http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/234.html
Tweet |
グーグルなど、3Dプリンターで生産
オーダーメード携帯・宇宙船部品・住宅… 最終製品化、米が先行
【ワシントン=川合智之】米グーグルなど米国のIT(情報技術)企業や航空宇宙産業などで3次元(3D)プリンターを使ったものづくりが本格化し始めた。金属やセラミックス、コンクリートなどの素材に応用が広がり、携帯電話や航空機エンジン部品、住宅などの最終製品を生産する動きが出てきた。部品の試作などにとどまる日本より数歩先を行く動きで、米政府も次世代の中核技術として支援する。
グーグルと3Dプリンター大手の3Dシステムズは、顧客の好みに合わせた携帯電話をつくる3Dプリンターを開発した。複数の3Dプリンターで流れ作業のように部品をつくることで、従来の50倍の速度で量産できる。機能や外観を自由に選んで部品を組み合わせるオーダーメード携帯電話を実現する。2015年にも実用化を目指す。
3Dプリンターは金型が不要で1品ずつオーダーメード加工ができるため、「究極の少量多品種生産」が可能となる。半面、加工スピードが遅いため大量生産には向かないとされてきたが、グーグルのように消費者向け製品の高速生産も取り組みが進む。
樹脂だけでなく、金属などに使用素材の幅が広がったことで、最終製品への応用の裾野が広がっている。コスト削減効果も大きい。
米宇宙ベンチャーのスペースXは国際宇宙ステーション(ISS)に向かう宇宙船ドラゴンのエンジン部品を、ニッケル合金を使って3Dプリンターで作製した。「わずかなコストと期間で、頑丈で高性能なエンジンができる」とイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は説明する。
米ロケット機器大手のエアロジェット・ロケットダイン社は3Dプリンターで製造した部品を使ったロケットエンジンの実証試験に成功した。通常は数十個の部品を組み合わせてつくる部材を、複雑な形に加工した3つの部品だけで作製した。1年以上かかる製造期間を数カ月に短縮、製造コストも65%減らした。
ボーイングは旅客機や戦闘機、人工衛星など10種類以上の製品に、3Dプリンター製の部品を採用した。ゼネラル・エレクトリック(GE)は欧エアバスの次期小型機向けに、3Dプリンターで燃料ノズルをつくる航空機エンジン工場をインディアナ州に建設する。
次世代製造業の起爆剤として、米政府も活用を後押しする。オバマ米大統領は「3Dプリンターは25〜30年前のインターネットのように未成熟だが、大きなチャンスがある」と将来性に注目する。3Dプリンター技術の産官学研究拠点をオハイオ州に設立した。
建設への応用も広がりそうだ。南カリフォルニア大学は3Dプリンターでコンクリート住宅を建設する技術を開発した。4人の作業員で230平方メートルの家を18〜19時間で建てられる。建設コストは6割減りゴミも出ない。同大は米航空宇宙局(NASA)と協力し、月や火星での住宅建設計画も検討し始めた。
3Dプリンターとは
▼3Dプリンター インクのように材料を吹き出して3次元で造形する製造装置。高価な金型や熟練工の削りだし技術に頼らず低コストで高品質な加工が可能で、革新技術として注目を集める。米調査会社ウォーラーズ・アソシエイツによると2013年の市場規模は前年比35%増の30億7千万ドル(約3100億円)で、米国は累積出荷台数の7割を占める。
[日経新聞9月2日夕刊P.1]
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。