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急速な円安による日本国債の下落リスク
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20140922-00039295/
2014年9月22日 8時21分 久保田 博幸 | 金融アナリスト
円安の勢いが止まらない。ドル円は109円台に乗せ、ユーロ円は140円台を回復した。日銀の黒田総裁による円安容認発言がひとつのきっかけとされているが、チャートが意識されたテクニカル的な買戻しも入ってきたものと思われる。
2012年11月のアベノミクス登場の際には、通貨価値を下げさせるごとくの安倍自民党総裁の輪転機発言等に、いちはやくヘッジファンドなどが反応した。ユーロ危機が後退しつつあるなかにあり、行き過ぎた円高調整がいつ入ってもおかしくないタイミングでのアベノミクスの登場であった。この円安がアベノミクスの原動力となった。
今年4月の消費増税による影響から2014年4〜6月期のGDPは大幅減となったが、1〜3月期の駆け込みの反動という面も大きかった。問題は7〜9月期の動向となるが。こちらもやや思ったほどの回復ではなくなる可能性が出てきた。秋以降の物価の動向についても、日銀は強気の姿勢を崩さないが、その日銀のシナリオに市場ではやや懐疑的となってきた。このあたり日銀もやや不安を抱える格好になったと思われる。
そこで出てきたのが、再度の円安策であったとみられる。今回は急激な円高の反動といったことは期待できない。しかし、ドルが意外に底堅く推移しており、むしろじりじりと上昇し、ドル円は長い目でみてのチャートの上値の節目に届こうとしていた。この円売りドル買いの原動力となったのが、FRBと日銀の金融政策のスタンスの違いであり、米国はこの円安ドル高はある程度、容認せざるを得ない。ドル円は110円どころか120円も視野に入るようなチャートとなりつつある。
この円安による日本経済への影響については、すでに新聞などでも取り上げられているように、決してプラス要因ではなく、むしろ輸出の伸びがとまり輸入が増えているなか、原材料費の上昇で打撃を受ける企業のほうが多くなる可能性が高い。
しかし、今回も海外ヘッジファンドなどを含め、円売りと日本株買いはセットにしてきた。これには米国株式市場の上昇も背景にあろうが、円安にして物価を刺激させたい日銀と、株高にして支持率を上げたい政府の意向に沿ったかたちで市場は動くことになった。ここにひとつ取り残された格好の市場がある。債券市場である。
2012年11月のアベノミクスの登場により、日本国債は日銀の大量買入れも意識され底堅いというか買いが優勢となり、長期金利は徐々に低下し、一時0.5%を割り込んできた。円安株高となれば、債券は売りがひとつのパターンであったが、債券相場は蚊帳の外に置かれた。果たして今回も同様なのであろうか。
アベノミクスは行き過ぎた円高調整が急激に入ったものであるが、長期金利の0.5%割れも行き過ぎではないのだろうか。すでに1年物の金利がマイナスとなっているなか、行き過ぎもないだろうとの見方もある。しかし、その背景には強引ともいえる日銀の国債買入れがある。
このまま円安が進み、さらに円売りが加速するような事態が生じるとなれば、円の下落そのものに対しての不安が生じる可能性がある。FRBの利上げにむけた動きで、米長期金利にいずれ上昇圧力がかかると、日本国債もさすがに動揺する可能性がある。
急激な円安とそれによる物価高が意識されると、今度は日銀の物価目標達成も視野に入る。日銀の出口政策が市場で意識されると債券市場の地合いが急速に変化する可能性がある。日銀が国債を大量に買っているから、そんなことは起こりえないとの見方があるかもしれないが、それでは2013年5月のバーナンキ・ショックを思い出してほしい。FRBが大量に米国債を購入していても米債の急落は起きていた。同様の事態が日本でも発生する可能性も意識しておく必要があるのではなかろうか。
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