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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NBF8SF6JTSEE01.html
9月8日(ブルームバーグ):
世界販売で首位のトヨタ自動車に迫る独フォルクスワーゲン(VW )は、水素燃料電池車(FCV)普及の波が日本市場から海外に広がるのは困難とみている。
日本ではFCV普及に向け、政府も購入者に対して手厚い補助金で支援する方針だが、他の国々がそこまでするのは難しいだろうと、VWグループ日本法人社長の庄司茂氏はインタビューで話した。日本ですら燃料水素の補給は難しい問題であり、水素の扱いが面倒なことやインフラ整備にコストがかかると指摘した。
「FCVは日本国内で順調に普及するかもしれないが、世界的にみるとそうはならない」と庄司氏は話した。日本企業が自国でのみ普及する商品を製造し独自の進化を遂げる現象を「ガラパゴス症候群」と呼ぶが、FCVはその事例になるかもしれないと指摘した。
米テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と同様に庄司氏もFCV普及には懐疑的な見方を示すが、これは従来のガソリン車やディーゼル車に代わる次世代の技術について見方が大きく分かれていることを示している。日本では政府がFCV普及のための支援策を講じようとしているが、これはトヨタのハイブリッド車(HV)「プリウス」の導入当時と同じ手法だ。
「生き残るためには新しい製品、より良い製品を打ち出さなければならない。国家間の問題というようなものではない」とジェフリーズのアナリスト、タン・ファム氏は指摘する。
最善の解決策の一つ
FCVは水だけを排出し、日本の二酸化炭素排出量で輸送部門が約2割を占めているのを削減するのに最善の解決策の一つになると、トヨタ広報担当のディオン・コルベット氏は話した。庄司氏の発言に対してはコメントを控えた。
燃料電池システムはまだ総じてコストがかかり、日本政府からの支援が必要になっていると、コルベット氏は電子メールで答えた。FCVが今後数年で広範に普及するとは想像しにくいという。
トヨタは6月、FCVの普及が見込まれる地域として、日本、ドイツ、米国のカリフォルニア州と東海岸の都市を挙げた。
安倍晋三首相が日本再興戦略に掲げた「水素社会の実現」では、燃料電池が自動車のみならず、家庭やビルでも活用されることを目指している。
安倍首相は7月、訪問先の福岡県でFCVに試乗し、「排気ガス、CO2が出ない新しい時代の車」と評価した上で、政府として「少なくとも200万円の補助をしていきたい」と述べた。
トヨタのHVモデルは世界市場を席巻し、その代表モデルのプリウスは1997年の投入以来で400万台以上の販売台数となっている。
15年までに100カ所程度のインフラ整備
資源エネルギー庁は6月に発表した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」で、20年ごろに燃料の水素価格をHVの燃料代と同等以下にして、25年ごろに車両価格で同車格のHVと同程度を目指すとした。トヨタや日産自動車、ホンダは11年1月、エネルギー関連企業10社とともに、水素供給インフラ整備に関する共同声明を発表し、15年までに100カ所程度のインフラ整備を計画している。
トヨタが来年カリフォルニアに投入するFCVは約300マイル(約480キロメートル)の走行に約50ドルを要すると、トヨタ米国法人幹部のボブ・カーター氏が8月12日のカンファレンスで話した。エネルギー省の予想によると、そのコストが約30ドルまで下がるとも述べた。
「たとえトヨタが来年投入したとしても、どだけ実用的なのか、依然として疑問が残る」と丸太氏は話した。「一般の顧客が使いやすくなるまでには、10年、20年の時間がかかるかもしれない」という。
原題:VW Says Fuel-Cell Cars Doomed to Struggle Outside of Japan
記事についての記者への問い合わせ先:東京 Craig Trudell ctrudell1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Young-Sam Cho ycho2@bloomberg.net浅井秀樹, 中川寛之
更新日時: 2014/09/08 16:25 JST
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