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2014年09月26日
スターバックスコーヒージャパン株式会社(JASDAQ上場・コード2712、以下「スターバックスジャパン」)は9月24日、親会社の米スターバックス・コーポレーションが子会社を通じたTOBで全株取得し、完全子会社化すると発表しました。
スターバックスジャパンはTOBの後、全株取得のための定款変更などを経て上場廃止となります。株主優待が目的の株主も多かったと思いますが、なくなってしまいます。
スターバックスジャパンは1995年に米スターバックス・コーポレーション(名義は子会社)とサザビーリーグ(2011年3月にMBOにより上場廃止)の折半出資で設立され、2001年10月に大証・ヘラクレス(現JASDAQ)に上場しました。
当時の大量報告書から、サザビーリーグは設立時に30億円(600,000株)を出資し、上場時に5%に相当する30,000株を1株=64,000円で売り出して19.2億円を回収していることがわかりますが、同株数を所有する米スターバックス・コーポレーションの出資状況はよくわかりません。のれん代・ノウハウなどを現物出資していた可能性もあります。
またスターバックスジャパンは上場時に220,000株を同価格(64,000円)で公募増資して140億円強を調達していました。
2013年10月に1株を100株に分割しているため、公募・売り出し価格は640円となり、TOB発表前日(9月22日)の終値が1399円なので、少なくとも日本トイザらスのような「食い逃げTOB」ではありません(注)。
(注)日本トイザらスは上場時の公募増資だけで156億円を調達したのですが(別途売り出しもあり)、米国の親会社がわずか56億円で全株取得して上場廃止にしてしまいました。
さてTOBは2段階で行われ、第1段階は9月26日からサザビーリーグの保有する5700万株(持ち株比率39.5%)のみを時価を大きく下回る1株=965円で買い取るのですが、サザビーリーグはすでに賛同の意向を表明しています。
サザビーリーグは、買い取り価格が時価よりも低いもののこれで550億円を手にします。上場時の売り出しとその後の配当受け取りで当初出資金の30億円は「すっかり」回収しているため、まさに笑いが止まらない状況でしょう。
第2段階は11月10日から一般株主を対象に1株=1465円で全株を買い取ります。この買い取り価格は基準日(9月22日)終値の1399円に対してわずか4.7%、直近6ヶ月の終値平均の1171円に対しても10.6%の上乗せでしかありません。
スターバックスジャパンの株価は上場以来の高値とはいえ、大変に「ケチくさい」買い取り価格です。
もちろん一般株主はTOBに応じず、買い取り価格の引き上げを求めて裁判を起こすこともできますが、その労力や訴訟費用などを考えるとあまり合理的とは思えません。
さて、どう評価すればよいのでしょう?
まあ親会社のスターバックス・コーポレーションは1000億円もの資金を日本株式市場に返却してくれるので、批判したくても批判できないといったところでしょう。
ただはっきりといえることは、親会社である米スターバックス・コーポレーションにとっては「一応は高収益で高成長企業」であるスターバックスジャパンが、はっきりと割安にみえたことになります。
つまり円安だからです。
親会社が「早くTOBに踏み切らないと円高に戻って高くなってしまう」と考えたかどうかは不明ですが、円安以外にあまり積極的な理由は考えられません。
そうなると本誌が以前から長期低迷すると書いている日本マクドナルドHDも、いっそのこと米国の親会社が全株取得して資金を株式市場に返却してくれればよいのですが、逆に親会社の資本引上げ(つまり持株の売却)を心配する必要が出てくるかもしれません。
同じように本誌が「親会社に食い尽くされて残骸だけになる」と考える日産自動車は、9月5日付け「そろそろ日産自動車を取り返そうではないか」で書いたように、親会社のルノーをTOBで取得してしまうべきと考えます。
外国企業が親会社の上場企業は、今後もいろいろな動きが出てくるような気がします。
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