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日銀会合と、ECB理事会
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52639587.html
2014年09月04日 在野のアナリスト
昨日の内閣改造でも、正式に発表がはじまった頃から株式市場は弱含み、改造期待はイベントドリブン型の、出たら終いという形となっています。それでも今週は日銀決定会合、ECB理事会、米雇用統計などつづくので、小幅な下落にとどまっていますが、今日の日銀決定会合でも売りが目立ちます。一部で、景気認識に見直しが入れば追加緩和へのきっかけとなる、ともされていただけに失望を誘った形です。そんな中、黒田総裁による為替への言及がやや気になります。
「今の水準から円安になることが日本経済にとって好ましくない、とは思っていない」というものです。円安容認とされる発言ですが、昨日の国際協力銀行の渡辺総裁が「かなりの産業でこれ以上の円安は、損益のマイナス要因」と発言しています。真逆のようですが、二人とも間違えています。黒田氏は日本経済を対象とし、渡辺氏は企業を対象としますが、対象が逆なら正解、つまり日本経済全体にとってはマイナス、輸出企業にはプラスです。輸出企業は一度も国内を通らない、もしくは国内で製造したものを海外で組み立てるだけなので、コストプッシュの悪影響は軽微ですみます。しかし内需系の産業、及び国民にとっては更なるコストプッシュ型のインフレが昂進し、打撃は大きくなるでしょう。残念ながら、この国の経済を指揮する立場にある人間の、これが能力です。
さらに黒田氏は、消費税増税の影響は「徐々に薄らぐ」、再増税に関しては「財政健全化に極めて重要」、「国の信用に関わる」と述べます。しかし翻ってみれば、日銀が大量の国債買いを続ける限り、日本国債の暴落はおきないのですから、今こそ増税を先延ばしできるチャンスです。逆に、再増税して景気が悪化した後、日銀で膨張している資産に懸念が生じて、国債買いを終了したとすれば、それこそ国債暴落を招きかねない事態になる、ということにもなります。
やっと景気が想定より下ぶれしていることを認めましたが、追加緩和を打ち消してきました。そんな中、ECBは政策金利を0.1%引き下げて0.05%に、マイナス金利も0.1%上乗せして0.2%としました。誘導効果はありませんが、ユーロは対円、対ドルで大きく下げています。デフレが意識され、先手を打った形ですが、量的緩和については今のところ、言及はありません。
欧州が厳しいのは、6月にうった緩和策以降もデフレの昂進が止まらないこと。だから効果がでる水準を探り、探り、対策をうっている。資産担保証券(ABS)の買取も協議されているとされますが、残念ながらマネタリーベースでは改善できない。結局、欧州がその成長にすがろうとした中国、露国が経済面で崩れているため、実は構造的にかなり深刻な事態に陥っているのが実状です。
日本が厳しいのは、経済政策の担当者がいずれも能力不足であること。増税の影響は徐々に緩和、と述べるなど、景気認識がおかしい。昨年は高い収益をあげた企業が賃上げしても、実質賃金が目減りしているのに、さらに再増税したり、物価が上昇したとき、一体誰が消費するのか? についてまったく整合性のある説明ができず、対策もない。円安にすれば、輸出が増加するという経路を想定したいたのが、すでに崩れたのに、未だにそれに変わる施策を打ち出せないことが、端的にそれを表します。黒田氏が、海外から批判され始めると、日本は海外から総崩れ、と看做されることになるのでしょう。今は緩和すれば何となく評価される中央銀行総裁ですが、その価値観がいつ変わるのか? 日銀が政策を変える前に、緩和=よい中銀の態度、という認識が変わってしまうことが、日銀が真に怖れていることなのかもしれませんね。
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