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代々木ゼミナール「代ゼミ」の誤算 カリスマ経営者が死んだ後に ビジネスマン必読(週刊現代)
http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/403.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 9 月 13 日 09:20:05: igsppGRN/E9PQ
 

代々木ゼミナール「代ゼミ」の誤算 カリスマ経営者が死んだ後に ビジネスマン必読
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40419
2014年09月13日(土) 週刊現代


公開模試や夏期講習など、少なからずお世話になった人も少なくないだろう。しかし、「予備校の代名詞」だったあの頃の面影はもうない。「われらの代ゼミ」はどこへ向かおうとしているのか。

■神道学部の「武勇伝」男

「もともと代々木ゼミナールは、創業者でカリスマ経営者である高宮行男さんのワンマン経営によって躍進してきました。高宮さんは国学院大学神道学部を卒業し、東京・永田町の日枝神社などに奉職した後、戦後は材木商などを手掛けた異色の経歴の持ち主です。'57年に代ゼミを始めてからは、予備校後発組ながら、時に過激すぎると批判されるほどの大胆な戦略で一気にのし上がってきた。

地方進出時には絶対に地元の一等地に校舎を作るという方針を立て、相場の倍の価格を出してでも土地を購入したり、浪人生に潤いを与えたいと考えて、受付にミスコン出身のきれいどころを並べたりと、『武勇伝』には事欠きません。

そんな高宮さんが'09年に亡くなられた。そこから代ゼミの経営に変化が起きたように思います」(元代ゼミ講師)

大手予備校の代々木ゼミナールが窮地に陥っている。

代ゼミはこのほど、全国27の校舎のうち、仙台、池袋、横浜など20校舎を閉鎖、一部の全国模試も廃止するなど事業を縮小して、同時に40歳以上の職員の早期退職を募集すると発表した。

代ゼミ側はその理由として、「少子化にともなう受験人口の減少」や「現役志向の高まりによる浪人人口の減少」などの外部要因を挙げたが、詰まるところは経営陣が先を読めていなかったため、事業縮小に追い込まれた形といえる。

現在、代ゼミを運営する学校法人・高宮学園の理事長を務めるのは創業者の息子である高宮英郎氏。日商岩井(現・双日)勤務を経て、代ゼミ入りした「二代目」である。

「代ゼミは発表に先立って、高宮英郎氏名義で、校舎を集約する旨を伝える文書を講師たちに配っていますが、その文面がまさに代ゼミの現状を象徴しています。『先生のご理解とご協力を切にお願い申し上げます』と書きながら、一方で、生徒や保護者に説明するまで、『ご他言なきよう』と釘を刺しているのです。

経営陣が現場の講師を信頼しておらず、経営と現場の距離が離れている証拠です。ライバルの河合塾は講師や職員が経営陣と一緒にカリキュラムを考えたり、現場が経営方針を提案するなど、彼我の差は歴然。二代目はトップダウンの悪しき部分だけを継承してしまった印象です」(予備校業界に詳しいコンサルタント)

前出の元代ゼミ講師もこう指摘する。

「先代の高宮行男さんの時代に、経営と現場をつないでいたのは、行男さんの実弟で副理事長を務めていた竹村保昭さんでした。竹村さんは人間味のある人で、先代の突拍子もない指令に現場が苦労していると、わざわざ電話をかけてきてねぎらってくれることがありました。そんな家族的経営が行われていたので、講師陣、職員の結束も固く、先輩講師が若手にノウハウを教えてあげるなどしていた。

現在トップの英郎さんを支えているのは、先代の孫で、現在副理事長の高宮敏郎さんですが、二人ともビジネスライクな人で、先代時代のような役割分担はできていない。さらに経営が苦しくなると講師同士の競争も激しくなって、先輩が後輩を教えるという文化も失われていった。別の言い方をすれば、経営陣が講師陣をうまくマネジメントできなくなっているのです」

