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内閣改造と市場の上昇(在野のアナリスト)
http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/232.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 9 月 02 日 23:14:06: igsppGRN/E9PQ
 

内閣改造と市場の上昇
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52639401.html
2014年09月02日 在野のアナリスト


今日、自民党の次期幹事長に谷垣法相の名前が浮上しました。宏池会の重鎮ですが、違和感があるのは、安倍首相とは多くの点で主張が異なることです。政高党低が危惧される安倍政権で、谷垣氏の意向が通るのか? またただでなくとも福島、沖縄県知事選の苦戦が伝えられ、また統一地方選も危ないとされる。かつて総裁でありながら、首相が経験できなかった悲運の人である谷垣氏に、また泥を被せるつもりか? といった宏池会すら敵に回しかねない、これは博打にみえます。

親中派でもある谷垣氏で、融和路線か? とも囁かれますが、全く関係ないでしょう。外相が交代するならまだしも、岸田氏のままなら外交姿勢に変化がない。それより、財務省シフトが顕著になった、という方が重要です。党内を10%でまとめてくれ、という安倍氏の意向をうけて、谷垣氏が動くのなら、谷垣スケープゴート説が党内をかけ巡ることになるかもしれません。

市場はこちらのニュースに反応しました。塩崎氏の厚労相就任の話です。日銀出身でグローバリズム、GPIF改革にも前向きとされます。しかし政権が小出しにしてきた改革の中身によって、逆にそれ以上の内容は出てこない。ロードマップ通りに株式、海外の投資比率を上げるだけで、特段のサプライズが期待できるわけではありません。それより、今日の上昇は欧州系の事情、という点が大きいと見ています。日経平均とTOPIX先物のロングポジションが、過去最高レベルまで積み上がり、円売りポジションも10万枚を越えてきた。かなり重い状態になっていました。

実は明日、明後日ははねる、と見ていましたが、それはECBの追加緩和期待を狙うイベントドリブン型のCTAスジ、という流れです。昨日まで無視していた内閣改造を、今日になっていきなり材料視した理由は塩崎氏となるのでしょうが、1日前倒しせざるを得ないほど、ポジションが傾いていた。またGPIF改革で、年金が買わないとこのポジションを解消できない、待望論に市場の反応も大きくなった、というのが今日の大幅高の原因であり、日経ミニなどは欧州系による桁違いの買い越し、が目立ちますし、先物の買いこしにも欧州系が目立つなど、欧州祭りだった印象です。

厚労省から発表された7月の毎月勤労統計、現金給与総額が前年同月比2.6%増、という見出しが多く躍りますが、物価の影響を考慮した実質賃金は1.4%減。6月の3.3%減よりは小さくなったとはいえ、未だに生活苦を抱えた状況です。しかも今回、所定外給与が3.3%増、賞与が7.1%増と、その寄与度が大きかったのに、実質賃金が目減りするのは物価上昇と増税が、深刻なことを意味します。

幹事長に谷垣氏をおき、財務省シフトによる消費税10%路線を、厚労相に塩崎氏をおき、日銀シフトによるマネタリズム路線を敷く。寡聞にして、塩崎氏の労働法制の考え方は存じませんが、主義・主張から推測するに、雇用の流動化を推進する、いわば竹中路線に近いのか、と感じます。実質賃金の目減りがつづく中、GPIF改革よりももっと大きな、実は労働法制にどうメスを入れるのか。そこがもっとも大事なところであるべきです。もしこのまま、人事が断行されるのなら、安倍政権は益々市場重視で、労働者への目配りは期待できない、となるのでしょう。そもそも脱デフレとは語られますが、実質賃金の目減りについて、安倍政権からはこれまで何の言及もない。労働者の方をむいていない、国民の方を見ていない、その目は市場の上昇に一喜一憂するだけ、ということが内閣改造でもはっきりしてくるのかもしれませんね。


 

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01. 2014年9月03日 05:57:51 : jXbiWWJBCA

日本の国債市場:量的緩和で市場が凍結
2014年09月02日(Tue) The Economist
(英エコノミスト誌 2014年8月30日号)

日本国債のトレーダーは、中央銀行が市場を窒息させていると言う。

 15年にわたる日本のデフレ不況の終結を目指す試みの一環として、日銀は新規発行される日本国債全体の7割前後を購入している。これで日本のインフレ率を、来春までに2%という日銀の目標まで押し上げられるかどうかは、依然不透明だ。インフレ率は辛うじて目標の半分まで来たところだ。


