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アベノミクスと円安
http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/369.html
投稿者 taked4700 日時 2014 年 9 月 11 日 01:01:22: 9XFNe/BiX575U
 

http://blogs.yahoo.co.jp/taked4700/11910416.html
アベノミクスと円安

 アベノミクスが頓珍漢な政策で、リフレ政策は大間違いだという評論家がかなり多い。しかし、日本の大企業の多くはアベノミクスのおかげでなんとか息を吹き返しつつある。あまりの円高で海外との競争に耐えられなくなっていたからだ。自動車メーカーや電機メーカーが国内拠点を完全に海外へ移してしまえば、国内に残された産業は相当に困るだろう。その意味で、アベノミクスは最後の最後で何とか間に合ったという経済政策をとったものだった。

 また、株価と不動産の値上がりは銀行や機関投資家の財務を向上させている。個人の投資家でも儲けた人が多いだろう。アベノミクスは、そういった富を実際に一般社員の給与値上げに使えと様々な方法で促しているわけで、やり方としては首尾一貫しているし、一般市民の方向をちゃんと見た経済政策だ。

 もちろん、今の経済状況に対して、どうやったらいいかという方策はいろいろ考えられるのだろう。自分は別の方法を提案するということはあっていいし、そういった意見を表明する自由は保障されるべきだ。しかし、アベノミクスが成果を上げてきている面は確実にあり、そのことを全く無視してしまうのはおかしい。

 今望まれる議論は、このままアベノミクスが進むと円安が行きすぎる可能性があることに対するものだ。過度な円安に対してはどうしても必要な輸入を除いてなるべく輸入を抑えるしかない。そのためには何を置いてもエネルギー自立だ。そして、エネルギー自立の最も確実な道は地熱開発だと思う。ところが地熱開発を正面から取り上げようとするオピニオンリーダーがほとんど出てこない。原発事故についてもそうだが、もっとも重要なことを避けて議論をしようとする。こういった状態でリーダーをけなすだけなら単に自ら首を絞めているようなものだ。百害あって一利なしであり、そういった評論家にはさっさと退場していただきたい。今やるべきは、どうやったらエネルギー自立が達成できるかだ。当然、原発再稼動もその手段の一つだが、原発事故の可能性は常にあるし、せっかく運転停止をしてきて放射能レベルがかなり低減したのに、再稼働することで放射能レベルがまた上昇してしまう。また核廃棄物も増加する。原発を稼働させずに、どうやってエネルギー自立をするか、このことについて正面から取り組むときだ。

2014年09月11日00時50分 武田信弘 ジオログ(http://geocities.yahoo.co.jp/gl/taked4700)はヤフーブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/taked4700)へ移行しました。CN:2930 SN:3351  

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コメント
 
01. 2014年9月11日 06:55:16 : jXbiWWJBCA
田中秀征 政権ウォッチ
【第248回】 2014年9月11日 田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
アベノミクスの神通力に陰り
消費税増税に赤信号が点滅!
4〜6月のGDPは7.1%減!
7〜9月も予想以上に悪化か

 政府は9月8日、本年4〜6月のGDP(国内総生産)の改定値を発表した。

 それによると、8月発表の年率換算前期比6.8%減の速報値をさらに下回り、7.1%減となった。

 消費税率を8%から10%に上げる最終決定は年末12月初旬に予定されている。来年10月に10%に上げるなら、来年度予算編成前に決めなければ歳入の見積もりなどに支障が出るからだ。

 だが、ここに来て示されるさまざまな経済指標は、実体経済が想像以上に弱含みであることを示し、年末の増税決定に不安感を増幅させている。

 本年の1〜3月期の駆け込み需要や、4〜6月期の反動減は想定内のこと。ただ、4〜6月期の落ち込みは大きく、当初の予想を越えるものであった。

 問題は、年末の最終決定に際して最重要の判断材料となる7〜9月期の経済の実績が、官民の予想よりかなり悪くなりそうなことだ。

 政府は「4〜6月が悪くても7〜9月は良くなる」と楽観していたようだが、7月、8月の景況を示す個別の経済指標が示され始めると、とても楽観できるようなものではない。

 8月末に発表された7月の家計調査では、前年同月と比べて実質で5.9%も減少し、何とその下げ幅は6月の3.0%減の倍の大きさとなった。それに7月の完全失業率は6月より0.1ポイント上昇し、好調だった雇用状態にも陰りが生じている。

 さらに、消費者物価指数は昨年7月比で3.3%も上昇、賃金の伸びがそれに追いつかないため実質賃金が低下し続けている。

 4〜6月のGDPが下方修正された要因は個人消費の伸び悩みとともに設備投資の不振も大きな原因だ。設備投資は、速報値の2.5%減から5.1%減にまで下方修正されたのである。

