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世界の外貨準備、ドル最低の60%
3月末、資源国通貨に存在感 多様化、市場に影響
世界各国が外貨準備として保有する通貨の多様化を進めている。国際通貨基金(IMF)によると、今年3月末時点の各国・地域の外貨準備のうち、米ドルの比率は60.9%と、1999年のユーロ発足以降で最低水準となった。豪ドルなどの資源国通貨や中国人民元が存在感を増している。外貨準備に採用されると通貨の信認が高まり売買が増える。外国為替相場にも影響を与える可能性がある。
3月末時点の外貨準備のうち、通貨構成が分かっているのは6兆1755億ドル(約640兆円)このうちドル建ては3兆7632億ドルで、全体に占める比率は60.9%と、前年同月末から約1ポイント低下した。
ピーク時73%
基軸通貨である米ドルの比率は、2001年6月の約73%をピークに長期低下傾向が続いている。10年に欧州債務危機が生じユーロの信認が揺らいだが、ドル回帰にはつながっていない。円は外貨準備に占める比率でドル、ユーロに次ぐが、99年の6%から今年3月末には4%に低下した。
存在感を増しているのが高金利の資源国通貨だ。3月末時点で1.9%のカナダドルと1.7%の豪ドルの台頭が目立つ。両通貨を合わせると3.6%で、円に匹敵する。日米欧の異例の金融緩和が長引くなか、運用面で有利な高金利通貨へのシフトが進む。
中国、日本、サウジアラビアに次いで世界で4番目に外貨準備が多いスイスは、6月末の外貨準備に占めるカナダドルの比率を4.4%と前年同月末から0.4ポイント引き上げた。
南アフリカも中央銀行が昨年11月に豪ドルなどへ外貨準備を多様化させる方針を表明した。
将来的な国際通貨への成長を見越して、中国人民元を外貨準備に積む動きも広がる。昨年10月には台湾中央銀行がすでに人民元を外貨準備に組み込んだことを明かした。「すでに10カ国・地域超の中央銀行が人民元を外貨準備として活用している」(国際金融筋)
緩和縮小が焦点
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「今後はひとまずドル離れが一服する」と見る。
新興国の台頭で世界経済に占める米国の存在感は低下しているが、ドル建て取引は世界経済の隅々まで普及している。米国は異例の金融緩和策からの「出口」に着手した。利上げが始まれば、運用面で準備通貨としての魅力低下に歯止めが掛かる。
米国が金融政策の正常化に失敗し金融危機を招けばドルの信認が傷つく懸念は残る。08年の金融危機は外貨準備のドル離れが進む一因となった。米国債の買い手の減少などを通じて米経済を不安定にさせる可能性がある。
[日経新聞8月31日朝刊P.3]
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