『講師の代ゼミ』と呼ばれるほどに優秀な講師陣を揃えていることが代ゼミの売りだったが、そこが劣化したことが、経営悪化の一因になったのは間違いない。

■「二代目」の苦悩

カリスマ亡き後に、経営が一気に瓦解する―。これまで数々の企業が経験してきた危機に、代ゼミはいま直面しているといえる。

特にカリスマが長く君臨すればするほど、後を継いだ者が背負う「十字架」は重くなる。

「二代目の高宮英郎さんは、決して手をこまねいていたわけではありません。理事長に就任してから難関中学校受験で圧倒的な実績を持っていた『SAPIX小学部』を買収するなど、先を見据えた経営に舵を切っていました。ただ、ターミナル駅の一等地に巨大校舎を構えて、大部屋に何百人も収容して授業を行うという代ゼミスタイルが時代遅れになる中で、転換が遅れてしまったのもまた事実。それは先代が築き上げた成功モデルを大きく変えるのをためらったからかもしれない。結果、自宅の近くにあって、手取り足取り講師が教えてくれる小規模型・個別指導型の塾に客を奪われていった」(大手予備校講師)

創業者の高宮行男氏は'04年に体調を崩してから、手術を繰り返す生活を送っていたが、術後は常に現場に復帰するなど、92歳で亡くなるまで「現役」に徹した。結果としてそれで継承が遅れ、代ゼミの経営が後手に回っていく一因となった。

そんな代ゼミを横目に見ながら躍進したのが、「今でしょ!」で有名になった林修氏を講師として抱える東進ハイスクールで知られるナガセだった。

「ナガセが台頭してきたのは少子化によって受験生が減り始めてから。まさに肥大化した代ゼミが対応できない、小回りの利く経営で代ゼミを追い込んでいったといえます。

ナガセはファミリー層の多い住宅街の駅近に小規模の校舎をフランチャイズで増やしていき、いまでは京王線や多摩地区の沿線には一駅ごとに教室があるといわれるほどに拡大。生徒は個別のブースで映像化された講義を視聴するスタイルですが、担任が生徒の進路指導を行うなどこまめなケアも充実している。これが、浪人してまでもいい学校に行く必要はないと考える『デフレ時代の生徒』に受けた。自ずと大規模教室で商売する代ゼミは客を奪われていった」(森上教育研究所の後藤健夫氏)

三大予備校と呼ばれるのは代ゼミの他に駿台、河合塾だが、代ゼミはこうしたライバルにも後れを取るようになっていく。かつて代ゼミ、河合塾で講師を務めた経験もある森川展男・近畿大学教授が言う。

「私が'90年代前半に河合塾の理事と飲んだとき、彼らは『ドーナツ化現象が進む中、ターミナルの巨大な教室よりも沿線の各駅に衛星校≠きめ細やかに配置するのが重要だ』と言っていました。彼らは人口動態を知りつくし、その影響がどう出てくるかを完全に読み切っていたのです。しかも、河合塾は早くから個別授業や少数精鋭の講師陣を組み上げて、教室もパーテーションで仕切るなどして対応に動くのも早かった。

代ゼミの経営陣も少子化時代が来ることはわかっていたが、対応が大きく出遅れた。カリスマ理事長の高宮行男さんが亡くなられた後に、経営力に陰りが見えてきたのが原因でしょう」

■不動産業者になる日

こうした流れと並行するように、「'90年代初頭に30万人いた浪人生は、今では12万~13万人に激減。さらに、学生はリーマン・ショック後、学費が安い国立大学や就職に強い理系学部を狙う傾向を強めていった。多くの学生が、国立・理系に強い駿台や河合塾を選ぶようになり、私大・文系に強い代ゼミのニーズが急速に失われた」(亀井信明・高等教育総合研究所代表)。

代ゼミの成長の源泉であった「一等地に校舎があるブランド力」だけでは生き残れない時代へと急速に流れは変わっていった。そうした変化を読み切れず、対応も遅れるという誤算が積み重なった時、代ゼミの経営はいよいよ窮地に追いやられていたというわけだ。

「事業縮小が発表されてから代ゼミの本部が入る代ゼミタワー(東京都渋谷区)に行ってみたら、パンフレットが置いてあって、そこに『池袋校リニューアルOPEN』と書かれていた。今回の事業縮小で池袋校は閉鎖が決まっているわけで、大々的に宣伝している場合じゃないだろうと……。代ゼミ内部が今回の事態にいかに対応しきれていないか。代ゼミの経営の実情を見た気がしました。