 GDPは、民需の柱である個人消費と民間設備投資でその7、8割を占められる。この2つの柱が不調であれば、GDPの数字が持ち直さないのは当然だ。

 モノの売れ行きが良くなれば生産が増加し、雇用も賃金も増加し設備投資が活発になる。この初歩的な経済法則にアベノミクスは応えていないのだろう。

 百貨店が好調で、コンビニが不調。これもふしぎな現象だが、株高頼みの政策がなせるわざなのかもしれない。

消費増税は見送りの方向か?
谷垣幹事長就任で「経済の内閣、財政の党」に

 7〜9月と言ってももう9月。この短期間に劇的に改善する特効薬はない。後追いで巨額の経済対策を講じても間に合わなくなっている。

 増税推進派は「法律に書いてあるから」というが、そんなことは理由にならない。このまま経済が推移すれば、年末の決定を先送りするのは当然だろう。

 おそらく、安倍晋三首相は増税先送りに傾きつつあるだろう。彼は、財務省に取り込まれていない数少ない首相だから、経済が不調なら増税を見送ることができよう。

 首相は内閣改造後の会見で、あらためて「経済最優先」を強調した。私はこれを「増税見送りもあり得る」とのメッセージと受け取った。

 党や内閣の幹部の中で最も「何が何でも増税断行」と考えているのは、谷垣禎一自民党幹事長かもしれない。それに歩調を合わせるのは党内の財務省OBなどの有力者だろう。

 こう考えると、今後は「経済の内閣と財政の党」という奇妙な逆転対立構造になることもあり得るだろう。

 世論調査では、谷垣幹事長に対する期待は大きい。それは消費税増税に対してではなく、特定秘密保護法、原発再稼働、安保政策などに対して、彼に軌道修正を主導してほしいということにある。それをしっかり受け止めてほしい。

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消費増税見送りはアベノミクスの敗北宣言

熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミストに聞く

2014年9月11日(木)  渡辺 康仁

安倍政権が10%への消費増税を判断する時期が近づいている。4〜6月期が大幅なマイナス成長となり、増税への慎重論も出始めている。熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミストは「増税を見送れば諸外国からはアベノミクスの敗北宣言と取られかねない」と警鐘を鳴らす。(聞き手は渡辺康仁)
4〜6月期の実質GDP(国内総生産)改定値は前期比年率で7.1%のマイナス成長に下方修正されました。景気の現状をどう見ていますか。


熊谷 亮丸(くまがい・みつまる)氏
大和総研執行役員チーフエコノミスト。1966年東京都生まれ。1989年東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。同行調査部を経て、2000年興銀証券(現みずほ証券)シニアエコノミスト。2005年メリルリンチ日本証券チーフ債券ストラテジスト。2007年大和総研に入社し、2010年からチーフエコノミスト。(撮影:清水盟貴)
熊谷:個人消費は想定していたより若干弱めの印象です。特に自動車などの耐久消費財が思ったほど売れていません。天候が不順だったという要因もありますが、それを除いても弱いですね。

 しかし、個人消費以外の項目を見ると、人手不足で滞っていた公共事業は受注ベースではかなりの勢いで伸びています。設備投資も基調として見れば緩やかに回復の方向に向かっています。海外経済も、米国は非常にしっかりしていて、中国も政策対応によって底割れの懸念は和らいでいます。欧州は心配ですが、世界経済は米国が牽引していくことになるでしょう。

 4〜6月期は前期比年率でマイナス7.1%成長になりましたが、7〜9月期は一転してプラス4.8%成長になると予想しています。

個人消費についてもう少しうかがいます。4月の消費増税で実質所得が減少していますが、このインパクトはかなり大きいと見た方がいいでしょうか。

熊谷:増税前の駆け込み需要が2013年度の実質GDPを3兆円程度押し上げました。この反動で2014年度の実質成長率は1.33ポイント押し下げられます。しかし、2015年度は10%への増税の前にまた駆け込み需要が見込まれますから、これによって実質成長率は0.51ポイント押し上げられるでしょう。

 消費増税の影響で実質所得が落ちているのは確かです。ただし、前年比で見た増税の影響は1年で一巡します。2014年度の実質雇用者報酬はマイナス1.5%程度になる一方で、2015年度はプラス0.4%に浮上する見通しです。好循環は少しずつ起き始めていると見ています。

 今年の春闘での賃上げ率が2%台に達し、ベアも0.4%上がっています。定期給与の増加が個人消費に与える影響は特別給与を大きく上回ります。特に耐久財の購買意欲を高める効果がありますから、自動車などの購入が増える可能性があります。

 過去のトレンドを見ると、実質所得が上昇しやすい時期には2つの特徴があります。これは名目所得の伸びの方が消費者物価の上昇率より高いことを意味します。

 1つは為替が円安の時の方が実質所得は伸びやすい。もう1つはコモディティ価格が落ち着いている時です。今は為替の条件は満たしていて、コモディティも比較的落ち着いています。中東などで原油価格に大きな影響を与える事態が起きることには警戒する必要があります。しかし、消費者マインドがしっかりしていることもあり、好循環の萌芽は出始めています。

成長戦略のメニューは70〜80点

好循環の萌芽が出始めているわりには景気の雰囲気は良くないように見えます。

熊谷:1つの要因は欧州経済の下振れ懸念が出ていることでしょう。ウクライナ問題などの地政学リスクが意識されています。

 もう1つは、アベノミクスに若干の停滞感があることではないでしょうか。成長戦略のメニューは70〜80点が付けられるほど、予告編としては良い内容でした。ただ、本当に実行するかどうかは不透明な部分もあります。

 農協改革や混合診療の拡大を打ち出しただけでなく、初めて政権としてコーポレートガバナンスを正面から取り上げました。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の改革や人口減少問題、女性の活躍も前面に打ち出しています。全体のメニューはかなり高い評価を得ていると言えるでしょう。

 しかし、「悪魔は細部に宿る」という言葉があるように、細かい部分ではいくらでも骨抜きにできる。混合診療などは運用次第で実質的に改革が進まないということもあり得ます。

