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8月21日付け「同題記事」の続編ですが、いよいよ住民投票(9月18日)まであと1週間となりました。
本日(9月10日)は英国のキャメロン首相(保守党)が、連立与党の自由民主党党首のクレッグ副首相、野党労働党のミリバンド党首とともに急遽スコットランド入りし、「この家族が引き裂かれることを望まない」と独立を支持しないように訴えました。
スコットランドではサッチャー政権下の規制緩和で重厚長大産業の倒産が相次ぎ、その影響で労働党が圧倒的に強く、労働党政権時のブレア元首相もブラウン前首相もスコットランド人でした。キャメロン首相もミリバンド労働党党首に「一大事なので協力してくれ」と頼んだのでしょう。
それほど僅差で、本当に開けてみないとわからない状況のようです。
そもそもなぜ住民投票だけで独立できるのか?ですが、1998年のスコットランド法による権限移譲でスコットランド議会が創設され、内政を中心に幅広く立法権が認められました。
1998年当時の英国首相はスコットランド人のトニー・ブレア(労働党)で、当然にスコットランド議会も労働党が多数を占め、当初は何の軋轢もありませんでした。
ところが2007年のスコットランド議会選挙では地域政党・民族政党であるスコットランド国民党が議会第1党となり、さらに2011年の選挙では過半数まであとわずかの大躍進となり、党首のアレックス・サモンドが自治政府首相に選出されました。
そして2012年に、スコットランド国民党は公約に従って2014年までにスコットランド独立の是非を問う住民投票の実施を明言していました。
例えば日本の沖縄県議会が「日本から独立する住民投票を実施します」といっても何の効力もありませんが、スコットランド議会には歴史的な背景もあってかなりの権限が委譲されていたため、このような住民投票ができることになりました。
その住民投票が9月18日に迫っていますが、英国政府や英国人だけでなくEU諸国も世界各国も、スコットランドが本当に独立してしまう可能性があるなど夢にも思っていなかったはずです。
したがって英国だけではなく世界中では金融市場も含めて、何の「心の準備」も「実務的な準備」もできていないことになります。
とりあえずはスコットランドが独立したとき、通貨がどうなるのかを考えてみましょう。現在のスコットランドでは英国ポンドと並んでスコットランド・ポンドが等価で流通しています。スコットランド・ポンドはロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)などの4行が発行していますが、同額の英国ポンドを準備資産にしているはずです。
英国のオズボーン財務相は、スコットランドが独立すると英国ポンドを使用させないといっていますが、これはある意味当然のことです。なぜなら「外国」のスコットランドが英国ポンドの購買力を「タダ」で使うことになるからです。
厳密に考えるとスコットランドは、英国に財やサービスを提供した見返りで得た英国ポンドを使用しなければなりません。もっと現実的にはスコットランドが英国に何かしらの資産(北海油田とか)を提供して得た英国ポンドを使用することになります。
それでは「そんなに高くつく」英国ポンドなどは使用せず、スコットランド中央銀行を設立して(英国ポンドを準備資産にすることなく)スコットランド・ポンドを印刷して使えばよいのでは?となります。
そうすると「新興国」スコットランドの通貨は「紙切れ」に近く、その価値は大変に不安定なものとなり、スコットランドの経済発展もおぼつかなくなります。
当のアレックス・サモンド自治政府首相は、スコットランド・ポンドを英国ポンドにリンクさせようと考えているようです。中国経済が人民元をドルに実質的にリンクさせることによって、つまり米ドルの信用にタダ乗りして未曾有の発展を遂げた手法を真似て、英国ポンドの信用(まだあります)にタダ乗りしようと考えているようです。
サモンド自治政府首相はエコノミスト出身ですが、なかなかの「知恵者」なのかもしれません。
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