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8月の百貨店売上高はプラス圏への浮上ならず
「数奇な運命」の百貨店売上高
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140923-00010000-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 9月23日(火)13時40分配信
日本百貨店協会が19日に発表した8月の全国百貨店売上高は前年同月比0.3%減となり、プラスに浮上することはできませんでした。これで5カ月連続のマイナスです。
百貨店売上高は消費増税直後の4月に12.0%減と大幅なマイナスになった後、下落率を縮小していました。このトレンドから「8月はプラスになるのでは」との期待もありましたが、わずかながらマイナスに終わったことで、消費回復の足取りが鈍いことを示しました。
先週は米国の連邦公開市場委員会(FOMC)、スコットランド独立をめぐる住民投票、中国ネット通販大手、アリババのニューヨーク株式市場上場など、世界中の注目する大イベントが続きましたが、いずれも無事に通過しました。その中でも特に鮮明となったのが米国景気の強さと連邦準備制度理事会(FRB)のハト派的な姿勢で、これを受けて株高、円安の流れが強まりました。日本のマーケットの外部環境としてはいい条件が整ったといえます。
問題は日本国内、足元の景気です。増税の影響で落ち込んだ消費がどの程度、回復しているかが最大の関心事なので、消費動向を表す経済指標に注目が集まっています。その代表格が百貨店売上高というわけです。
気をつけなければいけないのは、同売上高が常に消費関連指標の代表格ではないということです。バブル期には百貨店の扱う高額商品が飛ぶように売れ、それが消費や景気全体を引っ張っていたため、同売上高を見ていれば消費全体の動向を把握することができました。
しかし、バブルが崩壊し消費が落ち込む中で、百貨店は他の業態に比べて売上高の減少幅がより大きくなり、不振が続きました。全国売上高は2012年までなんと15年も減少が続いたのです。1997年の消費税5%への引き上げによる売り上げ減少以降、一度も水面上に顔を出すことなく低迷が続いていました。
これは消費低迷だけが原因ではありませんでした。百貨店という業態そのものが時代の変化に後れを取り、コンビニなどに押されるようになったためでもあります。いわば百貨店の地盤沈下という構造要因が背景にあったことを示しています。このため、百貨店売上高を見るだけでは消費の動向を的確につかめなくなり、景気指標としての注目度は落ちていきました。
■8月の数字には明るさも見え始めた
ところが、「アベノミクス」によって再び注目が集まるようになってきました。安倍政権下で株高、円安が進んだことから、外商などで扱う高額商品の売り上げが大きく伸び始め、それが引っ張る形で百貨店全体の売り上げが上昇基調に転じました。消費増税直前の2014年3月には前年同月比25.4%の大幅増を記録しました。百貨店売上高はアベノミクス景気の動向を先導する指標のような存在になったのです。
今年4月の消費増税以降は、同売上高が一転してマイナスに転じましたが、景気指標としての注目度は一段と高まっています。今後も、少なくとも消費増税が日本経済の大テーマになっている間は、その注目度の高さが続くでしょう。
こうしてみると、百貨店売上高という指標は日本経済の変転とともに大きく、注目度の変化してきたことがわかります。多くの経済指標は時代の変化とともに注目度や重要性が多少は変化するものですが、特に同売上高は注目度の浮き沈みが大きいと感じます。大げさに言えば、日本経済の変転によって数奇な運命をたどっているといったところでしょうか。
8月の結果をよく分析すると、明るさも垣間見えてきました。同月は上旬に2つの大きな台風が接近、上陸したのを始め、西日本中心に大雨や災害が相次ぎました。8月がマイナスで終わった一因です。
つまり、すべてが消費増税の影響とはいえないということです。8月後半には百貨店各社が販促対策を積極的に展開したことや気温低下で秋物需要が盛り上がったことなどから盛り返し、プラスにはならなかったものの前年実績に迫る水準まで回復しました。
8月の売上高を地域別に見ると、大都市(東京、大阪など10都市)は前年同月比0.5%増と、消費増税後で初めてプラスになっています。消費回復の動きは着実に続いているといえるでしょう。
ただ、百貨店売上高が重要といっても、それだけで消費の動向すべてを判断することができないのは言うまでもありません。スーパーやコンビニの売上高、小売業全体の売上高を示す小売業販売額(経済産業省の「商業販売統計」)、家計の側から見た実質消費支出(総務省統計局の「家計調査」)など、他の消費関連指標とつき合わせながら、動きをチェックしましょう。
<著者プロフィール>岡田晃(おかだ・あきら):経済評論家。日本経済新聞に入社。産業部記者、編集委員などを経てテレビ東京経済部長、テレビ東京アメリカ社長など歴任。人気番組「ワールドビジネスサテライト」のプロデューサー、コメンテーターも担当。現在は大阪経済大学客員教授。ストックボイスのメインキャスターも務める。わかりやすい解説に定評。著書に「やさしい『経済ニュース』の読み方」(三笠書房刊)。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
岡田 晃
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