 成長戦略のメニューにも足らざるところがあります。1つは雇用です。ホワイトカラー・エグゼンプションは本質的な問題ではなく、大事なのは企業が攻めのリストラができる仕組みを作ることです。今は判例による4要件で受け身のリストラしかできません。解雇の金銭的解決も含めて、景気が良い時に伸びている分野に労働資源を円滑に移していく仕組みが欠かせません。

 法人税も20%台に下げるという目標は示されていますが、中国や韓国などの税率を見ると、25%に向けて下げていく必要があるでしょう。その時に大事なのは課税ベースを広げることです。諸外国の投資家も単純に法人税率を下げるだけでなく、課税ベースの拡大によって日本経済の新陳代謝が進むことに注目しています。

3日の内閣改造と自民党役員人事でアベノミクスの推進力は高まるのでしょうか。

熊谷:主要閣僚は留任したので、基本的に継続性があるでしょう。その中でも、塩崎恭久氏が厚生労働相に就いたことで、GPIF改革はかなり進む可能性が出てきました。資産運用の改革と組織のガバナンス改革を一体的に進めることが非常に重要です。彼らに独立性を与えれば、自然と国債のウエイトは落としてその他の資産に振り向けるようになるでしょう。

 自民党幹事長に回った谷垣禎一氏は消費増税を巡る民主、公明両党との3党合意の当事者ですから、10%への増税は従来より蓋然性が高くなったと言えます。

増税を見送れば金融政策と成長戦略は台無しに

消費税を10%に引き上げるかどうかが12月にかけての重要な政策テーマです。どう考えますか。


(撮影:清水盟貴)
熊谷:一般論として言えば、消費増税はやらざるを得ないし、やるべきだという考え方です。例えば中国のバブルが弾ける蓋然性が高くなったり、リーマンショックに匹敵する金融危機が起こったりするなどの状況にならない限り、消費増税はやるべきだと思います。

 増税の先送りは一見すると景気に優しいように思えますが、アベノミクスの1本目の矢の金融政策と3本目の矢の成長戦略を台無しにしてしまう恐れがあります。

 日銀の量的・質的金融緩和が諸外国からマネタイゼーションだと思われてしまうと金融緩和は効かなくなります。消費増税を見送ることのリスクを指摘した黒田東彦・日銀総裁の発言を重く受け止める必要があります。

 仮に消費増税をして景気が悪くなったとしても、言ってみれば小雨の状態です。その時は財政や金融政策など打つべき手段は残されています。他方で、増税を先送りして金融市場の信認が崩れてしまうと、手の打ちようがなくなります。円だけでなく株や債券も売られるトリプル安になり、まさに台風や嵐の状況になりかねません。この2つを比較衡量して考える必要があります。

増税の見送りは成長戦略にどう影響するのでしょうか。

熊谷:2015年10月に消費税を10%に引き上げることは法律で決まっていますから、これを変えるには新たな法案を出す必要があります。成長戦略を加速させるための国会にしなければならないのに、消費税国会になってしまうリスクがあります。自民党の財政再建派が反旗を翻したり、場合によっては安倍降ろしの動きが出たりして、混乱する恐れがあるでしょうね。現実に決まっていることを引っくり返そうとすると、3本目の矢が事実上打てなくなってしまいます。

 消費税を8%に引き上げた前回の政府の判断は正しかったと思います。3%増税して5.5兆円は経済対策で国民に返す。景気対策をやったとしても、それは1年限りです。増税をすればその先もずっと税収は上がります。ある種の民主主義のコストとして短期的な経済対策をやったとしても増税は予定通りやる必要があります。

安倍政権が消費増税を判断する際には7〜9月期のGDPが一番重視されることになります。現時点での予測の4.8%成長なら、景気の面からは問題ありませんか。

熊谷:政治的には2%成長が一つのめどになるでしょう。私はマイナス成長でなければいいのではないかと考えています。ただ、7〜9月期のGDPだけを見て決めるのはおかしい。景気の趨勢や基調を見極めることが重要です。夏の天候不順の影響で景気の勢いが鈍っているとしても、アベノミクスによって所得が戻るメカニズムが途切れたわけではありません。

日銀の追加緩和は来年以降の公算

4〜6月期の実質GDPは年率で7.1%も落ち込んでいます。7〜9月期が若干のプラス成長でも増税はできるのでしょうか。

熊谷:どこに線を引くかは難しいでしょうね。駆け込みもあって1〜3月期が大きく伸びています。そこから落ちて再び上がっている状況です。プラス成長であれば良しとするということでいいと思います。

 政治的にはここで増税を見送ったり先延ばししたりすると、諸外国からはアベノミクスの敗北宣言と取られかねません。延期するにしても、いつまで延ばすのか。その時に増税できる環境になっているという確証はあるのか。そうした説明責任などを含めて考えると、予定通り上げるのが得策でしょう。

日銀は景気の状況に応じて柔軟に動くと思いますか。

熊谷:黒田総裁は戦力の逐次投入はしないと言っています。やるべきことは昨年の4月にやっているということなのでしょう。追加の金融緩和は来年以降になる可能性が高いと見ています。実際の物価上昇率が目標とする2%から乖離していても、今年10〜12月の段階であれば、この後に一気に伸びると強弁できます。

