http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/297.html
Tweet |
【お金は知っている】人民元膨張にエール送る財務官僚 国益や国家戦略念頭にないのか
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140905/ecn1409050830003-n1.htm
2014.09.05 夕刊フジ
3年ほど前の話だが、「米国債は安全ですか?」と聞かれたグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長(当時)は、「安全です。合衆国はいくらでも債務を支払えます。なぜならわれわれは、そうするために常にドルを刷れますから」と答えたという(金融ジャーナリスト、森岡英樹さんのコラムから)。
お札を刷れば借金だって払えるし、石油でも何でも買えるのは通貨覇権国米国の特権である。中国はその米国を手本にして人民元の国際化を進めている。かつては「円の国際化」をさんざん議論しておきながら、何の成果も得られなかった日本とは大違いである。
グラフを見よう。2013年、中国の対外貿易での人民元による決済額は日本のそれの円による決済額を初めて上回った。人民元は7080億ドルで前年比57%増、円は16%減である。今年は人民元決済が加速し、年前半の実績値から推計すると、円建て決済の倍近くに膨れあがる勢いだ。日中とも自国通貨建て貿易は東アジアが主であり、東アジア圏で円は人民元によって駆逐されつつある。
人民元によるビジネス取引を増やしている国や地域は、人民元を手元に持たなければ払えず、中国との貿易にますますのめり込むようになるので、政治的立場に影響する。中国の海洋進出を東南アジア諸国連合(ASEAN)各国が警戒しても、その足元では経済の対中依存が高まっており、結束して毅然(きぜん)として中国に対峙(たいじ)できるはずがない。
習近平国家主席は米国に対抗して積極的な通貨攻勢をかけている。一つは、日米主導のアジア開発銀行に対抗する「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」で、中国主導でアジア各国のインフラ建設を支援するという。もう一つは、BRICS5カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)共同出資による発展途上国向けの新開発銀行で、本部を上海に置く。新興国・途上国の外貨準備合計の約5割のシェアを持つ中国は、それを見せ金にして、人民元建てによる投融資を一挙に拡大して、ドルに挑戦する構えだ。
それに対して、日本の財務省官僚には全くと言ってよいほど、危機感がない。財務省国際局で「円の国際化」に取り組んだはずの中尾武彦アジア開発銀行総裁は「AIIBを創設するなら立派なものを作ってほしい」と中国にエールを送らんばかりだ。国益や国家戦略というものが念頭にないこの姿勢は、消費税増税を安倍晋三首相に呑ませて、アベノミクスと日本経済を窮地に陥れても何ら痛痒(つうよう)を感じない財務省主流派官僚の考え方と変わらない。
本来、安倍首相はアベノミクスによって「強い日本」を取り戻し、膨張する中国と対峙する戦略を原点に据えていたはずだ。それが、官僚のいいなりになったために足下が崩れた。内閣改造も結構だが、安倍政権は官僚依存から完全に脱却するのが先決ではないか。 (産経新聞特別記者・田村秀男)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。