02. 2014年9月20日 07:48:52
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NY外為:ドルが週間ベースで10週連続高、来年の利上げ予想 9月19日(ブルームバーグ):19日のニューヨーク外国為替市場はドルが上昇。米金融当局が来年の利上げを示唆したことが手掛かりとなった。 主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数 は週間ベースで10週連続上昇。この日の円は6年ぶり安値に下げた。日本銀行が刺激策を維持する意向を示している。ユーロは14カ月ぶり安値に下落。欧州中央銀行(ECB)が初回の条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)を実施した。 米調査会社レアビュー・マクロを創業したニール・アズース氏は、「年末にかけてあらゆる資産の中でドルがトレンドの最先端にいる」と述べ、「金利ファンダメンタルズの取引に回帰している」と続けた。 ニューヨーク時間午後5時、ドル指数は0.6%上昇して84.796。一時は2010年7月以来の高水準となる84.797をつけた。週間ベースは0.7%上昇。 ドルは対円で1ドル=109円04銭。一時は0.7%上昇して109円46銭と、2008年8月以来の高値となった。週間ベースでは1.6%高。ドルは対ユーロで0.7%上昇して1ユーロ=1.2829ドル。週間ベースでは1%上昇した。ユーロは対円で0.4%下げて1ユーロ=139円89銭。 チャプデレーン(ニューヨーク)の為替責任者、ダグラス・ボースウィック氏は「ドル相場は過去数年間にわたって抑制されてきたが、その抑制を解かれつつある」と述べ、「日本が量的緩和を実施する限り、また欧州がバランスシートの拡大に言及する限り、ドル指数は上昇を続けるだろう」と続けた。 ボラティリティ指数 JPモルガン・チェースのグローバルFXボラティリティ指数 は7.29%。終値ベースで9月8日以来の低水準となった。15日には7.65%と終値ベースで4月1日以来の高水準をつけていた。年初来の平均値は6.87%となっている。 米連邦公開市場委員会(FOMC)の予測(中央値)によると、2015年末のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標は1.375%と、6月時点の1.125%から上方修正された。現在のFF金利は事実上のゼロが続いている。 FF金利先物動向によれば、FOMCが来年7月までに少なくとも政策金利を0.5%に引き上げる確率は60%と、1カ月前の49%から上昇した。 ECBの新長期オペ 18日の発表によると、ECBは4年物の資金826億ユーロを割り当てた。金利は0.15%。ドラギ総裁はTLTROなどを通じてECBのバランスシートを最大で1兆ユーロ膨張させたい考えを示していた。 ドル指数 は年初から5.9%上昇。これは米当局が量的緩和に基づく債券購入策の第一弾が実施された2008年以来で最大の伸び率。 円は週間ベースで主要通貨の大半に対して下落した。 商品先物取引委員会(CFTC)がまとめたヘッジファンドなど大口投機家の建玉明細によると、円が下落するとの見方が後退した。対ドルでの円のネットショート は8万3182枚と、前週の10万673枚から減少した。 ブルームバーグ相関加重指数によると、先進10カ国通貨のうちドルは過去1カ月間で3.2%上昇。円は3.3%下落、ユーロは1.1%下げた。 この日の英ポンドは上昇。スコットランドの住民投票では独立反対派が勝利した。 原題:Dollar Set for Longest Rally in 47 Years Amid PolicyDivergence(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Andrea Wong awong268@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Dave Liedtka dliedtka@bloomberg.netGreg Storey, Paul Cox 更新日時: 2014/09/20 06:44 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NC55JC6TTDSC01.html 米国債(19日):30年債中心に上昇−インフレ抑制見通しで 9月19日(ブルームバーグ):米国債相場は3週間ぶりに続伸した。インフレや世界経済成長の見通しが後退する中、30年債の買いが目立った。 ドイツ10年債に対する米10年債の上乗せ利回りは、15年ぶりの幅近くに拡大した。