 しかし、非常に大規模なこの国債購入は間違いなく、日銀が予測しなかった形で世界第2位の国債市場を歪めている。

 日銀は月間7兆円の日本国債を買い入れている。現時点で、日銀は政府の国債発行残高のほぼ2割を保有している。

 国債の売買高は、価格のボラティリティー(変動)とともに、劇的に減少した。今年4月には、直近で入札された新発10年物国債の売買がゼロだった日もあった。

売買が細る市場、民間部門が価格に影響を与える余地なく

 その結果、民間部門が国債価格に影響を与える余地がほとんど残されていないと、野村証券の松沢中氏は言う。失業率が低く、物価が緩やかに上昇している―ー通常なら利回り上昇の前兆となる現象―ーにもかかわらず、依然として国債価格は高く、利回りが低い。10年物国債の利回りは現在0.5%で、日本の基準をもってしても低く思える。

 国債価格が高止まりしている理由の1つは、金融機関が日銀が望んだほど国債を売らなかったことだ。日銀は、利回りが低下すれば、金融機関が保有資産をよりリスクの高い資産に移すようになり、経済を刺激すると考えていた。2013年に日銀が初めて国債購入に踏み切った直後の数カ月間は、日本最大手クラスの銀行が日本国債を売ったが、現在は概ね国債売りを止めている。

 国債中毒で悪名高い地方銀行は、保有国債にしがみついており、最近ではさらに買い増している。

 日銀が資産購入(専門用語で言うところの量的緩和)に乗り出す前から、既に日本国債の売買は若干細っていた。ほとんどの市場参加者は、長期の買い手であり、全員が同じ方向に動く。市場の停滞状態は、利回りの急騰を招くことなく量的緩和策を打ち切ることを一層難しくする。

 しかし、日本をデフレから脱却させるためであれば、市場の多少の機能不全は小さな代償だ。実際、この状況が心配なのは債券トレーダーだけだという意見もある。資産運用会社アーカス・インベストメントのピーター・タスカ氏は、債券トレーダーの稼ぎは以前よりかなり落ちていると言う。

 売買高が回復しない場合、債券売買のトレーディングデスクを縮小すればいいと、債券運用大手ピムコの張毅氏は言う。一部の欧州銀行は既に、日本国債部門を大幅に縮小している。

追加の量的緩和はあるか?

 極端なところまで進んだ場合、市場の枯渇は問題となり、政府による国債発行と日銀による国債売買が難しくなる恐れがある。それより差し迫った懸念は、不活発な市場が、日銀が年内に量的緩和を拡大することを阻むことになるかどうか、だ。

 2%のインフレ目標はまだ遠いが、国債購入を増やせば、いよいよ中央銀行が財政赤字を埋めているように見えるようになり、量的緩和を終える時に一層難しい調整が必要となるだろう。

 松沢氏は、日銀はむしろ国債購入を減らすことで、来年、市場が呼吸する余地をもっと作るべきだと主張する―ーだが、今のところ、それは希望的観測のように思える。 


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41621


 

地政学的混乱の中にあっても楽観的な展望
米国の投資家たちとの昼食会から
2014年09月03日(Wed) バイロン・ウィーン
 過去数十年間、私は毎年夏にロングアイランド東部で週末を過ごす真面目な投資家を集めて一連の昼食会を催してきた。ロングアイランド東部は比較的涼しく風光明媚で、日頃気を張りつめている人たちがリラックスできる場所だ。今年も約90人が8月の4回の金曜日の昼食会に参加した。

 参加者の多くはよく知られた人たちで、ビリオネアーが何人もいた。ヘッジファンドマネジャー、企業経営者、アクティヴィスト、企業買収の専門家、不動産業界の大物、プライベートエクイティ業者、ベンチャーキャピタリストなどがいて、それぞれの日頃の業務からすれば多様化していたと言える。平均年齢を下げるために新しいメンバーも加えている。

 過去2回の夏季の集まりでは参加者は総じて楽観的な見通しを持っていたので、今年は不安定な世界情勢を受けて彼らのムードが果たして変わったかどうか興味があった。

 その答えは、投資家は例外なく、自分たちは地政学的な脅威からうまく逃れることができ、米国経済あるいはその金融市場はほとんど混乱なしで済むと信じている、ということだった。

