http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/423.html
Tweet |
伝説のトレーダー藤巻氏「アベノミクスはハイパーインフレのリスクだけ」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140915-00000001-sasahi-bus_all
週刊朝日 2014年9月19日号
アベノミクスが始まって早1年半。元モルガン銀行東京支店長で「伝説のトレーダー」と呼ばれた藤巻健史氏は、「ハイパーインフレのリスクをもたらしている」と指摘する。
* * *
外資系銀行に勤務していたとき、金融機関の為替関係者を会員とする日本フォレックス・クラブ主催の会員用セミナーに、パネラーとして参加したことがある。開始直後、突然、司会の女性キャスターに「ユーロについてどう思われますか」と聞かれてあせった。事前打ち合わせでは「特に意見なし」ということで、この質問は来ないはずだったからだ。
新聞に載っていた投稿川柳「知りません、覚えていません、わかりません」を思い出し、そう答えようかと考えた。いや、もっといい回答例があるぞ。その昔、学生の採用面接で、「自分の性格を分析せよ」と質問したら、モジモジした揚げ句、「すみません、ド忘れしました」と答えた学生がいた。どこの世界に自分の性格をド忘れするやつがいるのか? 丸暗記していた模範回答を忘れたのだろう。私は緊張した学生を前に一人でウケ、「いつの日かこの回答を使ってやろう」と心に誓った。そのチャンスが巡ってきたのだ。
しかし、機転が利かずに結局、「自分が勝負をしていないときは考えないようにしています」と、いつものパターンで回答してしまった。カッコワルーイ。
★ ★
今年8月に再度、日本フォレックス・クラブから単独講師として呼んでいただいた。半年に1度のセミナーなのだが、3度目の登壇である。プロを相手にする講義だから大変な名誉だ。日本経済にとって為替がいかに重要かお話しした。
英国の経済紙フィナンシャル・タイムズのアベノミクスに関する論評が8月29日付の日本経済新聞に載っていた。
「安倍晋三首相の『3本の矢』は明らかに的を外している。理由はそもそも矢が3本ないことで、あるのはたった1本、通貨の下落のみだ」とあった。アベノミクスと違って、この記事はまさに的を射ている。
第3の矢の「成長戦略」は、1986年の「前川レポート」以降、歴代政権は何百本、何千本の矢を放ってきたが大当たりした矢は一本もない。なぜ今回だけ大当たりするといえるのか?
成長戦略とは、民間が作り出すもので、政府などが関与しないほうがいい。インドでIT産業が大発展したのは政府が能力不足で関与できなかったからだ。
第2の矢である「機動的財政出動」は、滅茶苦茶に財政出動した結果、1039兆円もの世界に冠たる借金を作ってしまった。それにもかかわらず国の実力とも言うべき名目GDP(国内総生産)は、この20年間、まったく伸びていない。
今、何とか景気がよいのは、まさにフィナンシャル・タイムズの指摘のように「円安のおかげ」である。しかし、この円安はアベノミクスの成果ではない。
第1の矢である「異次元の量的緩和」が始まったのは昨年の4月。このときの為替は1ドル=約97円だ。その後、無茶苦茶な量的緩和をしても、数円しか円安は進んでいない。昨年の好景気に貢献した1ドル=79円から97円への円安は、異次元の量的緩和が始まる半年ちかく前の衆議院選挙で、安倍晋三自民党総裁が「円高は大問題だ」と何度も繰り返したからである。単なる口先介入だ。異次元の量的緩和も的を外しているどころか、ハイパーインフレのリスクをもたらしている。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。