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米FOMCと円安
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52651262.html
2014年09月18日 在野のアナリスト
米FOMC後、急速に円安がすすみます。功罪については様々な意見があり、様々な立場からの発言でもあって興味深いのですが、経済関係者の発言には注意が必要です。特に、円安になれば輸出増、と述べていた人物らはその見解を撤回しておらず、未だに円安容認論に傾き易いためです。
日経平均が上がった、という報道にも注意が必要です。昨日107.1円の終値が15889円、今日108.6円の終値が16068円、ドルベースなら148.36と147.96。実は、値下がりしているのです。年初の104.8円で16531円は、ドルベースなら157.74。海外からみると、まだ日経平均は年初の高値に届いていません。だから買い余力がある、と考えるのは誤りです。むしろ為替感応度が低下しており、外国人投資家も円安が日本経済にとってメリット、とは考えなくなっている。それ以上に、日本への評価が年初から徐々に低下している、そのことが今後、悪影響をもたらす可能性もあります。
FOMCの内容は、声明文はほとんど変えず、出口戦略についてより明確になり、しかも経済見通しからも市場予想からは前倒しされる見込みです。ただし出口戦略はよりハト派になり、債券償還分の再投資を利上げ前から、利上げ後に停止。MBSなどの資産は利上げ開始後、3〜5年で全廃、としていたものを縮小と言い直しています。つまり利上げ開始まで、景気に変動を与える要因はなくなり、それを好感する形で各市場がばらばらに動いている、というのが今日の流れです。
米10年債は若干売られたものの、短期債はほぼ横ばい、為替はドル高、米株市場も横ばいでした。株式市場、債券市場からみれば、本来は悪材料のはずですが、利上げ時期だけチェックすればよく、その前に債券再投資や資産売却とはならず、不透明要因は晴れました。為替市場は期待値で動いています。しかし本来、債券利回りが動いていないので、ドル高は単にイベントドリブンで動いているだけに見えます。実際、先々週はドル買いポジションを若干低下させており、軽くなったポジションをもう一度、今後のドル高にかけて買いを入れた、といったところなのでしょう。
しかし実は、米債券市場には若干の逆風が吹き始めています。最大の米債保有国、中国の減速です。不動産市場は値下がりが続き、景気減速は鮮明です。今、ドル高なので外貨準備として米債を買う必要はなく、むしろ予算確保にむけて米債を売りたい衝動があります。特に、今後金利が上昇するなら、尚のこと値下がりを避け、売ってくるという戦略が考えられるのです。
一見、堅調といわれる米国経済が足元を掬われるのは、世界経済の減速をうけた新興国の動向、ということになるかもしれません。そして本来、それは日本も同じです。今、円安が景気にどう影響するか? 観光客が増えたから、輸出企業の業績が増えるから、円安はいいことだ、という意見もあります。しかしそれは規模やそれが国内経済にどう還流するか、という経路次第の話です。円安で輸出企業が潤っても、賃上げに結びつきにくい点はこれまでも指摘していますが、それで株価が上がったとしても、潤うのは市場の7割を占める外国人投資家なら、やはり影響は軽微です。観光客の増加など、国内の中小企業や家計に与える影響を考えたら、やはり軽微なのです。
本当に円安が、日本経済に好影響があるというなら、それを納得のいく形で説明する必要があるのでしょう。残念ながら、それに納得いく説明をする人は未だに存じません。日経平均のドルベースのように、海外からは円安=害と看做されている。経済全体のパイをどう増やすか? といった全体像がなく、円安に頼ってきた安倍政権のツケが、ここにきて行き過ぎた円安に対応策を失わせている。もっとも海外要因でこれだけ振り回されている時点で、安倍ノミクスへの評価は自ずと知れてくる、ということでもあり、株高などと浮かれている状況ではないのでしょうね。
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