 しかし年明けになると、さすがに残された期間との兼ね合いで達成が難しいという客観情勢になるかもしれません。黒田総裁はプラグマティックな方なので消費増税は必要だと認識しています。増税をにらんで10〜12月期に動く可能性はありますが、メーンシナリオは年明け以降です。

このコラムについて
キーパーソンに聞く

日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140909/270990/?ST=print

 

Don’t Fight BOJ、黒田氏の覚悟を信じよう
2014年09月11日(Thu) 武者 陵司
 「中央銀行には逆らうな」、は株式投資の鉄則である。中央銀行は金融政策を通して流動性(金融資産の購買力)を制御し市場価格に大きな影響を及ぼすことができる。NY市場で“Don’t fight the FED”と言われているのと同様に、日本では日銀(BOJ: Bank of Japan)のスタンスが市場価格に圧倒的影響力を持っている。

 特にタイミングという点で中央銀行の判断が決定的である。1980年代以降日本株のバブルが続いていたが、それは1989年末まで破裂しなかった。なぜ日本株のバブル崩壊が1990年初頭から始まったのかと言えば、それは三重野康日銀総裁がバブル潰しの流動性抑制に踏み切ったからであった。またなぜ2012年秋まで異常な株安(マイナスのバブル)と円高が続いたかと言えば、それは白川方明日銀総裁が円高と株安を容認してきたからである。2012年末からの円安株高への大転換は(安倍政権の誕生による)白川日銀政策の変更が確実に見通せるようになったからである。

有言実行の黒田日銀

 それでは今の日銀は何を目指しているのか。それは「2%の物価上昇達成と経済の持続的拡大に責任を持つこと」に尽きる。

 2%インフレの達成が困難なら躊躇なく調整をする、というコミットメントは明確である。安倍新内閣のキャッチフレーズ「有言実行、実行実現」は黒田東彦日銀総裁のモットーである。さらに、黒田氏は「円安が望ましくないという考えは間違いであること、さらなる2%消費税増税が望ましいこと」、を主張した。つまり「2015年10月に予定されている消費税率の現行の8%から10%への引き上げがなされない場合、政府の財政健全化の意思に疑念が生じ、(確率は低いものの)長期金利が急上昇する懸念があるので、増税実施が望ましい」と述べた。

 日銀総裁が財政マターに言及するというのは領空侵犯である、との批判は一理ある。しかしそれも「増税による景気と物価下振れのリスクは日銀が金融政策で対応する」というコミットメントと捉えるべきである。

2%追加増税を可能にする、第1の矢、第2の矢の第2弾は必至か

 黒田日銀総裁までもが2%増税支持を言及していること、大多数のエコノミスト・学者が財政再建のための2%増税支持であることを考えると、増税停止、延期はもはや考えにくい。

 依然として潜在的にはアベノミクス反対派が多い現状では、増税延期、停止は危険である。景気不安により消費税の追加増税すらできないとなれば、アベノミクス失敗との悲観論が勢いづくのは確実である。それは市場心理を決定的に悪化させるだろう。

 「病は気から」の例えのように、今までの日本は「デフレが続くという信念から現金預金保有→資本退蔵に陥り自己実現的にデフレに陥っていた」と言える。ここはデフレ心理の払拭が決定的に大事な局面であり、これ以上の心理悪化を阻止すべきである。

 ファンダメンタルズ面では、昨年後半からの景気回復趨勢は4月の消費税増税で途絶えた感がある。改訂された4〜6月GDPは年率7.1%の大幅マイナス成長となり、消費税増税前の駆け込み需要の反動減からの回復の鈍さが表れた。加えて夏場の悪天候が消費に悪影響を与えている可能性もある。7〜9月以降は消費税増税による一時的撹乱が消えることで成長軌道は復元されるだろうが、力不足は否めない。また円安と輸入物価上昇が止まったことでインフレ圧力が減衰し始めている。日銀の2015年2%の物価目標達成は極めて困難な情勢にある。日銀も注目している東大の日次物価指数は6月以降下落幅が強まっている。

 かくなる上は第1の矢、第2の矢の再構築によりアベミクスの勢いを取り戻し、増税を実施するしかない。第2弾の量的金融緩和(QQE2)、税収増によるさらなる補正予算の発動を柱に、年末から2015年前半の景況を大きく押し上げる必要がある。

後は心理次第である

 以上の事情は日銀の追加金融緩和を必至のものとしている。(1)米国の力強さを増す循環的経済回復と超金融緩和の終焉・利上げが視野に入ってきたこと、(2)依然として超割安の日本株式バリュエーション、(3)好バリュエーションを支えている好業績、は確固とした円安、株高の土台を作っている。この状況で黒田日銀総裁は「私に任せろ」と言っているのだ。信じていいのではないか。

◎本記事は、武者リサーチのレポート「ストラテジーブレティン」より「第124号(2014年9月10日)」を転載したものです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/41699


02. 2014年9月12日 16:29:03 : niiL5nr8dQ
焦点:円安ピッチに追い付かない日本株、海外勢の姿勢変化が要因
2014年 09月 12日 14:15 JST
[東京 12日 ロイター] - 今回の円安/株高局面では、円安ピッチに比べ、日本株の上昇スピードが遅い。その背景に海外勢のスタンス変化が指摘されている。回復の兆しが見えない国内景気を受け、日銀の緩和政策を疑問視する投資家が出始めたほか、年前半のパフォーマンスの悪さから、海外短期筋が手掛けていた円売り・株買いの「日銀トレード」が下火になりつつあるという。

