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代ゼミだけじゃない?予備校業界、不況深刻化と劣悪な労働環境に講師たちから悲痛の叫び
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141001-00010006-bjournal-bus_all
Business Journal 10月1日(水)6時0分配信
8月、学校法人高宮学園は全国27カ所に展開する大手予備校・代々木ゼミナールを7カ所へ減らす方針であると明らかにした。校舎の大量閉鎖方針は業界を超えて世間に驚きを与えたが、果たしてこれは代ゼミだけの問題なのか。予備校業界はどうなっているのか、なぜこうなったのか。その変遷と今後の展望を、主に雇用面から追っていきたい。
●労働組合が代ゼミと交渉へ
代ゼミは方針発表後の9月から、40歳以上の職員を対象に希望退職を募り始めた。人数は400人規模とされるが、さらに年間契約の講師も300人規模で契約を更新しない方針ともいわれている。労働組合の東京ユニオン代々木ゼミナールグループ支部は、高宮学園との9月2日の団体交渉後、希望退職募集の進捗状況などについて文書で説明するよう学園側に求めたが、期限の9月19日までに回答はなかったという。
ユニオンの支部担当者は「正式な回答はないが、われわれの感触ではかなりの数の希望退職者が出ている。大手予備校の中でも代ゼミは賃金が低いほうだったので、最高3倍の退職金が支払われるという今回の早期退職なら、出て行こうと考えて当然」とした上で、「残る若手職員が心配だ」と懸念する。
ユニオンが学園側に提示した文書では、次のように学園側を批判し、9月30日に再度開かれる団体交渉で経営責任を厳しく追及する方針だ。
「年齢にかかわらず育児や介護などの家庭責任を担う者、現地採用の者など、遠隔地への転勤が困難な者がいることも想定される。大規模な閉鎖は、こうした労働者を全国各地に生み出すことも考えられる。現在の少子化は数十年前から予測されていたことであり、閉鎖に伴い全国各地に失業者を発生させたとなれば、それはまさに学園が経営に失敗したことによって、社会全体に負の影響を与えるものと言わざるを得ない」
こうした組合側との交渉や希望退職などの状況について、代ゼミの広報担当者は「回答をしたかしないかも含めて答えられない。講師については人数などを公表していない」とする。
●他の予備校にも「ブラック」な実態
一連の事態を受け「代ゼミの独り負け」がクローズアップされている。だが、他の予備校は大丈夫なのかと目を転じてみると、業界全体の厳しい実情がみえてくる。代ゼミ以外のある大手予備校関係者は「長期的な経営方針などなく、労働者のクビはなるべく切りやすくするという点で大手予備校はどこも変わりがない。内実はかなりブラックだ」と明かす。
いわゆる団塊ジュニアの大学受験期に急成長した予備校業界。一握りとはいえ年収が億単位や数千万単位の講師も生み出す、まさに「金ピカ」の時代があった。「かつては確かにぼろ儲けができた。しかし、その時代に一気に巨大化してしまい、小さな塾ではよかったずさんな経営感覚が引き継がれ、矛盾が露呈してしまっているのが今の予備校業界だ」と業界関係者は指摘する。
年間契約の講師は授業単位(コマ)や時間、場合によっては分単位で賃金が支払われる。単価は講師の実績などに応じて決められ、一方的に下げられることは少ないが、特にバブル崩壊以降は人件費を抑制するため、講師1人当たりの授業数や授業時間が減らされてきた。代替の講師もいないため休みがとれない一方で、受講生募集のためのイベント的な授業などを、正規の賃金をはるかに下回る額で強いられることも多い。これらを断ろうとすれば、次年度の契約不更新をちらつかせ、圧力を掛けられることが日常茶飯事だ。
小中学生部門を担当するある講師は「次年度の授業を担当するのに都合の悪い曜日を教えよ、という本部側のアンケートに、家庭の事情で特定の曜日が不都合だと答えると、あえてその曜日に授業を入れられた。無理だと断ると、次の契約で週1日分の仕事を減らされた」と明かし、さらに「ここ10年ほどで多くの講師の生活が苦しくなり、同時に生徒へのサービスも大幅に低下した」と訴える。
代ゼミ苦境の理由として近年の浪人生減少を指摘する声が多いが、少子化の影響は小中学生などの下の世代を対象とする部門からくる。むしろそうした部門の方が、生徒のやる気を引き出すという教育理念とは裏腹に、「講師に対してやる気をそぐことばかりしている」(前出の講師)実態が浮かび上がる。
関口威人/ジャーナリスト
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