米5年債と30年債の利回り差 はここ1週間で最小となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)は17日、2015年末の政策金利予測を上方修正した。米財務省は来週、総額930億ドル相当の固定利付債を発行する予定だ。 三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロス氏(ニューヨーク在勤)は「欧州に比べると割安だという見方、そして永久に景気の腰折れが続くとの見方から買いが入っている。米金融当局が利上げに踏み切れば、さらに腰折れするだけだ」と指摘。「市場参加者は米国債のロングに傾いている」と述べた。 ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時5分現在、30年債利回り は前日比6ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)低下の3.29%。同年債(表面利率3.125%、償還2044年8月)の価格は1 5/32上げて96 31/32。同利回りは週間でも6bp低下した。 独10年債に対する米10年債の上乗せ利回りは1.53ポイント。17日には1.57ポイントをつけた。 先物動向 米商品先物取引委員会(CFTC)の統計によれば、ヘッジファンドなど大口投機家は16日終了週に2年債に対する弱気 な見方を強め、ネットショートが9万6810枚と2007年6月以来の最高となった。30年債に対しては強気 な見方を強め、ネットロングが2万4958枚と前週の1万6615枚から増加した。 FOMC当局者のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の2015年末時点の予想中央値は1.375%と、今年6月の予想1.125%から上方修正された。債券購入額は月150億ドル(約1兆6300億円)に減らす方針を発表。100億ドルずつ縮小させるのは7会合連続で、資産購入プログラムが来月終了するペースを維持した。 野村ホールディングスの金利戦略責任者、ジョージ・ゴンキャルベス氏は顧客向けリポートで「ハト派、タカ派の両シナリオが少しずつその通りになった形だ」と指摘。「金融当局はボールを市場のコートに戻してきた。投資家は当局が正しい金利水準について伝達してくるのを待つよりも、景気や適切な金融政策の道筋を評価し続けるべきだ」と述べた。 「インフレの兆しは見られない」 市場のインフレ期待を示す10年債と同年物インフレ連動国債(TIPS)の利回り差 は2.03ポイント。前日は一時2.02ポイントと、昨年7月以来の最小となった。 ED&Fマン・キャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の債券トレーディング担当シニアバイスプレジデント、マイケル・フランゼーセ氏は「インフレの兆しは見られない。長期に手を伸ばして利回りを獲得するのも良さそうだ」と述べた。 財務省は23日に290億ドルの2年債、24日に350億ドルの5年債、25日に290億ドルの7年債の入札をそれぞれ実施する。24日には130億ドルの2年物変動利付債の入札も実施する。 米民間調査機関コンファレンス・ボ ードが発表した8月の米景気先行指標総合指数(LEI)は前月比0.2%上昇。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.4%上昇だった。前月は1.1%上昇と、速報値の0.9%上昇から上方修正された。 原題:Treasury 30-Year Bonds Gain as Inflation Outlook SpursDemand(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Cordell Eddings ceddings@bloomberg.net;ニューヨーク Daniel Kruger dkruger1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Dave Liedtka dliedtka@bloomberg.netPaul Cox, Greg Storey 更新日時: 2014/09/20 06:33 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NC5YQR6VDKHY01.html コラム:スコットランド残留で晴れた霧、「ドル110円」も視野=岩下真理氏 2014年 09月 19日 17:31 JST 岩下真理 SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト [東京 19日] - 足元の懸念材料だったスコットランド独立問題も杞憂に終わり、ドル110円到達も十分視野に入ってきた。 