日経平均.N225は節目1万6000円に接近しているが、ドル/円JPY=EBSの動きに対して反応が鈍い。1ドル98円台から103円近辺へと約5円上昇した2013年11月には、日経平均が約1300円上昇した。

だが、同じく5円のドル高・円安となった8月第3週以降では日経平均の上げ幅は650円程度と約半分だ。

円安進行にキャッチアップできない日本株の一因として、日本株に対する海外勢の姿勢の変化が指摘されている。東証および大阪取引所が公表している投資主体別売買動向によれば、13年11月は現物・先物を合わせて海外投資家が2兆8160億円買い越した。

一方、今年8月第3週以降では、1兆0937億円と約3分の1にとどまっている。為替や株価の水準に違いはあるものの、足元の海外勢による日本株買いの勢いは鈍い。

<海外勢が主張する「反・貨幣数量説」>

上位5─10社のグローバルマクロ系ヘッジファンドの動向を聞いた米系証券幹部は「以前は円売り・株買い一色だったが、今は日本株に対するビューが分散している」と明かす。

政府・日銀は円安=株高との見方を変えていないが、「ゼロ金利下で中央銀行が量的緩和策をとってもGDP(国内総生産)の成長率に寄与しないという『反・貨幣数量説』の議論を持ち出す外国人投資家が現れ始めた」(同幹部)という。

日銀は貨幣数量説を論拠に2%の物価目標に向けてマネタリーベースを増やす量的、質的金融緩和(QQE)を実施している。QQE政策により期待インフレ率を高め、企業による設備投資や個人消費が活発化することで景気を回復させるシナリオだ。

ただ、足元で弱い指標が出ている個人消費やマイナスが続く実質賃金、円安進行でも増えない輸出など国内景況感の悪化を受けて、日銀の緩和政策を疑問視する声が出ている。

<追加緩和見込んだ取引、損失抱える>

また、グローバルマクロ系ヘッジファンドの厳しい台所事情も一因という。BNPパリバ証券株式・派生商品統括本部長の岡澤恭弥氏は「今年前半はボラティリティ低下でトレーディングの機会が減少したうえ、日銀の追加緩和を見込んだポジションがやられた。そのためグローバルマクロ系のヘッジファンドは、足元でキャッシュ比率を高め、資金を大きく動かしていない」と話す。

日興フィナンシャル・インテリジェンスがまとめているヘッジファンド概況によると、今年7月までの直近1年間のリターン(年率)はマクロがプラス1.78%となり、イベント・ドリブン(同10.85%)や株式ロング・ショート(同10.28%)を大きく下回っている。

株買い・円売りという「日銀トレード」を手掛けていた投資主体のパフォーマンス低下が為替に対する日本株の反応の鈍さにつながっているという。

一方で、虎視眈々(たんたん)と日本株のアップサイドを狙う投資家も出始めている。日経平均オプション市場では権利行使価格1万6500円や1万7000円など上値のコール(買う権利)を買う動きが観測されている。

市場では「政府要人の円安容認とも取れる発言を受けた円下落を背景に日本株のアップサイドリスクが意識されやすい。買い仕掛けがあってもおかしくはない」(外資系証券)との声が出ている。