このタワーは、地上26階建てで、18階から25階は学生寮になっています。まさに代ゼミの『総本山』といったビルなのですが、今後、どれだけ集客ができるのかと想像すると、どこか不気味な気持ちにすらなりました」(予備校関係者)

年間に何十万人という現役生や浪人生が通い、夏期・冬期講習だけに参加する生徒なども含めれば、年に100万人以上が代ゼミの門を叩く。「われらの代ゼミ」はこれからどうなってしまうのか。

「実は代ゼミの経営が危ないという話が浮上してきてから、代ゼミは駅前の一等地に優良な土地を抱えているので、いずれ不動産業に転身するのではないかという声が業界内では出ていました」

そう語るのは、大手ゼネコン幹部である。実際、代ゼミは校舎跡地などを活用した不動産経営にすでに乗り出している。

たとえば、京都市下京区の烏丸通の一等地にある代ゼミ京都校の別館は4年前ホテルに改装されたばかり。一人一泊2万円以上の宿泊プランが並ぶ高級ホテルに生まれ変わっている。

3年前には東京・代々木駅近くの校舎跡地に「代々木ヴィレッジ」というカフェやバーを中心とした商業モールが開業。音楽プロデューサーの小林武史氏などが事業に関わり、足を踏み入れると、女性客でにぎわっている。

代々木ヴィレッジが開業したのと同じ年には、札幌市内の代ゼミの寮を北海道大学に1棟まるごと賃貸する事業も始めているのだ。

「京都のホテルにしても、代々木ヴィレッジにしても、代ゼミ側が事業主と賃貸契約を結んでおり、代ゼミ側には定期的に収入が入るモデルです。地方では、1年ほど前に代ゼミ小倉校の売却が打診されたようだと話題になったこともあるほどに、代ゼミ物件は不動産業者やゼネコンが目を光らせている注目案件なのです。学校法人ですから簡単に土地は売却できないはずですが、今回、閉鎖となる地方の校舎の不動産をどう利用するかが、今後注目を集めるでしょう」(前出の大手ゼネコン幹部)

■迫る「2021年」問題

ある大手デベロッパー幹部によれば、「過当競争で斜陽産業化した予備校ビジネスから撤退して、これからまた盛り上がりを見せる不動産事業に転換するとは、代ゼミの経営者は英断を下したという声も出ているほど」というが、これまで代ゼミを支えてきたのに早期退職を迫られる講師陣にとっては聞きたくないような話だろう。

「いずれ代々木ゼミナールという看板を下ろす日が来るのではないか」と言うのは、大学通信の安田賢治・常務取締役だ。

「代ゼミが買収したSAPIXが今後の経営のキーになるでしょう。代ゼミは難関大学の現役突破を目指す塾に『Y-SAPIX』という看板を掲げており、すでに経営の本丸はこちらに移っている。つまり、今後は浪人生ではなく現役生を中心とした経営に舵を切っていくのです。東大に合格できる生徒を中学から囲い込んで育てていき、東大や難関医学部などの合格実績を作ることで、ブランド価値を高めていく方向性です。となれば、浪人生を指導する従来の『代々木ゼミナール』という看板を下ろす日が来てもおかしくはない。本来はもう少し早くシフトすべきだったのでしょうが、ついに代ゼミがドラスティックな改革に乗り出したともいえます」

とはいえ、現役指導では前述したナガセがすでにブランド力を確立しており、いくら代ゼミが新機軸に経営資源を投入したとしても、そう簡単に集客を増やせるとは限らない。

「さらに、2021年度には大学入試改革が始まります。中教審が先日出した素案は、知識の偏重、つまり詰め込み型の受験勉強を否定しています。偏差値もなくなるでしょうし、今後は入学が容易で卒業が難しい欧米型の大学化が進む可能性もある。となれば、従来の塾は存在そのものが必要なくなってしまうのです。

明治維新のような大改革が受験産業を襲うわけで、受験産業ではこれから想像もしないようなガラガラポンが起こるでしょう。いますぐにでも、この対応に取り掛からないと将来の『生存』は約束されません」(代ゼミや東進ハイスクールで講師を務めた経験がある、水王舎代表の出口汪氏)

代ゼミは様々な誤算を抱えながらも、いまようやく重い腰を上げて改革に乗り出した。しかし、本当に厳しい時代が来るのはこれからなのである。


「週刊現代」2014年9月13日号より


 

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