 少数だが悲観的な見方を持つ人たちもいた。

 1人は、北米上空の人工衛星が核爆発によって電磁パルスを放出し、全米の送電網を破壊し、その結果飢餓と混沌をもたらすこともあり得るという可能性を指摘した。

 少数の人たちは地政学上の混乱が拡大すると危惧していた。

 大多数は明るい見通しを抱いてたが、しかしこれはウクライナ危機がすでにヨーロッパ各国の経済に影響し、イタリアは不況下にあり大陸経済の牽引車であるドイツでさえ景気下降しつつあるという事実をまともに受け止めているとは言えない。もしヨーロッパが再び不況に陥れば米国経済は何らかの影響を間違いなく受けるだろう。

 個別の問題で最大の懸念は、イラクとシリアのイスラム国(ISIS)が軍事的に手強いことが判明して米国が地上部隊を中東に再派遣するかもしれないということだ。参加者の1人はこれから25年以内に西側はイスラム世界と大きな戦争をするのではないかと心配すると結論づけた。

 別の人は、衝突はもっと早く起きるだろうと言った。多くの人が、イランが核保有国になるのを妨がなければならない、さもなければ中東における軍拡競争を招いてこの地域全体を不安定化し、石油価格が高騰すると危惧した。

 その他、ウクライナが最も深刻な問題であると考える人もいた。なぜならプーチンは世界のリーダーとしての自己の立場を守り、経済制裁以来悪化しているロシア経済の状態のつじつまを合わせるためにウクライナで勝利する必要があるからだと。

 中国が軍事力を強化し、日本とフィリピンを無視して南シナ海における漁業権を奪おうとしていると危惧する人もいた。中国はまたベトナム沖の海底掘削権を狙っている。

 参加者のほとんどはハマスとイスラエルの紛争は断続的に停戦しつついつまでも続くだろうと考えていた。

上昇する金利

 これらすべての問題をもってしても、昼食会参加者がS&P500が2000以上(もうすぐ到達しそうだが)のレベルで2014年を終えるという思いを捨てたわけではなかった。今年の昼食会が始まったときは1930であった。大方は今年後半の実質GDP成長率が3%程度だろうと考え、2%がより現実的と思った人はほんの僅かだった。

 連銀(FRB)の方針についてほとんどの人は最近の経済の軟化にもかかわらず短期レートを2015年6月以前に上げると予想した。これは驚くにはあたらない。金利の低水準が益よりも害をもたらすという事実について若干議論された。低金利は企業及び不動産業者の借り入れにとって魅力的であり金融資産価値を増大させるが、年金暮らしの者にとっては、短期固定金融商品による収入は5%というよりは1%以下であるから、打撃が大きいということだった。そのような人たちが現金収入のほぼ100%を支出しても、上位10%の高額所得者が収入の僅かな部分しか支出しないとすれば、消費購買は低金利によって低下していることになる。

 昼食会参加者は投資成果の増加で利益を得ているので金利上昇を懸念していたが、そのうちの1人は、連銀による短期金利の引き上げは通常数回行われるので、市場は引き締めのいかなる兆候にも敏感に反応するものの、株価に影響するのはその後であると指摘した。

 長期金利について参加者グループは10年国債が年末には3%よりも2.5%になりそうだとの感触であった。安全な投資先を求めてあふれる流動性が金利を低水準に抑えるだろう。つまるところドイツの10年国債は1%以下である。

 誰もインフレが今すぐ深刻化するとは思っていなかったが、何人かのプライベートエクイティ関係の人たちは賃金上昇プレッシャーを予想し、それが続くと利益率に影響しかねないとしていた。

 低金利と景気回復を通して増大する需要にもかかわらず、新しい商業ビルとホテルの建設はそれほどではない。資金は世界中から米国の既存不動産に注がれつつある。小売りスペースはそれほど恩恵を受けておらず、インターネットによるインパクトの影響でしばらく不振が続くかもしれない。住宅価格はデータが示す以上に早く上がっているが、それが住宅の新規着工を刺激するほどでもない。しかし集合住宅の建築は顕著な改善を見せている。若い世代はよりフレキシブルなライフスタイルを望んでいる。彼らは遅くまで働き、外食して、帰宅するのは眠り、シャワーを浴び、服を着換るためである。彼らには小さいアパートで十分なのだ。

