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GDPを購買力平価で換算すれば日本は中国の3分の1という現実
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140928-00000007-pseven-bus_all
週刊ポスト2014年10月3日号
急激な円安が進行し、9月19日には1ドル=109円台に突入。円安になれば輸出企業の業績が上がり日本経済にとって大きなプラスになりそうだが、はたしてそうだろうか。
そもそも円安は良いことだという考えそのものが幻想である。円安政策は国力そのものをじわりと削ぎ、日本の国際的地位を貶めている。慶応義塾大学大学院准教授の小幡績氏がいう。
「自国通貨が安くなって喜んでいるのは日本だけ。自国通貨が安くなるということは『交易条件が悪化する』わけで、通貨は国の力というのが、そもそも世界経済の常識だ」
経済学者の田代秀敏氏(RFSマネジメント・チーフエコノミスト)は、日本と中国のGDPをドル換算で比較し、こう語る。
「日本は1968年から2009年まで、自他共に認める『世界第2の経済大国』だった。それは、ドル建てGDPが米国に次ぎ2番目の大きさだったからだ。
だが、2010年にドル建てGDPで日本は中国に逆転された。それでも、民主党政権下の2012年の段階では日本のGDPは中国の7割強の水準を維持していたが、安倍政権下の円安政策によって、この2014年6月末には一気に中国の5割以下に縮んでしまった」
日本が中国にGDPで抜かれたのは最近のこと──そう考えている日本人は多いだろう。だが、世界では各国GDPをドルベースで評価するのが当たり前。すでに「日本は中国の半分以下の経済規模しかない国」と認識されているのだ。そうした地位の低下を招いたのは、安倍政権下で2割も通貨の価値を下げた急速な円安政策なのである。
その結果は日中間の外交・安全保障問題にまで影響すると田代氏は指摘する。
「日中国交正常化が日本に有利な形で行なわれ、最近まで中国が防空識別圏を設定しなかったのも、日本に経済力で圧倒されていると中国が認識していたからだ。それが、中国の経済規模が日本の2倍弱に達した昨年11月、中国は防空識別圏を東シナ海に設定し、航空自衛隊機に対してスクランブルをかけて威嚇するようになった」
世界が日本を見る目も変わった。ドイツのメルケル首相が就任以来2度しか来日していないのに対して中国には7度も訪れているように、欧米先進国、アジアや中南米、さらに中東やアフリカの諸国も中国重視の戦略を取っている。経済規模が中国の半分以下に成り下がった日本は相手にされなくなっていくのだろう。
「通貨の実力を示す購買力平価を用いて換算した場合、日中のGDP逆転は2002年で、今や中国は日本の3倍。それが表面化しなかったのは円高のおかげだった。ところが安倍政権が意図的に劇的な勢いで円安を引き起こしたため、日中経済の決定的な実力差が明らかになってしまった」(田代氏)
国家経済全体を「購買力」で比較すれば、日本は中国の3分の1しかない現実を直視すべきなのだ。“経済はイマイチだが、外交の強い姿勢は評価できる”という大半の安倍支持者の考えは間違っていることになる。安倍氏は国民生活をズタズタにし、しかも中国や周辺諸国に“日本は恐るるに足らず”と思わせる元凶になっている。
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