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日本株と経済実態にギャップ、都合よく解釈されたFOMC 2014年 09月 18日 14:17 JST http://jp.reuters.com/news/pictures/articleslideshow?articleId=JPKBN0HD0DZ20140918&channelName=topNews#a=1 1 of 1[Full Size] [東京 18日 ロイター] - 注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)はタカ派、ハト派両方の材料が混在したことから、各市場で都合よく解釈されている。ドル高/円安と米株高が同時進行しており、日本株にはこの上ない環境だ。しかし、日本の輸出は依然伸びず、企業の景況感も鈍化している。全体的な景気と株価には徐々にギャップが開き始めている。 <「玉虫色」の内容 > 16─17日に開かれたFOMCでのポイントは2つ。資産買い入れ終了後も「相当な期間」事実上のゼロ金利を維持する方針があらためて表明された一方、経済、金利見通しでは、前回6月に比べ、より速いペースでの利上げが見込まれていることがわかったことだ。それぞれハト派、タカ派の材料であり、内容的には「玉虫色」ともいえる。 しかし各金融市場では「都合よく」解釈。米株はハト派材料を重視。ダウ.DJIは24ドル高と小幅ながら終値で最高値を更新した。一方、為替市場ではタカ派材料を手掛かりにドル/円は6年ぶりの108円台を付けた。米株がタカ派材料、為替がハト派材料をとれば、逆の反応になったかもしれないが、「強気な市場ムードがそれぞれプラス材料を選択させた」(大手証券トレーダー)という。 日本株にとっては、円安・米株高が同時に進行する絶好の環境であり、日経平均.N225は遅ればせながら1万6000円大台を8か月ぶりに突破。業績予想を大幅下方修正したソニー(6758.T: 株価, ニュース, レポート)の悪影響は他の輸出株に広がらず、トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)も年初に付けた高値をついに突破してきている。 市場では「円安のピッチが速い割には、日経平均の上げの勢いが限られている印象があるが、TOPIXは先週に年初来高値を更新している。ドル高・円安の流れを市場は嫌がることはなく、為替の傾斜とパラレルではなくても、日本株の緩やかながらの上昇は今後も続くだろう」(岡三証券シニアストラテジストの大場敬史氏)と強気な声が出ている。 <さえない国内経済指標> だが、国内に目を向けると楽観できる状況ではない。 9月ロイター短観(400社ベース)は、製造業が前月から10ポイントの大幅悪化となった。2012年10月に中国反日デモの影響で12ポイント悪化して以来の急低下だ。非製造業は3ポイント小幅改善したが、水準は消費税率引き上げ後に落ち込んだ5月とほぼ同水準だ。消費増税や円安による原材料費上昇の悪影響がじわりと広がっている。 円安が進んでいるとはいえ、8月の輸出は前年比マイナス1.3%と相変わらず伸びていない。輸出数量は伸びなくても、円建て輸出の為替差益が拡大するため、「現状の為替水準が続けば、今期の企業業績は2ケタ経常増益も視野に入る」(大和住銀投信投資顧問・経済調査部長の門司総一郎氏)との見方もある。しかし、中小企業や内需企業にとって円安は輸入コスト増を通じて利益を圧迫する減益要因だ。 大企業中心で製造業の影響が大きい日経平均などは、円安をしばらく好材料と受け止めそうだという。「1ドル110─115円程度までならプラス材料だろう」(三菱UFJ投信・戦略運用部副部長の宮崎高志氏)。ただ、円安が進めば輸入コストも増加。物価が上昇すれば実質賃金も圧迫される。株価にとって円安はプラスでも、日本経済にとってはマイナスになるおそれもある。 <株価は大企業中心の「バロメーター」に> 日本の貿易収支は赤字だが、経常収支はかろうじて黒字だ。海外子会社などからの配当で所得収支が依然黒字であることが大きい。円安は貿易収支の赤字幅を拡大させる一方で、所得収支の黒字幅を拡大させる。海外子会社を持っているような大企業にとっては円安は好都合だが、国内事業だけの中小企業は原材料コストの上昇をもろにかぶることになる。 円安によって大企業の業績が改善し、賃金などが増加すれば、国内消費にもポジティブだ。しかし、大企業においても連結ベースで最終利益が上がったとしても、賃金アップには結び付かない可能性がある。「利益増加の理由が海外現地企業が好調であるというだけなら、国内社員の賃金を上げる理由には結び付けにくい」(国内投信)という。 増加する大企業の利益は自社株買いや配当など株主還元に使われれば、株価を押し上げる要因になる。しかし「恩恵は株券を持っている一部の個人投資家や企業が受けるだけだ。日本全体にメリットは及ばない」とT&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は懸念する。 FOMCを都合よく解釈した円安と米株高で上値追いの様相を示している日本株だが、「景気のバロメーター」としての機能は失われ始めている。株価の水準はようやく前年末に達した程度であり、昨年のような資産効果は働いていない。実体経済と株価のギャップが開くなかで、株価だけが独立して上昇し続けることができるかには疑問も大きい。 (伊賀大記 編集:内田慎一) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0HD0DZ20140918?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29&sp=true |