化防止に貢献できる」という意味を提示し、そのメッセージが消費者に支持され、国内シェア1位になったのです。
一方、スターバックスは09年、「4月15日、スタバにマグカップを持ってきてください。コーヒー1杯を差し上げます」というキャンペーンを16カ国で展開しました。環境負荷低減への取り組みですが、これはスターバックスがお客と「ひとときの共有」を実現するという趣旨です。「莫大な費用をかけずにブランドに合った方法で来店客を増やし、お客と積極的に関わる」という考え方で、スターバックスはこれを「ブランドスパークス」とネーミングしました。
--ご説明いただいた2社とも飲食関連業種ですが、他の業種でも先進的な事例はありますか?
永井 事業そのものを人類と地球を救うために展開している例として、イーロン・マスク氏の事業が挙げられます。彼は大学時代に「人類の将来に、最も大きな影響を与える問題は何か」を考え、「インターネット、持続可能エネルギー、宇宙開発の3つ」と結論を出して、次々に事業を立ち上げました。
02年に「人類を8万人、火星に移住させる」と掲げてスペースX社を創業し、10年には民間初の人工衛星を打ち上げ、世界で初めて軌道に乗った宇宙機の回収に成功しました。マスク氏は打ち上げコストを従来の100分の1に削減することを目標に掲げており、すでに競合他社と比べて半額程度の圧倒的な低コストを実現しています。また、アメリカ航空宇宙局(NASA)から国際宇宙ステーションへの物資輸送のほか、2014年9月にはスペースシャトル後継機の開発も受託しています。
さらに04年にテスラ・モーターズを設立して独創的な電気自動車(EV)戦略を展開し、06年にはエネルギーサービスを提供する企業のソーラー・シティに経営参加して、太陽光発電による無料充電所「スーパーチャージ・ステーション」を展開しています。
--マーケティング3.0の範疇を超えているようにも見えますね。
永井 マスク氏が取り組んでいるのは、小手先のマーケティング3.0ではありません。マスク氏はこう語っています。
「独創的なブレークスルーではない。コツコツと地道な努力を積み重ねることで成し遂げた」
「我々の(コストダウンの)考え方そのものが、革命的なブレークスルーなんだ」
事業の95%は、仮説を立てて検証し、戦略を修正し、また試すという愚直な積み重ねの繰り返しであり、「すごいアイデア」や「最高の戦略」が占めるウエイトは5%にすぎません。一見途方もない目標であっても、正しい方向で愚直に学び、修正し続ければ、成功する可能性はどんどん高まるのです。
--仮に永井さんが日本マクドナルドの再建を依頼されたら、どのようにアプローチしますか?
永井 日本マクドナルドは11年まで増収増益が続きましたが、中食市場ではコンビニエンスストアの台頭によって、現在のハンバーガーが飽きられ、同社の成功体験が賞味期限切れを引き起こしています。再建のヒントは、実は前社長の原田泳幸氏の著書に書かれているのです。
「業績不振になった会社は、必ずといっていいほど、その会社らしさを失っている。
業績を回復した会社を見ると、必ずといっていいほど、『らしさ』を取り戻している」(『勝ち続ける経営』<原田泳幸/朝日新聞出版>)
シェア75%を持つ圧倒的強者の同社に求められているのは、ハンバーガー市場の再定義です。言い換えれば、新しい価値の創出です。『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』でフレームワークとして示したように「マクドナルドの強みは何か?」「どの顧客に狙いを絞るのか?」「その顧客は何を求めているのか?」「その顧客に受け入れられるために、マクドナルドは何をすべきか?」について、会社としてしっかりと考えた上で、全社員で理解を徹底させることが必要であると思います。
--ありがとうございました。
編集部
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