03. 2014年9月30日 07:09:01
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以下に引用する記事がシェール革命の内実をかなりよく述べています。>水圧破砕法はさいきん発見されたものではなく、既存の技術である。それが大規模につかわれてこなかったのは、環境破壊をまねくからである。ところが二〇〇五年、当時のブッシュ政府は「エネルギー政策法」を成立させ、環境破壊をおさえるための「水質浄化法」や「安全飲料水法」の規制からシェールガス開発をはずす措置をとった。いくら環境を破壊しても、法律でさばけないことにしたのである。 >「エネルギー政策法」成立の中心となったのは副大統領チェイニーであった。チェイニーは大手開発企業ハリバートン社の最高経営責任者をつとめていた経歴がある。同法の成立によって、それまで中小のガス会社中心だったシェールガス開発にエクソン・モービルなどメジャー(国際石油独占体)がいっせいにのりだした。 http://ww5.tiki.ne.jp/~people-hs/data/5768-2.html 『人民の星』 5768号2面 2013年3月13日付
アメリカ シェールガスで詐欺 世界から資金をくすねる策略 アメリカのオバマ政府が先頭になり、アメリカの「シェールガス革命」をさわぎたてている。頁岩層にとじこめられている天然ガスの採取の画期的な技術の開発によって、アメリカが世界最大の天然ガス大国――「天然ガスのサウジアラビア」(米大統領オバマ)となり、燃料価格が劇的に安くなり、石油化学などアメリカの製造業復活のきっかけになるし、雇用も改善されると、イギリスの「産業革命」に匹敵する画期的なことであるとの宣伝である。「シェールガス革命」なるものは、衰退がいちじるしいアメリカに世界から資金をすいよせようとする詐欺まがいの宣伝である。 安倍政府は数兆円も差し出す シェールガス宣伝の先頭にオバマがたっている。オバマは二〇一二年年頭の一般教書演説で、シェールガス開発によって六〇万人の雇用ができるとし、「アメリカには一〇〇年近く持続可能な天然ガス供給量がある。政府はこのエネルギーの安全な開発にむけ可能なかぎりの行動をとる」と宣言している。 米エネルギー省は昨年、アメリカでのガス供給全体にしめるシェールガスの割合が二〇一〇年に二三%におよんでいること、二〇三五年には四九%までに急増する見込みであり、二〇二〇年すぎには国内供給が消費を上まわり、純輸出国になるとの見通しをだしている。オバマは「シェールガスはわが国にエネルギー面での自立をもたらした」とさけんでいる。 三菱商事など米施設に投資 「シェールガス革命」の宣伝のもとで、アメリカへの投資が拡大している。日本からは、大阪ガスと中部電力がテキサス州のLNG(液化天然ガス)輸出施設建設に名乗りをあげ、四四〇万dの輸出権益の確保をはかっている。三菱商事と三井物産は米ルイジアナ州で八〇〇万d、東京ガスと住友商事はメリーランド州で二三〇万dと、LNG基地の権益確保の交渉をすすめている。 これらの投資で、オバマ政府の輸出認可はまだおりていない。さきの日米首脳会談で、首相・安倍はオバマに早期承認を要請した。これにあわせ安倍政府は、シェールガスの対日輸出のために官民の基金をつくり、アメリカ国内でLNG基地を建設する検討をはじめている。 シェール井は3年で枯れる 日本でのシェールガスの宣伝は「“シェール革命”の衝撃 世界をゆるがす新資源」(NHK「クローズアップ現代」)、「アメリカに広大にねむる地下資源がアメリカの製造業を雄々しく復活させる」「いまはシェールガス・オイルを知らずして日本の未来は語れない」(『週間東洋経済』)など、いちだんとオクターブをあげている。 こうした宣伝はまったくの人だましである。シェールガスの採取そのものはアメリカでは、すでに一九世紀なかばからはじまっている。近年まで大規模に採取がおこなわれなかったのは、既存の油田や天然ガス田にくらべコストが高いし、深刻な環境破壊が懸念されていたからである。 既存の油田や天然ガス田は、透過性のない緻密地層がおおいかぶさっているところや原油やガスが流動できる砂岩や石灰岩のところに濃縮・貯留されている。これをほりあてると、地上に噴出するため生産性が高いし、寿命も三〇年ほどある。 