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LIXILに異変?海外積極展開&国内で急ブレーキ 世界的企業への脱皮に正念場
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140929-00010004-bjournal-bus_all
Business Journal 9月29日(月)6時0分配信
建材・住宅設備機器大手LIXILグループの株価が8月8日、一時2270円をつけ、年初来安値を更新した。今年の最高値3060円(1月8日)より26%下落し、時価総額で2400億円減少した。LIXILグループの業績に急ブレーキがかかっているとの見方が広がっていることが背景にある。
2014年4〜6月期決算の売上高は前年同期比9.5%増の3814億円と増収だったが、営業利益は47.5%減の48億円、純利益は1億円と98.8%減り(前年同期は89億円の利益)、赤字転落寸前の水準に落ち込んだのだ。昨年8月に買収した米アメリカンスタンダードの売り上げ234億円が寄与し、売上高は増えた。だが国内の建材や水回り設備が新築、リフォーム向けともに伸び悩んだ。
リフォーム事業が伸びなかったことが誤算となった。今期は新築向けの売り上げが消費増税前の駆け込み需要の反動で落ち込むため、利益率の高い同事業で補う戦略だった。4〜6月期の同事業の売り上げは683億円と1.6%増にとどまった。これまで同事業は好調で、14年3月期の売上高は14.0%増の2826億円。建材・住設機器の売り上げの31.0%をリフォームが占めていた。この勢いを駆って15年3月期のリフォームの売り上げは7.9%増の3050億円、建材・住設機器に占める比率を33.5%にまで高める計画を立てた。だが、4〜6月期の実績は通期計画を下回るペースで、計画達成が厳しくなった。
これまで買収を重ねてきた海外事業の利益貢献も遅れている。米アメリカンスタンダードの営業利益は7億円の黒字だが、イタリアのカーテンウォール事業は13億円の赤字。アジア事業も4100万円の赤字となり、海外事業の営業利益を前期比2.6倍の185億円とする通期計画の達成は困難になった。
15年3月期の売上高は8.1%増の1兆7600億円、営業利益は15.8%増の800億円、純利益は9.5%増の490億円と大幅な増収・増益を予想している。ところが国内リフォーム事業と海外事業の2本柱が伸び悩み、業績に急ブレーキがかかった。下振れリスクが高まったことから投資家に失望が広がり、株価が急落する原因となった。
●「プロ経営者」に託された、世界的企業への変身
「プロ経営者」として名高いLIXIL社長の藤森義明氏は、日商岩井(現・双日)を経て1986年に日本ゼネラル・エレクトリック(GE)に転職。「20世紀最大の経営者」といわれたジャック・ウェルチ会長に認められ、日本人として初めて米GEの上席副社長に抜擢された。05年には日本GE会長に就任。藤森氏は米GEでキャリアを重ねてきたが、日本では人脈がなかった。そこで日本IBMの北城恪太郎氏の紹介で経済同友会に入会した。藤森氏の米GEでの活躍は知れ渡っており、社外取締役になってほしいというオファーが数多く寄せられたが、GEの規則で社外取締役を兼務することはできなかったため、すべて断っていた。
そんな中、住生活グループ(現・LIXIL)会長の潮田洋一郎氏から「勉強会ならいいでしょう」と声をかけられ、以後2年間アドバイザーとして毎月欠かさず勉強会に参加した。潮田氏は海外に打って出るため11年8月、藤森氏を三顧の礼をもって社長に迎えた。住生活グループは建材・住設機器を建設会社や住宅会社に販売する、典型的な内需企業だった。GE流の企業文化やリーダーシップを持った経営手法を持ち込み、世界的な優良企業に変身させることを藤森氏に託したのだ。
GEで鍛えられた藤森氏は、M&A(合併・買収)のプロだった。社長に就任直後から海外企業の大型買収に着手した。11年8月、イタリアのカーテンウォール大手ペルマスティリーザを580億円で買収。カーテンウォールとは総ガラス張りの高層ビルなどに使われる外壁材であり、ペルマの製品は東京ミッドタウンなどのランドマークでも採用されている。13年8月、米衛生陶器最大手のアメリカンスタンダードを531億円で買収。北米の衛生陶器市場でシェアは21%となり、ゼロから一気にトップに立った。同年9月にはドイツの浴室やキッチンの水洗金具メーカー、グローエを日本政策投資銀行と共同で買収すると発表。グローエの水洗金具は世界の高級ホテルで採用されており、買収総額は3816億円に上る。
積極的な海外M&Aの結果、今年1月にLIXILの株価は上場以来初めて3000円の大台を突破した。国内外で手掛けてきたM&Aが業績に貢献するかどうか、その成果が最初に問われるのが今期通期決算だ。4〜6月期の業績が失速し、期待が膨らんでいた分だけ失望は大きかった。同社がグローバル企業への脱皮を遂げることができるのか、正念場を迎えている。
編集部
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