06. 2014年9月10日 17:16:24
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焦点:日銀は106円台への円安進行を歓迎、国内還流に期待 2014年 09月 10日 16:56 JST [東京 10日 ロイター] - 足元における106円台への円安進行に対し、日銀では概ね好意的に受け止めている。円安による輸出促進の効果は限定的との見方もある中で、緩やかな円安進行は日本企業の海外収益増につながり、結果的に国内での設備投資などにプラス効果が波及するとみているためだ。日銀の岩田規久男副総裁は10日、金沢市での会見の中で円安について「海外の子会社の配当を円に換算すると高くなる効果がある」と指摘した。 黒田東彦総裁も4日の金融政策決定会合後の記者会見で、「今の水準から円安になることが、日本経済にとって何か非常に好ましくないとは思っていない」と明言した。 日銀の2人の首脳が示した円安を歓迎するコメントに注目が集まるのは、ある発言が市場の関心を引いたためだ。それは、黒田総裁と同じ財務官を務めた財務省の後輩である国際協力銀行(JBIC)の渡辺博史総裁の指摘だった。「もうかなりの産業において、損益分岐点からみてこれ以上の円安はマイナスのところがかなり増えてくる」──。 果たして円安の進行は、日本経済にとってプラスなのかマイナスなのか、という2つの見解の違いが、大きなテーマとしてクローズアップされた。 日銀内では、円安によって収益が拡大する企業が増えれば、結果としてその効果が他の企業や家計などに波及し、日本経済にとってプラスになるとの見方が多数を占めているもようだ。 また、円安になれば、外貨建ての売上高や営業利益、経常利益などの項目は、決算時の円建ての数字が円安分だけかさ上げされる。結果として株価が上昇すれば、その効果がマインド面も含めて複数のルートで景気押し上げ要因として働くと分析している。 日銀が今月9日に公表した議事要旨によると、8月7─8日の金融政策決定会合で複数の委員が、輸出から生産、生産から投資といった、従来の典型的な景気回復のメカニズムが変化している可能性を指摘。海外の子会社等の収益が国内に還流し、設備投資や、賃金・所得に波及していく可能性をに言及している。 ただ、岩田副総裁は10日の会見で「資源調達の面では、円安は困るということもある」とも指摘。円安でガソリン価格などが上昇すれば、他の財・サービスへの支出が減るとして、経済安定に理想的な為替水準は「予想が難しいし、言うこともできない」と慎重な表現を選んだ。 実際、アベノミクスがスタートして以来、2割を超す大幅な円安進行が実現したが、輸出の回復が鈍い。 現時点で日銀では、円安進行がなければ輸出はさらに停滞していただろう、との立場から、円安は経済的な効果があったとの見方を取っている。また、世界経済が今後、緩やかに回復していけば、輸出は伸びていくとのシナリオも維持している。 これに対し、渡辺氏や一部の財務省の現役・OBらは「もはや円安で輸出は伸びない」との見通しを持っている。 こうした中で、日銀は足元で起きているある現象に着目している。輸出の回復が遅れている割には、設備投資が堅調に推移している点だ。 日銀内部では、その背景を探る過程で、海外での企業収益増が国内の設備投資などに波及するメカニズムに注目しているとみられる。 一方、物価面でも足元の円安進展は、一定の影響を与える可能性が出てきた。 個人消費の動向などに一部のエコノミストが懸念を示しているが、足元の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は消費税を除いたベースで1%台前半と、日銀の想定通りの推移を続けている。 日銀では、先行きも雇用・所得環境の改善が続く中で、物価には上昇圧力がかかりやすい状況が継続し、個人消費も回復に向かうとのシナリオを描く。 最近の円安進行が企業の収益増をもたらし、国内投資や賃金に波及すれば、日銀が期待する雇用・所得環境の改善を起点とした経済の好循環を支援する可能性がある。 また、円安は直接的に日銀の物価目標達成を助けるのも事実だ。日銀では先行きの物価は需給ギャップの縮小と期待インフレ率の上昇がけん引していくと主張するが、足元の成長率の下振れが続く中、円安による輸入物価の上昇が寄与する可能性も出てきた。 ただ、円安によるコストプッシュ型のインフレは、日銀が望んでいる物価上昇の姿ではない。金融緩和により銀行貸出が伸び、為替円安で輸出が拡大し、実体経済が刺激される中で、バランス良く物価が上昇するのが理想的な姿と言える。 これまでは銀行貸出も、輸出も大きく伸びるわけでなく、円安・株高が好況感を演出してきた。市場では「経済がよいから株が上がるのでなく、株が上がっているから経済もよくなるという期待を維持するのがアベノミクス」(証券大手)という評価も浮上している。 