もしもスコットランド住民投票が独立賛成派の勝利で終わっていたなら、英国や欧州全体の政治的・経済的混乱は避けられず、金融市場は大きな調整局面に入る可能性があった。ドル円で言えば、ここ1カ月で6円という円安加速に対する警戒感もあり、世界的なリスクオフのモードから反動が出ていたことだろう。 目先は一旦の材料出尽くしにより、適度なスピード調整をこなしつつも、以下説明するような主要国金融政策や経済ファンダメンタルズの変化を背に受けて、円安モメンタムを高めていくとみられる。 振り返れば、年初のドル円予想は日米金融政策の方向性の違いなどを背景とする金利差からドル高シナリオが主流だった。しかし、1―3月期の米国大寒波につまずき、米長期金利が急低下。低成長・低金利が続くとする「ニュー・ニュートラル」論に火をつけ、その後も6月の欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利導入などを受けて、想定外の金利低下が続いた。その結果、ドル円は長らく101―103円のこう着相場に陥り、これまで収益チャンスを喪失してきたのである。 しかし、ここにきて堅調な米国の経済指標と利上げを視野に入れて、遅れしもドル高シナリオが実現。「実りの秋」を謳歌する投資家のエネルギーは、目を見張るスピード感でドル円の水準シフトをもたらしたと言えよう。 <9月FOMC、利上げの地ならしに成功> 注目された9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、声明文で事実上のゼロ金利維持に関する「相当な期間(for a considerable time)」との表現をハト派的に維持しつつ、メンバーの政策金利見通し(ドットチャート)の上方修正でタカ派色を示すという形でバランスをとった。 イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長会見では、利上げ時期は経済指標次第と繰り返しつつも労働市場のスラック(弛み)に対する慎重な見方は変わっていない。それでも、別途資料の「政策正常化の原則と計画」公表により、利上げへの準備を淡々と進めていることを印象づけた。 FRB正・副議長は利上げを急いでいないと筆者はみているが、今回はタカ派の意見に配慮してうまくまとめ上げた。米株を急落させず、米長期債の利回りも急騰させず、FRBは利上げへの地ならしを徐々に進めることに成功したと言えるだろう。今月8日にサンフランシスコ連銀がレポートを発表し、「市場はFOMCより緩和的な政策を想定している」と指摘したことも、今回のタカ派色の内容を事前に織り込ませる地ならしの一つだったと思える。 <ドットチャートで「鷹の目」を見せたFRB> それでも、9月のFOMCで筆者にとってサプライズだったのは、ドットチャートの人数分布だ。 7月29―30日開催のFOMC議事録において、当面はフェデラルファンド(FF)金利の目標レンジに現在と同様の25ベーシスポイント(bp)の幅を持たせる方針を固めたことが明らかになったが、FF金利の適切水準の見通し表示が12.5bp刻みに変更されるとは予想できなかった。 細分化されると同時に人数分布も変化したが、先行きの見方のバラつきは依然として大きい。FF金利適切水準の中央値(17人中の下から9人目)を見ると、2015年末が1.375%(前回6月は1.125%)、2016年末が2.875%(同2.5%)と想定以上に切り上がり、今回新たに発表された2017年末が3.75%と利上げ開始から3年経たぬうちに4%前後の中立水準まで戻るというのは、出来過ぎと言えるシナリオだ。 また、多数派意見が2015年末では1.875%の4人、2016年末では3.875%の3人というのも前回と様相が異なる。2015年の場合、年末にFF金利を1.875%にするには1回当たり25bpの利上げが7回必要となり、2015年3月に利上げを開始して連続利上げというシナリオ。その後2016年も8回連続利上げして3.875%になるので、メンバーのうち3人はそう考えていることがわかった。 この3カ月間で経済指標の改善を確認して、利上げに前のめりになった人数が増えており、今後もFRB経済見通しを上回る経済の改善が続くならば、利上げ前倒しの実現性が増すことになる点は注意が必要だ。そう考えると、今回のFOMC後のドル高加速は、株や債券市場の反応に比べると、やや先取りした動きと言えるだろう。 ちなみに、景気回復のベクトルは、足元で欧州と中国の停滞感、日本が消費増税後の持ち直しの足取りがまだ弱いのに対して、今後も米国が一番強いのは間違いない。それは10月上旬発表予定の国際通貨基金(IMF)の世界経済見通し改訂でも裏付けられよう。 また、金融政策では、出口戦略の歩を進める米国に対して、欧州ではECBがディスインフレに対応する用意がある。