(杉山容俊 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0H70B220140912


きょうの国内市況(9月12日):株式、債券、為替市場

●日本株は5日続伸、円安で自動車など輸出買い−1万6000円に迫る
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
東京株式相場は5日続伸。ドル・円相場が直近の円安水準を更新し、業績期待からトヨタ自動車や富士重工業など自動車株、機械株といった輸出関連中心に買われた。医薬品や電力、銀行株も堅調。
半面、3連休や海外の重要イベントを前に相場全般の上値は限定的。連騰による短期的な過熱感からの売りも出て、建設株のほか、証券や保険など金融株の一角が安い。
TOPIXの終値は前日比2.48ポイント(0.2%)高の1313.72、日経平均株価は39円9銭(0.3%)高の1万5948円29銭。いずれも直近の高値を上回った。
アムンディ・ジャパンの高野雅永チーフストラテジストは、「ドル高が誘発する他通貨の下落は、輸出競争力の回復とデフレ懸念の払しょくという2点から、現地通貨ベースでの資産価格の上昇に追い風になる」と指摘。足元の円安傾向の鮮明化は、「日本株に確実に効いてくる」との見方を示した。
東証1部33業種は輸送用機器、医薬品、機械、電気・ガス、倉庫・運輸、銀行、ガラス・土石製品、精密機器、ゴム製品、食料品など15業種が上昇。石油・石炭製品、建設、鉱業、証券・商品先物取引、サービス、保険など18業種は安い。売買代金上位ではソフバンク、トヨタ、アステラス製薬、富士重、三井不動産、クボタ、ニコンが上昇。NTTや住友不動産、富士通、コロプラ、大和ハウス工業、大林組は下げた。
東証1部の売買高は27億4729万株、売買代金は3兆1195億円。値上がり銘柄数は765、値下がりは913。きょうの取引開始時は株価指数先物・オプションの特別清算値(SQ)算出で、ブルームバーグ・データの試算では日経225型が1万5915円98銭と、日経平均の前日終値を6円78銭上回った。
●債券続落、円安進行で売り優勢−10年債や20年債に売り圧力との見方
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
債券相場は続落。外国為替市場での6年ぶりの円安進行を受けて売りが優勢となった。市場では10年債や20年債に対する売り圧力が強かったとの見方が出ていた。
長期国債先物市場で中心限月の12月物は前日比9銭高の145円51銭で開始し、145円53銭まで上昇。その後は水準を切り下げ、一時は5銭安まで下落。終値は2銭安の145円40銭だった。
日本相互証券によると、現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の335回債利回りは前日引け値0.565%より0.5ベーシスポイント(bp)低い0.56%で開始。その後は水準を切り上げ、0.57%と前日に付けた7月4日以来の高水準で推移した。2年物の344回債利回りは横ばいの0.075%。20年物の149回債利回りは1.39%と8月7日以来の高水準を付けた。
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、今週に入って相場の流れが変わったと指摘。「10年債や20年債はロング(買い建て)が多く、これまで金利が低下していたので売りが出ている」と話した。
日銀がきょう実施した長期国債買い入れオペ4本(総額6300億円)の結果によると、残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、10年超25年以下の応札倍率は前回から低下した。一方、25年超は上昇した。
TB買い入れオペ2500億円の結果によると、応札額は5447億円で2502億円を落札。応札倍率は2.18倍と前回の1.68倍から上昇した。前日の基準値との平均利回り格差はゼロ%。新発3カ月物TBの479回債、477回債、6カ月物の478回債が応札されていれば、前回9日のTB買い入れオペに続いて、日銀はマイナスの利回りで落札したことになる。案分利回り格差はマイナス0.009%だった。
●ドルが対円で6年ぶり高値更新、日米金融政策の違い鮮明-107円前半
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東京外国為替市場では、ドル・円相場が6年ぶりのドル高値を更新。日米金融政策の方向性の違いが一段と鮮明となる中、ドル買い・円売り圧力が強まった。
一時は1ドル=107円39銭と2008年9月22日以来の水準までドル高・円安が進み、午後3時5分現在は107円27銭付近。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時1050.95と、昨年7月以来の水準まで上昇している。
マネースクウェア・ジャパン市場調査室の山岸永幸シニアアナリストは、米国の量的緩和第3弾(QE3)は10月に終了する見通しで、今後は利上げ開始の時間軸を出していく方向にあり、政策金利を引き上げるという道筋は変わらないと指摘。一方、日本は緩和の可能性が視野に入っており、「完全に明暗対比するという形」になっているとし、比較的大きなドル高・円安のトレンド局面に入っている感があると言う。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 青木 勝 +81-3-3201-7461 maoki6@bloomberg.net記事についてのエディターへの問い合わせ先:Garfield Reynolds +61-2-9777-8695 greynolds1@bloomberg.net青木 勝
更新日時: 2014/09/12 15:51 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NBRYN36JTSES01.html

ドル107円前半、連休控え持ち高調整で伸び悩み
2014年 09月 12日 15:54 JST
[東京 12日 ロイター] - 東京外為市場午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べてドル高/円安の107円前半だった。日経平均株価がプラス圏で推移した上、米長期金利が上昇し、短期筋のドル買いを支援した。一時107.39円まで上昇し、前日につけた6年ぶり高値を上回った。

東京市場では3連休を控えており、午後には持ち高調整の売りが出てドルは伸び悩んだ。

東京時間の朝方にドルは安値106.97円をつけた後、正午にかけて強含んだ。 前日夜の民放テレビ番組で黒田東彦日銀総裁が「今の円安が日本経済にマイナスになるということはない」、「物価目標達成に向けて順調に進まなければ当然追加緩和などの政策調整する」などと発言したことからドル買い/円売りが強まった流れを受けた。

安く始まった日経平均がプラス転換し、約8カ月ぶり高値となる1万6000円に接近。米10年債利回りも上昇してドル/円をサポートした。一方、107.50円には厚めのオプションバリアが観測され、午後に入ると防戦の売りが出た上、3連休を前に調整ムードが強まり、ドルは弱含んだ。

ただ、「いまはドルの下落リスクより、上昇トレンドに乗り遅れるリスクの方が大きい」(邦銀)との見方は根強く、持ち高調整によるドルの落ち込みは限定的とみられる。

<週末の米中経済指標に関心>

週明け以降もドル高ムードが持続するかどうかを見通すにあたって、週末に発表される経済指標に関心が寄せられている。

米国ではきょうの海外時間に小売売上高、週明け15日にニューヨーク州製造業業況指数、鉱工業生産、設備稼働率の発表がある。前週末発表の米雇用統計が弱い数字にもかかわらず相場影響が限られたことから「市場の関心は米連邦公開市場委員会(FOMC)に向いている。(週末の指標も)トレンドを変えるほどのインパクトはないのではないか」(国内金融機関)との見方がある一方、「(雇用統計に続き)小売売上高なども弱いとなれば、米景気の回復期待が弱まりかねない」との指摘もある。

一方、中国では13日に、小売売上高や鉱工業生産の発表が控えており、リスク要因として注目が集まる可能性も指摘されている。8日発表の貿易収支は過去最大の498億ドルの黒字だった。ただ、急激な輸入減による黒字幅拡大が背景にあり、内需の低迷によるものではないかとの見方もある。11日発表の消費者物価指数(CPI)も市場予想に届かなかった。

仮に米中の経済指標が弱かった場合について、IG証券マーケット・アナリストの石川順一氏は、米中のファンダメンタルズ回復期待が後退して米株価を圧迫しかねないとみる。そうなれば「リスク回避的な動きが強まりグローバル株式市場は軟調になって、円を買い戻す動きが出やすい」(石川氏)との見方を示している。  
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0H70B220140912


