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2014年09月24日
中央銀行の役割は金融政策を通じて経済活動を「間接的に」コントロールすることですが、より広義には通貨価値(魅力)を国際的に維持することと考えます。
本誌がいつも主張する「円の国際化」も「国債の海外保有の拡大」も、すべてこの「通貨」の価値(魅力)の維持が大前提となります。
日本の1000兆円をこえる公的債務残高は消費税を10%に引き上げても絶対に減らず、公的債務が国内金融資産で賄われているうちに国債の海外保有を拡大しておくことが、はるかに現実的な解決方法となります。
「円の国際化」が進めば海外における「円の保有」も進み、その運用手段として国債が自然に海外で取得されることになります。しかしそのためには円の国際的な信任(魅力)の維持が絶対条件となります。
その円を発行する日銀は資産内容を良好に保つとともに、円の価値(魅力)を維持する金融政策を行うべきです。長期金利(長期国債利回り)は日本への投資収益の基準になるため、あまり低下しても円の価値(魅力)を減退させます。
この正反対は、日銀が「外部負債を膨らましてリスク資産を大量に抱える」「通貨価値が毎年2%減価する物価上昇目標を掲げる」「通貨価値が直接的に減価する円安政策を推進する」「長期金利を低く維持する」などとなります。
つまり昨年3月に就任した黒田総裁のもとで、すべて日銀が「見事に実行している政策」ばかりです。黒田総裁が就任直後に打ち出した「異次元」量的緩和とは、円の価値(魅力)を減退させる政策に外なりません。
そう書くと「異次元」量的緩和のおかげで円安・株高になり、それはそれで日本経済のためではないか?との反論が出てくるはずです。
確かに民主党政権下での70円台の円高や8000円台の日経平均は「行き過ぎ」で、その水準を訂正したことは事実です。しかしここからは長期展望に立った金融政策が必要となるはずです。
ところが日銀は依然として2回目の消費増税の決定が至上命題と考え、そのためにはさらなる円安・株高が必要と考え、(2%の物価上昇実現のためには)躊躇なく追加金融緩和に踏み切ると明言しています。黒田総裁の日銀は完全に旧大蔵省傘下であり、消費増税へ(2回で10%へ)最後の仕上げに躍起ということになります。
かくして円の価値(魅力)は見事に損なわれていくことになり、海外の政府でも投資家でも中央銀行(日銀)がわざわざ価値(魅力)を減退させている通貨(円)を進んで保有するはずがなく、したがって日本国債を保有する理由はもっとなくなります。
繰り返しですが1000兆円をこえる公的債務は消費税を10%に引き上げても絶対に減らないため、消費増税で日本経済を「大不況」に追い込むのではなく、米国のように国債発行残高の半分くらいを海外で保有してもらって財政の破たんを避けるべきと考えます。国民金融資産の減少がはっきりしてからでは「完全に手遅れ」となります。
日本に限らず世界経済は、「経済成長の減速」「インフレ率の低下」「長期金利の低下」「結果としての株高」の組み合わせが定着しています。
このような環境下では経済成長の低下やインフレ率の低下を食い止めることは困難なので、「通貨高」を組み合わせて海外からの投資を促進して株式や不動産価格を上昇させる方が、はるかに現実的となります。
ましてや日本では1000兆円をこえる公的債務残高のファイナンスには海外資金が絶対に必要であるため、余計に円の価値(魅力)の維持、簡単にいえば「円高」が必要となります。
9月18日まで開催されていたFOMCで、来年の利上げ時期が前倒しにされた可能性が取り沙汰され、9月19日に一時1ドル=109.46円まで円安となりました。
日本経済にとっては弊害しかない円安ですが、裏返せば米国が「ドル高政策」に転換したとも考えられ、ますます日銀の金融政策が「正しくない」ことになります。
続きます。
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2014年09月25日
昨日の続きですが、一昨年末の安倍内閣のスタート以降、特に昨年4月4日の「異次元」量的緩和導入直後は、行き過ぎた円高・株安を劇的に修正したことは事実です。