日本でも日銀が何かあれば躊躇(ちゅうちょ)なく調整するとしており、欧日が追加緩和に期待を残す姿勢を示し続けている。中長期的なドル高地合いは継続するのが自然な流れだ。 <静観する日銀、円安要因に持続力はあるか> さて、足元の動きの本質はドル高だが、そこに日本要因となる消費増税後の景気の足踏み感を受けて、筆者にとって食傷気味の日銀追加緩和観測という円安要因もくっついているようだ。 確かに消費増税後の国内景気は想定よりやや下振れている。4―6月期は駆け込み需要の反動減が大きく出て、7―9月期も耐久消費財の一部に販売の弱さが残り、天候要因も足を引っ張っている。やはり今年の気象は、日本経済予測を狂わす「ワイルドカード」だった。 しかし、需要統計である家計調査には、1)サンプルバイアスの可能性(回答世帯の所得水準が平均よりも低位と推察)、2)実質化によるマイナス幅拡大(実質化に用いる消費者物価は「持家の帰属家賃を除く総合」であり、「総合」や「コア」よりも伸び率が大きい)があり、実態より消費が弱めの数字になっている部分があると思われる。 今後は雇用・所得環境の改善を背景に、徐々に持ち直していくことが期待される。また、設備投資関連にも明るい動きが出始めている。この流れが続くかどうか、10月1日発表の日銀9月短観が注目されよう。 ちなみに、9月ロイター短観(400社ベース)によれば、製造業がプラス10と前月から10ポイントの大幅悪化となり、昨年5月以来の低水準。3カ月前対比では9ポイントの悪化となった。国内販売の弱さと米国向け輸出の伸び悩みなどを受けて減産見通しの自動車関連、原材料と円安によるコスト高の負担が大きい食品や繊維・紙パルプの大幅悪化が際立つ。 一方の非製造業はプラス22と前月から3ポイントの改善。けん引役はゲーム関連の通信・情報サービスだが、小売関連も天候の回復などを受けてやや持ち直した点は明るい材料だ。 以上により9月日銀短観での業況判断DIは、6月に比べて若干の悪化は見込まれるが、事業計画の大幅下方修正は考え難い。増益基調のもと設備投資動向を確認する重要な材料となる。 日銀内で円安を好意的に受け止めているのは、円安で輸出が伸びなくても、海外法人を含む連結決算でグローバル収益は増加、国内の設備投資や所得増加に波及していくという、従来とは異なる前向きなメカニズムが働く可能性に期待しているからだと思われる。しかしそれでも、4―6月期の実質国内総生産(GDP)が前期比年率マイナス7.1%だったことを受けて、日銀は10月展望レポート発表時に、2014年度の成長率見通しの数字(大勢見通し中央値)を7月時点のプラス1.0%から下方修正せざるを得ない。 その一方で物価見通しは、10月展望レポート発表時点では全国9月分消費者物価(CPI)までしか見ることができず(コアは前年比1%台前半予想)、従来の数字の据え置きが見込まれる。足元の円安による輸入物価の上昇は、日銀の物価安定目標2%の実現にはプラスに働く。 筆者はGDPの下方修正だけなら、日銀は追加緩和の検討には至らないと予想する。よって日本要因による円安の持続力は力強さに欠けるだろう。ただし、10月の市場では、消費再増税の思惑のもと追加緩和観測がくすぶり続けそうだ。 <地政学リスクが招く米金利上昇> 最後に地政学リスクについて、コメントしておきたい。これまでウクライナ情勢やロシア制裁などで、地政学リスクの影響を受ける主役は欧州だったが、ここにきて米国にも及んでいる。 ドル円が8月8日(オバマ大統領がイラク空爆承認)の101.50円近辺をボトムに上昇したのと同時に、米国ではイスラム国への攻撃を支持する声が強まっている。従来の歳出削減から、米国のための軍事支出拡大はやむを得ないとの雰囲気に変わりつつあるのは大きな変化だ。 8月29日の米国防総省の報道官会見では、イラク攻撃に1日平均750万ドル(約7.8億円)もかかっていることが明らかにされた。11月4日の中間選挙を前に、9月9日には下院歳出委員会が政府機関の閉鎖を回避するための暫定予算を公表し、17日には下院で可決。その中には海外での紛争や対テロ作戦への緊急的な支出が、850億ドル計上されている。また、10日にはオバマ大統領が、イラク政府などに2500万ドルの「緊急軍事援助」を提供することを承認した。 以上のような米国の財政拡大の動きは、景気回復を後押しするとともにドル高をサポートしよう。その一方で、米長期金利には上昇圧力となる点にも注意が必要だ。このことを無視すれば、相場を読み間違えてしまう可能性がある。 米10年債利回りは8月下旬の2.3%台から9月のFOMC後は2.6%台までじりじりと上昇。それでも過度な金利低下の修正にとどまっており、昨年12月の資産買い入れ縮小決定時の3.0%近辺にはまだ遠い。 17日発表の8月の米CPIは総合、コアともに前年比プラス1.7%に鈍化。