過熱気味のM&Aと技術変化

 ほとんどの人は現在進行中の過熱気味のM&Aは主に戦略的なものであって買収企業の競争力を強化するが、その過程で重複する管理部門が整理され多くの職が奪われるだろうと考える。M&Aの議論で最も悩ましかったところは、企業が全体的な見地から選択肢を検討して、新しい工場を建てて新規雇用を創出するより戦略的に合致する企業と一緒になるという決断をすることであった。このような決断の背景には収益見通しの悪さが大きく影響している。その結果より多くの構造的失業につながりかねない。

 また一般的に効率の悪い企業に注目し、それを改善努力するアクティヴィスト的投資家が肯定的に見られた。しかしアクティヴィストは一旦会社を支配すると利益を上げるために研究開発予算を打ち切る恐れがある。

 現在利益率が過去最高水準にあり、これが平均水準に戻ることを心配する人がいたが、大方の人はしばらくの間現在の水準に留まるだろうと考えていた。

 技術変化のスピードについても有意義な議論をした。1980年以来様々な大きな発展があったので、果たしてこれからの30年間も、前の30年間と同様に発展するのかと問うたところ、技術変化の先端で仕事をしている人たちは強く反論した。彼らはシリコンバレーの企業家[起業家]活動は無限で、新興企業は私たちが過去に経験した以上のスピードで世界を変える発想を展開しているという。医療、農業生産、エネルギー消費やその他の分野で大きな変化が出てくるだろう。

 それらに付随した弊害も当然出るだろう。革新の結果、職場がなくなり、働き場所を求める需要が増え、そのためにより高い教育や数量的能力が求められることもあるだろう。現在米国には460万の雇用機会があるのに失業者の多くはその仕事に就くための技能を持ち合わせていないのだ。

 また私たちの生活の質に影響を及ぼすサイバー攻撃という危険もある。知識豊富な参加者は、私たちは今まで大きな災厄を避けるのにうまく立ち回り幸運だっただけだと言っていた。ハッカーは、多くが東欧及びアジア出身だが、私たちの銀行システムに侵入しようとしており、もし大手金融機関が閉鎖され営業ができなくなったりしたら経済全体にインパクトを与えかねない。リスクとして、ハッカーたちはサイバーセキュリティーを構築する人たちの先を行っており、このような厄災が今後数年で必然的に起こる危険性がある。

原油価格と各国の成長の展望

 その他のアセットクラスでは以前とは対照的に金に対する関心がほとんどなかった。若手投資家にはビットコインが容認されるだろうという意見もあった。

 参加者のグループは一般的に商品市場にそれほど興味はなかった。彼らは植物栄養素の応用技術が農産物の増産を促すと考えていた。ほとんどの人が石油価格はほぼ現在の水準に留まるだろうと考えていた。過去数年にわたり石油掘削に数兆ドルが投じられたが、それでもナイジェリア、イラク及びリビアでの生産が減少したために全体では横ばいである。米国およびヨーロッパでの消費は減少しているが、それ以上に新興国、特に中国からの需要が増えている。

 今から5年後にはブレント原油価格は新興国市場の需要によって120ドル近くまで上がりそうだ。しかし天然ガス価格は来年3ドル/MCF以下まで下がるかもしれない。世界の市場を見わたすとヨーロッパに関する懸念が明らかである。

 ウクライナにおける紛争の影響がドイツに認められるようになった。マリオ・ドラギ(欧州中央銀行総裁)はヨーロッパが再び不況に陥るのを防ぐためにさらなる金融刺激策を実施しなければならない。

 ほとんどの投資家は中国について楽観していた。新しい指導部が汚職追放を決意しているが、改革を効果的に実施するには長い時間がかかる。ある程度の銀行破綻があるだろうが、政府は7%の経済成長を維持するために刺激策をとるだろう。その目標を達成するために要する債務の増加は持続不可能であると危惧する。中国を肯定的に見る者は莫大な外貨準備を重要なセーフティネットと見なす。