アングル:GPIFの株直接投資、予想される「紆余曲折」
2014年 09月 12日 15:35 JST
[東京 12日 ロイター] - 塩崎恭久厚生労働相の下で初となる社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会が18日に開催される。部会では、これまで「禁じ手」だったGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による株式への直接投資についても議論される見通し。

だが、政府が企業経営に過剰関与することには懸念の声も根強く、結論を得るまでの紆余曲折は避けられそうにない。

「(GPIFが)アセットマネジャーになるかも含め、議論を重ねるべきだ」――。今月5日、省内で開かれた閣議後の記者会見で、塩崎厚労相はこう切り出した。

資産127兆円の多くを外部委託で運用しているGPIFは、今の法律では株の自主運用が認められていない。そこで、直接的に投資できる体制に変更できないか、その検討を促したのだ。

海外に比べて見劣りする日本企業の生産性を向上させるには「コーポレートガバナンスの強化が不可欠。(GPIFにも)企業のガバナンスに影響力をもってもらいたい」というのが、塩崎氏のスタンスだ。

「株価を上げることが目的ではない」と、あくまでも株高政策との見方からは距離を置くが、就任前に投資家の前で「法改正の際に直接株を運用(できるように)してもいい。企業と直接対話することもいいのではないか」と語ったこともある。 

ただ、実現すれば民間企業への政府関与が強まりかねないだけに、株への直接投資を正当化できるかははっきりしない。

今の体制のままGPIFが企業の大株主になった場合、間接的には厚労省が企業支配に関わることになるが、株主としての利益を優先させるのか、それとも国の方針を優先させるのか、時として「利益相反」が生まれる局面があり得るからだ。

さらに、インサイダー取引が疑われる可能性も否定できない。一般投資家よりも圧倒的な情報量を持つ厚労省が背後にいれば、GPIFによる株の売買に疑惑の目が向けられかねず、市場の公平性を損なう恐れもある。

一方で、運用委託先への手数料を軽減できるという考え方がある。GPIFは2013年度、日本株の運用だけで約74億円の手数料を支払っており、直接投資が可能になればこの費用を節約できるというわけだ。02年から国内株式の自主運用を始めた企業年金連合会も「運用報酬の削減が可能」とその利点を強調している。

しかし、20兆円を超える日本株への投資額に対する手数料としては「かなり少ない」(ある運用会社の担当者)のが現状だ。TOPIXなどの指数に連動した収益を目指す「パッシブ」と呼ばれる運用スタイルであれば、手数料率は0.01%に満たない程度とみられ、「外部委託のままの方が良いのではないか」と首をかしげる市場参加者も少なくない。

塩崎厚労相は、株式の自家運用の是非について、年金部会での積極的な議論を促す考えだが、ある部会関係者からは、「年金部会には運用に特化した論陣を張れる人がいない。そもそもこの会での議論に馴染むのか」との声も漏れる。

(梅川崇 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0H70FP20140912



日銀総裁、緩和の効果を強調 都内で講演、追加策に言及なし
2014/9/12 15:49
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 日銀の黒田東彦総裁は12日に都内の政策研究大学院大学が開いた学位授与式で講演した。黒田氏は日銀の金融緩和の効果を強調したものの、追加的な金融緩和には言及しなかった。

 黒田氏は1990年代の終わりから日本がデフレ状態から抜け出せなかったことについて「大きな要因の1つは、日本銀行のコミットメントが弱く、人々の期待に働きかける力が十分でなかった」と分析。日銀総裁就任の直後に打ち出した「量的・質的金融緩和」について「理論と実践の調和を図った典型的な事例の1つ」と語った。

 財務省やアジア開発銀行などで要職を歴任した経験から、「政策立案・遂行にかかわる際に大切にしてほしい3つのこと」のうち1つ目として「理論と実践の調和を図ること」を挙げた。残り2つは「自らの考えをまとめ、外部の評価にさらすこと」「多様性を重んじること」と述べた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/markets/features/12.aspx?g=DGXLASFL12H7T_12092014000000

コラム:イエレン議長への「5つの質問」=鈴木敏之氏
2014年 09月 12日 13:59 JST
鈴木敏之 三菱東京UFJ銀行 シニアマーケットエコノミスト

[東京 12日] - 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が17日(日本時間18日未明)、定例の記者会見を行うが、多くの問題で曖昧な答弁しかできない可能性が高い。量的緩和(QE)による資金供給が終わるというのに、出口政策の具体的な姿は示されそうになく、奥深そうな問題が残されたままということだ。

労働市場のスラック(余剰)を金融緩和で縮小する意向であるならば、今後はフォワードガイダンスが有力な手段になる。記者会見は市場へシグナルを送る重要な機会だ。しかし、ある程度明確な先行き見通しを市中に持たせることは、今の状況では至難に見える。イエレン議長が以下5つの疑問に明瞭な説明を与えることができれば話は別だが、おそらく無理と思われるからだ。

●QEの効果はフローがもたらすのか、ストックがもたらすのか。

米連邦準備制度のバランスシート規模はすでに4.5兆ドルに膨れ上がっている。QEの効果は、毎月の証券購入による資金供給のフローによるものなのか、それともFRBが対象証券を大量保有することによる市場の需給バランス、すなわちストックによるものなのか。この判断が曖昧にされたままである。