シェールガスは、透過性のすくない頁岩(シェール)のなかにとじこめられており、濃縮・貯留されていない。ガスの採取は、岩盤を破砕することで得られる。だから生産性は、既存の天然ガスの一万分の一以下であり、一つのガス井は三年ほどでかれてしまう。 シェールガス生産の大きな転機となったのは二〇〇五年だった。そのとき約一万五〇〇〇のガス井があったが、二年後の〇七年にはそのうちの四二〇〇井が生産をおえている。いまニューヨーク州でシェールガス開発の解禁が問題となっているが、企業が申請している掘削予定のガス井は五万におよんでいる。ともかくつぎからつぎへとガス井を掘削しなければ、生産の維持ができない。 採算にあわないことからシェールガスの掘削は一九九〇年代末までは、ガス生産の一%余りであった。シェールガスが注目されるようになったのは二〇〇〇年代にはいり、既存の陸上のガス田、海底ガス田の衰退があらわになったことと、原油価格、天然ガス価格の高騰である。 深刻な環境破壊や地震誘発 シェールガスの採取のもう一つの壁は、大規模な生産をすすめれば深刻な環境破壊をもたらすことだった。現在、掘削につかわれている水圧破砕法は、地下二〇〇〇〜三〇〇〇bの頁岩の岩盤まで穴をほり、そこから横穴をほって発破をかけてこまかいひびわれを拡大させ、潤滑剤やゲル化剤、界面活性剤、酸、油、放射性物質などなん百種類もの有害物質をまぜた水を五〇〇〜一〇〇〇気圧の水圧をかけて頁岩を破砕し、ガスの通り道をつくる。これを十数回もくりかえす。 こうした掘削によって、土壌や地下水は汚染され、地震を誘発する。水圧破砕につかった廃液・汚泥の汚染もある。地盤にもれだしたシェールガスが地下水にまじり、水道の蛇口でマッチをするともえるということがおきている。 水圧破砕法はさいきん発見されたものではなく、既存の技術である。それが大規模につかわれてこなかったのは、環境破壊をまねくからである。ところが二〇〇五年、当時のブッシュ政府は「エネルギー政策法」を成立させ、環境破壊をおさえるための「水質浄化法」や「安全飲料水法」の規制からシェールガス開発をはずす措置をとった。いくら環境を破壊しても、法律でさばけないことにしたのである。 全米で広がる開発反対運動 「エネルギー政策法」成立の中心となったのは副大統領チェイニーであった。チェイニーは大手開発企業ハリバートン社の最高経営責任者をつとめていた経歴がある。同法の成立によって、それまで中小のガス会社中心だったシェールガス開発にエクソン・モービルなどメジャー(国際石油独占体)がいっせいにのりだした。 シェールガス開発で「画期的」だったのは、その技術ではなく、もうけ第一ですき勝手に掘削できる法改悪だったのである。 アメリカ各地では、シェールガスの水圧破壊に反対する運動がひろがっている。昨年七月には首都ワシントンで、水圧破砕の停止をもとめ五〇〇〇人がホワイトハウスにおしかけた。五万ものシェールガス井の掘削が計画されているニューヨーク州では昨年らい、「ニューヨークを水圧破砕するな」のスローガンをかかげたデモがくりかえされている。 「シェールガス革命」の破たんはアメリカではすでにあらわとなっている。一つは、「安い」といわれるシェールガスの価格である。シェールガスをふくめた天然ガスのアメリカ国内の価格は、現在、一MMBTU(一〇〇万英国熱量単位)三jを切っている。この価格は、〇八年の八jから暴落し、半分以下となり、生産コストを下まわっている。 原因は〇八年秋の金融・経済恐慌による生産の低下とともに、各企業がいっせいにシェールガス開発にのりだし生産過剰になっていること、シェールガスを市場にだすパイプラインやLNG基地の整備がおいついていないことにある。価格の低迷で儲けにならないことから、一部のシェールガス田では掘削を休止させたり、行き場のないガスをもやしている。 「シェールガス革命」がまやかしであったことはもう米欧ではあきらかになっており、オバマ政府は窮地におちいっているのである。オバマ政府は、シェールガス開発の基盤整備のために海外からの投資を必要としており、そのために日本を動員しようとしている。アメリカ言いなりの安倍政府と日本の売国独占資本は、“バスにのりおくれるな”との宣伝をやり、アメリカのシェールガスの基盤整備のために数兆円ものカネをさしだそうとしている。
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