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日銀の株保有7兆円に 買い増しで株価支える 年内に日生超えも
株式市場で、買い手としての日銀の存在感が高まっている。上場投資信託(ETF)を含めて、日銀が保有する株式の時価は約7兆円にのぼる。今後も月に1000億円程度を買い増す方針で、年内にも民間で最大の日本生命保険(約7兆円)を上回る可能性が出てきた。株価を支える一方で、将来の売却の判断には難しさも伴う。
日銀は8月にETFを合計1236億円買い入れた。1カ月の買い入れ額としては今年最大だ。特に上旬には株価がやや軟調ななかで6営業日連続で買い入れ、株価を下支えした。
◆GPIFに次ぐ規模に 日銀は具体的な買い入れ方法は公表していないが、午前中に株価が下落した日に100億〜200億円程度買い入れることが多い。9月は株価上昇が続いているため、購入実績はまだゼロだが、保有株の時価は一段と高まっている。日銀の決算資料によれば、個別株とETFを合わせた保有時価は3月末時点で6兆1500億円。4月以降の買い増しや株価上昇を踏まえると、7兆円程度に膨らんだもようだ。
これは日本株全体の時価総額(約480兆円)の1.5%にあたり、三菱UFJフィナンシャル・グループ(4.6兆円、6月末)や世界最大の政府系ファンドであるノルウェー政府年金基金(3.7兆円、同)を上回る。日生を抜けば、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF、21兆円強、同)に次ぐ大株主となる。
日銀は2002年に金融システムの安定のため銀行の保有株を直接買い入れることを始めた。10年には極端な株安を和らげる狙いで、ETFも買い始めた。個別株の買い入れは現在停止しているが、ETFは昨年4月の異次元緩和で購入額を年5000億円から年1兆円へと倍増させた。
◆売却時期など課題に 中央銀行が株式やETFを買うのは世界的に見ても異例の措置だ。株式は国債より値動きが大きく、中銀の資産の健全性を損なう懸念があるからだ。大きな損失となれば円の信認低下にもつながりかねない。日銀の買い入れが多いと、本来は民間の取引で決まるべき株価の形成がゆがめられ、資源配分や金融市場の発展に悪影響を及ぼす恐れもある。
買った株式を将来、どのように市場で売却するかも課題だ。個別株は16年3月まで売却を凍結しており、ETFは売却時期を決めていない。だが、異例の措置とあっていずれは売却するのが妥当だと市場ではみられている。保有額はアベノミクスに沸いた昨年1年間の外国人の日本株買越額(約15兆円)の約半分に相当する。売却すれば株価への影響は大きい。売却時期や手法を巡って日銀は難しい判断に迫られそうだ。
[日経新聞9月23日朝刊P.2]
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