フローのQE縮小は終わりに近づいているが(10月終了見通し)、ストックが緩和効果を持つものであるならば、強烈な緩和が持続するということになる。この問題を曖昧にしておくことによる不透明性はあまりに大きい。特にバブル発生懸念が解消されない。

また、この問題を曖昧にしたまま、利上げに進むならば、FRBは一見、緩和と引き締めを同時に実行しているようにもなってしまう。これでは、市場の先行きの期待形成が定まらず、フォワードガイダンスによる緩和が成り立たないと言われても仕方がない。

●保有証券の満期までの期間が短くなる影響をどう見るか。

保有証券の償還分の再投資をどうするのか。結局、明瞭な説明に至らないまま、フローのQEが終了しそうである。

再投資をやめれば、バランスシート規模が縮小するだけではない。保有する証券の満期までの平均期間が短くなっていくのである。すなわち、満期までの期間の長い債券の需給バランスが変わり、イールドカーブをスティープ化させることになる。

このことが経済にいかなる影響を与えるのか。フォワードガイダンスを標榜するならば、本来、FRBが説明すべき話である。

●欧州中銀(ECB)の緩和とユーロ安の影響は。

ECBが4日の理事会で電撃的な追加緩和を決定し、それを受けて、ユーロの対ドル相場が下落した。他国・他地域の金融緩和がその通貨を減価させる効果を持つと、ドルは相対的に上昇する。それは果たして米国の金融政策に中立な要因だろうか。

FRBはこれまで日銀の緩和については、日本がデフレから脱却するほうが大事ということで寛容であった。しかし、ユーロ圏は自らデフレに陥ったとは認めていない。ECBの政策を許容するならば、ユーロ圏がいかなるデフレに陥っていて、それが米国経済に与える影響は何かを説明しなければならないところである。

●「マクロプルーデンス政策」の具体的な姿は。

フィッシャーFRB副議長が公式の場(8月11日のストックホルムでの講演)で、金融市場の安定確保と銀行の厳しい監視という「マクロプルーデンス政策」の重要性に言及した。これは、新たな規制が始まるということだろうか。その具体的な姿が不透明なままだと、金融機関の行動を萎縮させかねない。

つまり、具体化しないことが引き締め効果を持つのである。それは、フォワードガイダンスで緩和を進めていることと矛盾する。

●正常化に失敗した場合の「プランB(次善策)」は何か。

4.5兆ドルのバランスシートを抱えて、金融政策の正常化、利上げに向かうのは、実に難しい仕事である。乗用車の運転の経験しかないのに、大型トラックを運転しようというのに等しい。ハンドルをどれだけ回せば、車が方向を変えるのか、止めるためにはどれだけ強くブレーキを踏めばいいのか、わからないのである。

失敗すれば、元に戻せばよいという単純な話ではない。QE再開は、無理だろう。「QEの過度の拡大は好ましくない結果をもたらす」として、離脱を図ってきた経緯があるからだ。フォワードガイダンスで失敗したときに備えて、プランBが欲しいところだ。しかし、それが用意されているようには見えない。

このように金融政策の先行きが不透明になる影響について、イエレン議長はおそらく曖昧な答弁しかできないだろう。金融政策をめぐる不確実性が経済パフォーマンスを悪化させるリスクを心配しなくてよいものだろうか。

*鈴木敏之氏は、三菱東京UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサーチのシニアマーケットエコノミスト。1979年、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。バブル崩壊前夜より市場・経済分析に従事。英米駐在通算13年を経て、2012年より現職。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0H708020140912



中国:8月のファイナンス規模、予想に届かず-景気リスク増大

  9月12日(ブルームバーグ):中国の8月の経済全体のファイナンス規模は市場予想を下回った。不動産市場が落ち込み、製造業活動の伸びが鈍化する中で、経済成長目標の達成に向けた政府の課題が増えた形だ。
中国人民銀行(中央銀行)が12日発表した8月の経済全体のファイナンス規模 は9574億元(約16兆7400億円)。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は1兆1350億元だった。8月の新規人民元建て融資 は7025億元。8月のマネーサプライ(通貨供給量)統計ではM2 が前年同月比12.8%増となった。
経済全体のファイナンス規模は7月に前月比で大幅に落ち込んでおり、この日の統計は中国経済が勢いを失いつつあることを示す新たな材料となった。昨年8月は1兆5840億元だった。
クレディ・スイス・グループで日本を除くアジア地域担当チーフエコノミストを務める陶冬氏(香港在勤)は「良いプロジェクト案件が十分にないため、銀行は融資を渋っている」と指摘。「まさに頭痛の種だ。向こう数カ月のうちに預金準備率の引き下げ、または預貸率規制の緩和が打ち出される公算が極めて大きい」と述べた。
8月の新規融資のエコノミスト予想中央値は7000億元だった。7月は3852億元、昨年8月は7128億元。M2は7月の13.5%増から伸びが鈍化。8月の予想中央値も13.5%増だった。
原題:China Credit Gauge Misses Estimate as Growth Risks Rise:Economy(抜粋)
記事に関するブルームバーグ・ニュース・スタッフへの問い合わせ先:北京 Xiaoqing Pi xpi1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Malcolm Scott mscott23@bloomberg.netScott Lanman
更新日時: 2014/09/12 13:26 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NBRNMC6K50Y501.html


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