ところがそこから1年半近くが経過し、世界の経済・金融事情が変化しているにもかかわらず、相変わらずの「異次元」量的緩和を継続(あるいは強化)する弊害がはっきりと出はじめてきました。
まず中央銀行である日銀は、発行する通貨・円の価値(魅力)を国際的に維持する使命があり、そのバランスシートは当然に健全なものでなければなりません。
健全かどうかを検証してみましょう。
「異次元」量的緩和が導入される直前の2013年3月31日の日銀保有国債は125.3兆円(長期国債91.3兆円、短期国債34.0兆円)だったのですが、直近の2014年9月20日には232.6兆円(長期国債181.1兆円、短期国債51.5兆円)と、1年半近い「異次元」量的緩和の間に107.3兆円(長期国債89.8兆円、短期国債17.5兆円)も増えています。
ここで日銀のいう長期国債とは「償還期限が長い国債」という意味ではなく、短期国債以外の利付国債(財投債を含む)のことで、償還期限が短くなったものも含まれます。
ちなみに2014年6月30日現在の日銀保有国債は211.9兆円(長期国債166.6兆円、短期国債45.3兆円)だったので、この間に86.6兆円(長期国債75.3兆円、短期国債11.3兆円)増えていたのですが、実はこの間に国債発行総額は48.1兆円(長期国債42.4兆円、短期国債5.7兆円)しか増えていません(国債発行総額は2014年6月30日現在が最新発表分です)。
つまり本年6月までの15ヶ月間では、日銀は国債残高増加額の180%、短期国債を除く長期国債だけでは177%を「吸収」していたことになります。その後もこのペースは、ほとんど変化していないはずです。
最大の問題は、2013年3月31日から2014年9月20日までの間に、負債では日銀券(お札のことです)が83.3兆円から86.1兆円まで2.8兆円しか増えておらず、日銀当座預金が58.1兆円から153.0兆円まで94.9兆円も増えていることです。
つまり1年半近い「異次元」量的緩和の間、日銀保有国債が107.3兆円も増えたのですが、その間に日本経済が拡大したことを示す日銀券は2.8兆円しか増えておらず、日銀が国債を買い入れた銀行へ代金を支払わずに預かったままの日銀当座預金残高が94.9兆円も増えています。
数字が合わないのは他の項目を無視しているからですが、負債項目では売現先勘定が14.5兆円から31.9兆円に17.4兆円も増えており、要するに膨らんだ国債残高の「全額」を当座預金残高と売現先勘定の「外部負債」でファイナンスしていたことになります。
要するに日銀は見事に「世界で2番目のヘッジファンド」で、日銀が発行する通貨・円はヘッジファンドの借用証書(まあ政府保証がついているようなものですが)となります。
そんなことより「どうしてこれで日本経済が回復するのか?」が全くわかりません。
世界最大のヘッジファンドはFRBで、本年9月18日現在で4兆1870億ドル(455兆円)の長期国債とMBSを保有していますが、負債は紙幣が1兆2890億ドル(140兆円)で日銀当座預金に相当するReserve Balanceが2兆7519億ドル(299兆円)もあります。
しかしFRBは2013年に777億ドル(8.4兆円)もの国庫納付ができるほど利ざやを稼いでおり、国庫納付は2014年から当分の間は毎年1000億ドル(10.8兆円)をこえる「大変に高収益のヘッジファド」となります。
ところが日銀の2013年度の金利収入は8057億円、国庫納付は5793億円しかありません。今年度も「異次元」量的緩和を続けているので金利収入は増えるはずですが「収益率が低くレバレッジだけが高い大変に危なっかしいヘッジファンド」となります。
まあ国債総発行額の2倍近い国債を今後も「吸収」し続けるので、金利が上昇して保有国債が評価損となる可能性は「当面」はありません。しかしそんな「大変に危なっかしいヘッジファンド」である日銀が発行する通貨・円の価値(魅力)が国際的に維持されるはずがなく、日本にとって最重要である日本国債の海外保有が進むはずもありません。
本日は日銀のバランスシートだけで終わってしまったので「番外」で続きを書きますが、明日はリクエストいただいたスターバックスコーヒージャパンの完全子会社化についてです。
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