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ロイター企業調査:ドル105円超の円安、75%の企業「行き過ぎ」指摘
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0HD2OK20140918
2014年 09月 19日 07:19 JST
[東京 19日 ロイター] - 9月ロイター企業調査によると、製造・非製造業合わせて全体の75%程度の企業が、1ドル105円を超えない程度の円安相場が「望ましい」と感じている。円安による輸入コスト等も含め製品価格への転嫁は難しいと感じている企業が57%を占めていることからみても、やや行き過ぎた円安相場となっている現状が浮き彫りとなった。
国内外の景気が思わしくなければ、コスト増の価格転嫁も進まず、物価上昇も遅れがちとなりかねない。
この調査はロイター短観と同時に同じ対象企業(資本金10億円以上の企業)に実施。調査期間は8月29日─12日。回答社数は400社ベースで280社程度。
<輸出産業でも1ドル100─105円程度が最多>
事業を行う上で望ましい円相場を5円刻みで聞いたところ、1ドル100─105円程度との回答が全体の47%を占め、最も多かった。製造業では41%、非製造業では52%の回答企業がこのレンジに集中している。次いでやや円高の95─100円程度が21%となった。これより円高水準を望ましいとの回答7%と合わせると、全体の75%の企業にとって、105円を超える円相場が行き過ぎであることがわかる。
円安による輸入コスト高が収益を圧迫しかねない企業が多いのは、内需型産業。「原料コスト上昇分と円安による為替変動分を製品価格に転嫁できないので、利益が出せない状況」(紙パルプ)、「原燃料価格の高騰に対し、製品需給が緩いため価格是正が進まない」(化学)といった声がある。また鉄道や運輸業界からは「燃料費高騰が収益を圧迫している」との声が多く寄せられている。非製造業では、望ましい円相場として105円までの各レンジに合計87%の回答が集まっている。
一方、自動車・電機・機械といった主要輸出産業では、円安方向が望ましいとする企業割合が平均よりは多いが、それでも105円よりも円安が望ましいとの回答が過半数を占めたのは電機のみだった。自動車、機械は105円を挟んで上下にきっ抗している。
海外シフトが進んだ現在でも、海外収益の国内還元には円安がプラスとなるはずだが、一方で海外投資や電気代、原燃料輸入も膨らむとみられ、必ずしも円安が望ましいと考えていない企業も半数を占めている。実際、企業からは「業態上、電力費の影響が大きい」(輸送用機器)、「素材や燃料などのコスト上昇分が会社として抑えることができる範囲を超えている」(金属・機械)といった状況がうかがえる。
<円安コスト等価格転嫁は難しく、物価上昇の広がりに不安>
円安などコストの価格転嫁が「まだ必要」と感じている企業は全体の46%と半数近くを占めた。しかし、現実に価格転嫁が「可能」とみている企業は11%にすぎず、「転嫁は難しい」との回答は57%を占めた。
消費者に近い業界からは「消費者の低価格志向が継続している」(食品)、「値上げすれば消費減退を招くだけ」(小売)、「値上げすれば解約を招くだけ」(放送業)などと、現在の消費動向からみて既存商品の値上げが通りにくいとする声が聞かれる。
対企業での価格交渉を強いられる製造業は、転嫁困難との回答が60%を超えている業種がほとんどで、より厳しい見方が多い。「需給バランスが崩れており、難しい」(鉄鋼)、「競合企業が海外にあり、国内事情だけで価格転嫁すれば競争できない」(電機)といった声が多い。
コスト上昇は輸入コスト、電気代、人件費などさまざまな要因が発生しており、価格転嫁が進まなければ企業収益の足を引っ張り、再びデフレマインドが頭をもたげることになりかねい。物価上昇期待もしぼみかねず、アベノミクスが目指す経済の好循環の実現には障害となる。
もっとも、価格転嫁については「どちらとも言えない」との回答も32%あり、既存商品の値上げは難しくても、「高価格商品投入による客単価アップを図る」(サービス)、「商品により異なる」(複数の業種)などの声が聞かれ、価格戦略は一様ではなく、工夫の余地があるとみている。
(中川泉 編集:山川薫)
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