イエレン議長が4―5月時のCPIの強さを「ノイズ」と言った通りの展開となり、債券市場の利上げへの慎重な見方は根強く、それが反映された水準だ。 いずれにせよ、米国の利上げは今後の経済指標次第だが、財政拡大の影響を忘れてはならないだろう。 *岩下真理氏は、SMBCフレンド証券のチーフマーケットエコノミスト。三井住友銀行の市場部門で15年間、日本経済、円金利担当のエコノミストを経験。2006年1月から証券会社に出向。大和証券SMBC、SMBC日興証券を経て、13年10月より現職。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here) http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0HE0IW20140919 コラム:スコットランドの独立否決、英国めぐる不安は晴れず 2014年 09月 19日 17:53 JST George Hay [エディンバラ 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 英スコットランドの住民投票で独立が否決されたが、これで英国をめぐる不透明感が払しょくされたわけではない。スコットランドの英国残留のために提示された条件は国内の緊張をもたらし、英国の分裂を引き起こす可能性を秘めている。 19日に開票がほとんど完了した時点で独立反対票と賛成票の割合は55対45で、英国が分裂することはない。 英国の投資家や企業は住民投票の結果にほっとするだろう。英国の人口と国内総生産(GDP)の約1割を占めるスコットランドが残留となれば、恐れられていた経済、金融や通貨での混乱は回避される。金融大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)(RBS.L)を含むスコットランドに本拠地がある銀行が拠点を移すこともないだろうし、イングランド銀行(英中央銀行)の管轄にとどまることになる。 政治的にも英国は惨事を免れた。ユーロ採用に好意的で労働党支持者が多いスコットランド人が残留すれば、英国が欧州連合(EU)を離脱する可能性も低くなる。よりユーロ懐疑的な与党保守党が2015年の総選挙で敗北する可能性も高くなる。 保守党が総選挙後に政権にとどまり、約束通りEU残留か離脱かを問う住民投票を実施した場合でも、スコットランドを含む英国は残留を選ぶ公算が大きいだろう。英当局者らはスコットランド分裂ではなく、EU加盟でより有利な条件を引き出すための交渉に時間を割くことが可能になる。 それでも、今回のスコットランド住民投票は英国を変えることになる。英主要政党は、住民投票前の世論調査で独立賛成派が勢いを増すなか、独立反対を訴えるために数々の前例がないような譲歩を余儀なくされている。 現在、スコットランド議会は支出の5割以上について決定権があるが、関連する課税については約1割しか決定権がない。英主要政党の党首らによる公約では、権限は大幅に拡大されるとみられる。英政党の権限移譲に関する公約が本当ならば、スコットランドは課税に関し5割以上の決定権を獲得する可能性がある。 ただ、英主要3政党の党首らは権限移譲の時期については合意していても、移譲すべき権限が何なのかはまだ明確にしていない。 さらなる混乱の種となり得る問題は、英政党の党首らが今月16日に、スコットランドに支給される国の一括交付金を決定する「バーネット・フォーミュラ」を維持すると示唆したことだ。この公式の下でスコットランドは現在、平均よりも厚めの予算配分を受けている。ただ、スコットランドが課税でさらなる権限を付与された場合は、理論上は交付金は減らされることになる。 住民投票をめぐる騒ぎが沈静化すれば、英政党の党首らはこれまでの公約について、確約ではないとの立場を取るようになるかもしれない。権限移譲に関する議論はキャメロン政権の弱体化につながる可能性もある。ユーロ懐疑派の首相と交代となれば、EU離脱の懸念が再燃するかもしれない。 一方、住民投票の結果にかかわらず、スコットランドの権限拡大を求める動きは弱まらないだろう。英政府が約束をほごにした場合はスコットランド住民の怒りを買うことになる。一方、スコットランドに有利過ぎる合意が成立した場合は、ウェールズや北アイルランド、さらにはイングランドの経済状況が悪い地域で住民の不満が募ることになるだろう。 地方分権の動きが広がれば、英国は連邦国家の様相を強めることになる。そうなればより分権的、進歩的、説明責任のある国となるが、構造的に複雑で効率が悪くなるだろう。ポンドは住民投票の結果に対する安心感から対ドルで上昇したが、今後の政治の不安定化を投資家が見越すようになった場合、市場の安定は一時的となるだろう。 http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0HE0U020140919 |