一方、一部の経済学者の間では、量的・質的緩和(QQE)は波及経路が不明との厳批判もある。 一段の円安による企業収益の増加が目立って発生すれば、それを起点とするプラスの循環が加わって、設備投資主導の景気回復シナリオの実現性を高めることになる。日銀にとって、今起きている円安進行は強烈な追い風になりつつあるようだ。 (竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0H50MN20140910 TOPIXが2008年来高値、年初騰落プラス−円安動き支援も 9月10日(ブルームバーグ):東京株式相場は3日続伸。TOPIXは1月に付けた年初来高値を更新し、2008年7月の水準に戻した。米国の早期利上げ懸念、さえない国内経済統計などから午前は軟調だったが、政策期待の根強さから午後に反転。為替の円安推移も好感された。電力株が上げ、ゴム製品や電機など輸出関連、銀行株も高い。 TOPIX の終値は前日比7.17ポイント(0.6%)高の1306.79。1月8日の高値1306.23を上抜け、年初来パフォーマンスもプラスに浮上した。日経平均株価 は39円63銭(0.3%)高の1万5788円78銭。 DIAMアセットマネジメントの武内邦信エグゼクティブポートフォリマネジャーは、「市場が予想する米金利引き上げ時期は早まってきたが、それに伴って日米金利差が開いて円安になれば、企業の業績予想は上方修正されるだろう。米景況感の良さは日本株にプラス」との認識を示した。 9日の米国株は、利上げ開始時期が予想よりも早くなるとの観測から、S&P500種株価指数など主要3指数が下落。米国株のボラティリティ(変動性)の指標であるシカゴ・ボラティリティ指数(VIX )は6.6%上昇し、13.50と約1カ月ぶりの高水準となった。フェデラルファンド(FF)金利先物動向によれば、米連邦公開市場委員会(FOMC)が来年7月までに少なくとも0.5%へと利上げする確率は61%。8月末時点は52%だった。 また、スコットランドに続き、スペインではカタルーニャ自治州で独立を求める運動が盛り上がりを見せるほか、朝方発表された日本の機械受注が市場予想から下振れるなど、国内経済統計の低調もあってきょうの日本株は反落して開始。ただTOPIX、日経平均とも下げは限定的で、午後に両指数ともプラス転換した。7月の機械受注は、船舶・電力を除く民需が前月比3.5%増と、ブルームバーグが集計した事前予想4.0%増を下回った。6月は8.8%増。 円安、岩田副総裁が講演 ドル・円相場は午後に入り、1ドル=106円40−50銭付近で推移。朝方の同10銭付近からは円安・ドル高方向に振れた。日本銀行の岩田規久男副総裁は10日午前、金沢市内で講演し、円安によって実質所得が減少し、デフレ圧力を生む可能性があると指摘。物価の下落圧力については、「金融政策がそれにきちんと対応しないと、結局下押し圧力が強くなっていく」と、金融政策の必要性に言及した。 SMBC日興証券株式調査部の西広市部長は、8月の異常気象の影響もあり、消費税増税後の景気の回復ピッチが後ずれしているとし、「政府が成長戦略に本腰を入れてくる可能性がある。政策期待の強さから、下値も限定される」と話していた。 東証1部33業種は電気・ガス、石油・石炭製品、ゴム製品、銀行、鉱業、保険、小売、陸運など26業種が上昇。非鉄金属やその他金融、建設、海運、倉庫・運輸など7業種は安い。電気・ガスでは九州電力 が午後に一段高。原子力規制委員会は10日、川内原子力発電所1、2号機の設置変更許可の審査書を了承した。新規制基準では初めて。一方、非鉄では前日の海外ニッケル市況の大幅安を受け、住友金属鉱山が安い。 このほか売買代金上位では楽天や三菱商事、東芝、NTT、村田製作所、花王、ブリヂストンが上昇。歩行支援機の実用化を受け、今仙電機製作所は急騰した。熊谷組やコロプラ、アイフル、大成建設、オリックス、セイコーエプソン、日本ペイントは安い。東証1部の売買高は19億4637万株、売買代金は1兆8664億円、値上がり銘柄数は1090、値下がりは581。国内新興市場では、ジャスダック指数が0.5%安の104.69と3日ぶりに反落、マザーズ指数は2.3%安の929.59と続落した。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net院去信太郎 更新日時: 2014/09/10 16:10 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NBNORT6K50YA01.html 円安メリットが明確なのは投資家、輸出産業、条件が悪い失業者、そして日銀
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