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9月19日、日経平均は一段高となり、リーマン・ショック前の水準を回復した。外為取引会社のトレーディングルーム(2014年 ロイター/Toru Hanai )
リーマン前に戻った日本株の「死角」、乏しい国内景気の後押し
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0HE0PT20140919
2014年 09月 19日 16:53 JST
[東京 19日 ロイター] - 日経平均.N225は一段高となり、リーマン・ショック前の水準を回復した。円安による業績拡大への期待が高まる中、商いも増え新たなステージに入ったようにもみえる。
しかし、国内景気の回復に手応えが増したわけではなく、ファンダメンタルズ面でのプラス材料は乏しい。海外イベントも一巡し、9月末に向けて、調整への警戒感も強まっている。
<景気と株価の矛盾>
日経平均がついに「アベノミクス相場」の高値を更新した。19日の市場で、一時1万6364円08銭まで上昇し、昨年大納会(12月30日)に付けた昨年来高値1万6320円22銭を9カ月ぶりに抜き去り、リーマン・ショック前となる2007年11月以来の高値で引けた。
ドル/円JPY=が6年ぶりの109円台に上昇、輸出企業を中心に業績拡大期待が強まっていることが買い材料だ。スコットランドの独立に関する住民投票で独立反対が優勢になり、不透明感が消えたことも好感された。東証1部売買代金も2兆7497億円と膨らみ、市場エネルギーも高まってきた。
しかし、日本の先行きにバラ色のシナリオが開けたわけではない。むしろ、景況感は昨年末よりも悪化している。消費増税の悪影響はじわりと広がっており、政府は9月の月例経済報告で景気判断を5カ月ぶりに下方修正した。
円安は輸出企業にはプラス材料だが、内需企業にはマイナスだ。株価は上昇したとはいえ、水準は昨年末水準にようやく達した程度で、資産効果による消費刺激も今のところそれほど大きくない。
9月ロイター企業調査によると、製造・非製造業合わせて全体の75%程度の企業が、1ドル105円を超えない程度の円安相場が「望ましい」と感じていることが明らかになった。円安による輸入コスト増を製品価格に転嫁することに対し、57%の企業が難しいと感じているとの結果になっている。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏は「大企業・輸出型産業中心の日経平均株価に対して、円安は依然プラス材料だ。しかし、内需型産業へのマイナスの影響も目立ってきた。今はその綱引きの結果、株価は上昇しているが、今後、円安が一段と進めば、そのバランスも変わってくるかもしれない」との見方を示す。
<買い主体は海外短期筋>
買い主体も短期スタンスの海外勢が中心で、安定感に欠ける。「海外株高に合わせて、出遅れ感のあった日本株に買いを入れている」(外資系証券)という。9月期末が近づき、国内機関投資家は新たな買いには動きにくい。
この日の市場でも、新規のロングポジション構築よりもショートカバーが中心だったとみられている。「ショートカバーの踏み上げ相場だ。ここまでの上昇相場となると、さすがに買い方もヘッジ目的で持っていた先物のショートを閉じたようだ。それも一巡したとなれば、いったん調整局面となるかもしれない」(ケイ・アセット代表の平野憲一氏)という。
米連邦公開市場委員会(FOMC)とスコットランドの住民投票が終わり、海外イベントも一巡。ドル高/円安と米株高には勢いがついているが、前回のFOMCで株式市場がハト派材料、為替市場がタカ派材料をそれぞれ手掛かりとするなど、「都合のよさ」もみえる。
円安がストップもしくは円高方向に振れてしまえば、日本株の買い材料は乏しい。日銀の追加緩和や公的年金の運用見直しに関し、新たな材料が出たわけではない。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券・シニア投資ストラテジストの折見世記氏は、いいとこ取りの集大成ともいえる相場だと指摘。そのうえで「ECBのTLTROは応札が少なく供給量は予想を下回っている。10月に米国のQE3が終了し、グローバル流動性が拡大しないとの認識が広がれば、株式市場にはリスク要因になる。為替相場にも達成感が出て、10月はいったん株価調整がありそうだ」との見方を示している。
<危うさ秘める「地方創生」>
「アベノミクス相場」の高値を更新した日本株だが、「アベノミクス」の政策自体には停滞感も強まっている。日銀の「異次元緩和」で円安は進んだものの、輸出は依然伸びない。物価が上昇する一方で賃金は低迷し、実質賃金の低下が消費を圧迫している。「今年は全体株より個別株」(外資系投信)というバイサイドは多い。
第2次安倍改造内閣の目玉は「地方創生」だ。景気回復の遅れは地方で顕著であるほか、人口減少の問題解決のためにも、地方活性化は欠かせない。
シティグループ証券・エコノミストの飯塚尚己氏は、安倍政権が経済政策の力点を地方重視に移したことは適切としながらも、地方創生戦略は、資源配分の歪みを生じさせやすい政策パッケージであるとする。「予算のバラマキに終わるケースが多い。特に地域の比較優位構造をなどを無視した財政資金の投入は、競争力の低い産業・企業を生み出す」と警鐘を鳴らしている。
日銀の大量の国債購入で、財政規律に対する国債マーケットの警告機能が事実上、失われているなか、財政の「バラマキ」が起きやすくなっていることに警戒感を示す市場関係者は少なくない。
(伊賀大記 編集:田巻一彦)
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