 日本については構造改革と魅力的な株が多数あるということで前向きな見通しがいくつか述べられた。強い企業統治カルチャーの不在が難点であると訴える意見もあった。

 新興国市場では魅力的な中規模株が多数あると考えられるインドに関心が集まった。モディの選挙での勝利は投資家心理をかなり煽った。しかし、インドの理屈っぽい議会で改革を実行することが特に容易でないだけに、潜在的かつ根本的な改革が実施されないうちにインドの株式市場だけが先走っているとする懐疑的な見方もあった。

 問題含みのアルゼンチンには投げ売りされる多くの資産があるという理由で、ある程度の関心が寄せられた。一方でメキシコには政権が憲法および議会の双方を変革しつつあるという理由で支持する投資家が多かった。この国には豊富な石油埋蔵量があるが、インフラを改善する必要がある。米国の力強い成長の恩恵を受けるが、人身の安全が問題である。

 全ての会合を通して格差問題を議論した。この問題は、職場で要求される教育レベルがエスカレートするにつれてますます深刻になりそうだという点でほぼ一致した。テクノロジーとグローバリゼーションが失業労働者の数を増やしている。もっと多くの雇用を創出する計画があれば問題を多少とも解決するだろうが、新しい雇用がどこから生まれるのか多くの人は分からなかった。教育の改善だけで問題が解決することはないだろうという点でほぼ一致した。なぜなら格差問題には重大な社会的側面があるからだ。

 大規模公開オンライン講座(MOOCs)が教育効率を改善すると熱く期待する向きがあった。若者がビデオゲームを器用にこなすという理由でMOOCsが受け入れられると考えられるかもしれないが、それが普及するのに時間がかかるだろう。

 格差問題に関する1つの重要な点は若年層にある楽観論の減退だ。参加者全員が、格差は政治プロセスに要因があるようであり、恵まれない人々にもっと給付を提供すべしと提案している候補者が政治的には好ましいということで一致した。世界的な流行病、地球温暖化や現在の生活を支える飲料水の供給不足などについての気遣いはほとんど聞かれなかった。

米国の次期政権

 米国政府が今後2年間で何かできるかについてはほとんどの人が悲観的であった。議会の二極化は極端すぎる。11月に共和党が上院の過半数を取れば状況は好転するかもしれないと考える人たちがいた。大半の人はそうなることを期待した。

 相手が民主党であれ共和党であれ、議会と良好な関係を保とうとしないオバマの姿勢には誰もが困惑している。彼は自分が全能であり、議会は彼の英知に従ってついてくるべしと言わんばかりに振る舞っているようだ。彼は、リンドン・ジョンソンやビル・クリントンがしたように、誰に対しても自分の意見に応えてくれるよう説得を尽くしているとは思えない。医療保険制度改革法は問題ありと見られており、立法業績として確立しているとは見なされていない。

 参加者はこれまで大統領失政の6年間を生きてきたかのごとく感じ、これからの2年間も好転することはないだろうと思った。民主党であれ共和党であれ、2017年に大統領の座に就くのは誰であっても今よりはましだろう。参加者は総じて2016年の大統領選挙について責任を持って推測するのは時期尚早であると思っていたものの、ほとんどの人はヒラリー・クリントンが民主党候補になることを期待したし、参加者のうちの多くの共和党支持者さえ彼女が選ばれると予想した。エリザベス・ウォーレンが民主党のリベラル派の支持を得るとの見方もあったが、大半は彼女がカリスマ性、選挙資金調達能力や指名獲得の政治基盤に欠けると考えた。

 誰が共和党候補になりそうかコンセンサスはなかったが、ジェブ・ブッシュがヒスパニック票を集める能力があり、各種の政治課題の把握能力に長けているという理由で彼を熱烈に支持する声が聞かれた。

 4回の集まりを通して行われた議論を振り返ると、世界中の不安定な情勢と向かい合っている米国の展望に関して楽観的な見方が優勢だという印象を強く受けた。

 他地域におけるこんなにも多くの不安定な情勢に直面しながら、私たちの経済が繁栄し続けることができるのか疑問に思えた。加えて、サイバー戦争やテロリズムという脅威がある。私たちの政治プロセスは米国が直面する困難に対応できなくなっているように思われるし、格差問題はますます深刻化している。私たちが向き合っているこのような状況で十分な雇用を創出しつつアメリカ経済は前進することができるのだろうか?

◎本記事は、ブラックストーン・グループのストラテジスト、バイロン・ウィーン氏による市場コメンタリー(9月号)を転載したものです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41643


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