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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140904/dms1409040830003-n1.htm
2014.09.04 「日本」の解き方
総務省が8月29日発表した7月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出について、世帯人数を調整した上で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月に比べ5・7%減少した。4カ月連続のマイナスである。
4カ月連続のマイナスは、東日本大震災で消費が低迷した2011年3月〜11月の9カ月連続減以来の長さだ。直近4カ月間の平均をとると、7月の数字は5・2%減と、統計が容易に入手できる1982年4月以降の32年間で最悪だ。
これを消費税が導入された89年、税率が5%になった97年と比べてみよう。7月の数字をみると、89年が0・0%、97年が3・0%増と過去の消費増税時には消費はほとんど戻っていたが、今回は5・7%減。4〜7月の平均は89年が0・6%減、97年では1・2%減であり、今回の5・2%減はそれらと比べてもダントツに悪い。
こうした事態に対して、「天候不順による影響」「実質賃金の低下」「駆け込み需要の反動減の長期化」などと説明するエコノミストや政治家もいるが、こうした見方は妥当なのだろうか。
まず、天候不順くらいで、こんなに悪い数字にならない。過去32年間において、7月の5・7%減は7番目に悪い数字だし、4〜7月の4カ月平均では最悪だ。
天候不順は昨年もあった。果たして天候不順でどの程度を説明できるのだろうか。天候不順で説明できる程度はどれだけかを政府に問い詰めれば、原因の一つであるが、主要なものではないというはずだ。
実質賃金の低下も原因としては怪しく、単なる結果であろう。というのは、賃金は典型的な遅行指標である。つまり、賃金交渉は通常年に一度しか行われないので、賃金上昇は景気にかなり遅れて起こる。ところが、物価上昇は賃金より遅れない。ということは、景気回復過程で、実質賃金が上昇するのはそう珍しくないことだ。賃金というと、増税から焦点をそらすことができるので、こうした言い方なのだろう。
駆け込み需要の反動減の長期化というのも奇妙な表現だ。駆け込み需要とその反動減は、消費時期が異なるために起こる現象で、通じてみるとプラスマイナスゼロになる。ところが、今回の増税では、可処分所得が減少しているので、反動減に加えて、消費が減少する。それなのに、反動減の一部のように表現するのは間違っている。素直にいえば、消費増税による消費の減少である。どうして、こうした簡単な話をわざとわかりにくくいうのだろうか。
89年には消費税導入とともに物品税廃止があった。97年には先行する所得税減税があった。ところが、今回は「ネット増税」なので、その分可処分所得が減少し、消費が低迷するわけだ。
8月29日に経済産業省から発表された鉱工業生産統計をみると、在庫増の状態になっており、標準的な在庫循環分析では既に景気の最終局面になっていることが示唆される。このままでは7〜9月期も良くならないだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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