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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 財政再建は進んでいる
http://wjn.jp/article/detail/9035182/
週刊実話 2014年9月18日 特大号
4〜6月期のGDPが、年率換算で6.8%もの大幅減となったことで、ようやく来年10月からの消費税再引き上げを疑問視する声が上がり始めた。日本経済新聞が8月に行った世論調査では、来年10月からの消費税率再引き上げに賛成の国民が30%だったのに対して、反対の国民が63%と圧倒的多数を占めた。
ただ、こうなると必ず出てくる主張が、消費税を再度引き上げなければ日本の財政が破綻してしまう、というものだ。しかし、日本の財政は破綻などしていない。
まず、GDP統計でみると、一般政府の2012年末の負債は、1131兆円にのぼる。ただ、その一方で金融資産が518兆円、土地・建物などの非金融資産が575兆円ある。日本政府が抱える正味の負債は、たった39兆円だ。日本の財政は、正味でみれば、ほとんど借金を抱えていない。
いま新発10年物国債の利回りは、0.5%を下回っている。日本の財政が本当に破綻寸前なら、こんな世界最低の国債金利がつくはずがないのだ。
もう一つ、注意しておくべきことは、日本の財政はすでによくなってきているという事実だ。財務省は、借金が増え続けていることを問題視するが、財政学には「ドーマー条件」という定理がある。基礎的財政収支が均衡しているという条件の下では、名目GDPの増加率が、国債金利を上回っている限り、財政は破綻しないというものだ。つまり、借金の絶対額が問題なのではなく、借金のGDP比が上がらなければ、問題はないということ。個人に置き換えてみると、借金が増えても、それ以上のペースで年収が増えれば、問題はないということだ。
この条件を今の日本に当てはめてみると、今年度の名目経済成長率は政府経済見通しで3.3%。一方、国債金利は0.5%だから、圧倒的に名目成長率の方が高く、財政破綻などあり得ないのだ。
ただし問題は、日本は基礎的財政収支が均衡しておらず、18兆円もの赤字となっていることだ。しかし、それでも財政破綻の恐れはない。国と地方の長期債務は、今年度末で1010兆円だ。名目GDPの伸び率が3.3%ということは、借金を3.3%増やしても債務のGDP比は上がらないことになる。つまり、年間33兆円借金を増やしても、問題はないのだ。
国債金利が0.5%ということは、金利負担で、借金の総額は年間で5兆円増える。これに基礎的財政収支の赤字分18兆円を加えても、国と地方の借金は23兆円の増加にとどまる。借金増加の限度額が33兆円だから、日本の財政は破綻するどころか、今年度、10兆円分も改善するのだ。来年度に消費税増税の必要性がないことは、明らかだろう。
むしろ今取り組むべきことは、18兆円もある基礎的財政収支の赤字を圧縮することだ。この程度の赤字は歳出カットで十分達成できる。震災復興のためにカットされていた国家公務員の給与が元に戻り、国会議員の定数削減が達成できるまでの措置として行われていた歳費の2割カットも元に戻された。来年度予算の要求額は、100兆円を超えた。財政の大盤振る舞いこそが財政破綻の原因になるのだ。
もう一度「増税無き財政再建」に舵を切り直すべきだろう。
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