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4−6月期GDP改定と景気ウォッチャー調査
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52640033.html
2014年09月08日 在野のアナリスト
内閣府から発表された4-6月期GDP二次速報、年率で7.1%減となり、速報の6.8%減より0.3ptの下方改定となりました。数字以上に内容は悪く、国内需要はほとんど0.1ptの下方修正で、設備投資だけが前期比2.5%減から、5.1%減と大幅に下方修正されました。さらに在庫は1.0%増から1.4%増と、需要の縮みで供給サイドにしわ寄せが来ている構図が鮮明です。この改定値で、以前も予想したように震災越えとなったわけですが、実は確報値でさらに下方修正される、との不安もあります。
名目でも年率で0.7%減、速報の0.4%減より0.3ptの下方改定で、国民の肌感覚に近いとされる数字も悪化しています。どの世論調査をみても『安倍ノミクスを実感していない』が7割を越えている。安倍首相は「地方の津々浦々に安倍ノミクスを…」と、この7割が地方の人であるかのように語りますが、実態は3割弱の実感している人は、株高で沸く企業経営者だったり、株式保有者だったり、という構図であり、地域性は関係ない。逆にいうと、安倍ノミクスの実績は株高にしかありません。
今日は8月景気ウォッチャー調査も発表になっていますが、現状判断DIが47.4と、前月から3.9pt悪化しました。『やや良くなっている』が5.7ptも減少しており、『やや悪くなっている』『悪くなっている』に変わっている。7-9月期には回復、というシナリオが崩れていることを、数字が示してきました。先行き判断DIは50.4と、前月から1.1pt悪化です。こちらは『やや良くなっている』が2.9pt減、『変わらない』が2.2pt増と、景気が上向きでないと示しています。
地域動向の家計部門をみても、現状判断で南関東は4.7pt減と大きい。東海の0.7pt減、近畿の0.4pt減は小さいものの、先行き判断では南関東が0.3pt増となるものの、東海が4.9pt減と大きくなる。地域差という点では、中国地方は現状判断で6.2pt減で、先行き判断で3.1pt増となるなど、一進一退という形であり、都市部だけよくて地方が悪い、という構図ばかりでないことが分かります。
以前から、メディアが報じない景気ウォッチャー調査の中身にこだわって分析してきましたが、『変わらない』と答えることが大好きな日本人が、現状判断で『悪い』が増えている。先行き判断では期待もこめて『変わらない』が増えるものの、『やや悪くなる』も0.9pt増となっている。中身をみれば、一貫して増税後の落ちこみからの回復、という言葉は通用しないと見えます。
しかし政府は「反動減の影響は薄れつつある」と使います。薄れつつある、どころか悪化しているにも関わらず。天候や、燃料代の高騰を懸念要因としてあげますが、根本のところがおかしくなっている。雇用関連は現状判断で2.4pt減、先行き判断でも2.5pt減です。以前も指摘したように、日本の実質賃金が下がっているのは、増える求人数のほとんどが非正規であり、賃上げの影響がないためです。そのため消費は低下傾向であり、内需にまったく期待できなくなっています。
設備投資の大幅下方修正は、政府が抱いていた回復経路を否定するものです。7-9月期は公共投資の前倒しの影響がのる、と政府はみていますが、それが民間の建設需要を喰い、設備投資をさらに低下させる、という指摘もある。バランスの悪い施策が、その効果を見誤っていることで、さらに日本経済を泥沼化させかねません。補正予算などを打ち出しても、従来型の公共工事に頼るなら、それこそ効果がでるのは数年先、もしかしたら五輪特需がすぎてからでないと、本格的に寄与はしないのかもしれません。これほど悪化する経済で、支持率が総じて50%越え、というのもまた異例な話です。悪化していく経済指標とは連動しない支持率、政府の勘違いが続くことによる政策の見直しタイミングを誤る、という点で逆に不安を生じさせることなのでしょうね。
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