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保険会社が言わないホントの保険の話
保険は「安心」で選ばない 欧米に学ぶ合理思想
保険コンサルタント 後田亨
2014/9/1 7:00
日本の生命保険は必需品というより贅沢(ぜいたく)品――。海外勤務が長かった大手生保OBの方が最近、経済誌でこんな指摘をしています。欧米では保険にはできるだけ入らないのが常識で、企業が加入する場合も保障や期間は必要最小限にとどめることや、米国の保険料が日本の半額以下だという点を紹介。保険の位置付けや考え方がずいぶん違うことが分かります。
中身をもう少し詳しくみていきましょう。公的医療保険の普及率が低かった米国では民間の医療保険が普及しているものの、死亡保険は住宅ローンや富裕層の相続対策で加入する程度。高福祉の英国やフランスでは貯蓄型商品の利用が中心で、医療保険や死亡保険にはほとんど入らないそうです。
特に、がん保険が「欧米ではほとんど売られていない。欧米の保険会社の友人たちにもがん保険そのものを知らない人が多い」というのは興味深い点です。個人負担が公的保険で軽減される医療費のなかで、特定の病気を民間の商品で保障する必要を感じないのでしょう。民間保険はあくまで公的保障を補完するものとして必要最小限しか利用しない、という考え方がうかがえます。
その好例として紹介されているのが欧米企業の保険活用法で、特約などは付けず必要な保障だけを定期で一点買いし、貯蓄性にもこだわらないといいます。7月21日付「保険大国ニッポンを支える『考え抜かない加入』」で触れたように自分に必要不可欠な保険を吟味することなく、漠然とした不安や横にらみで「入っておけば安心」と考える消費者が少なくない日本の保険市場について改めて考えさせられる内容なのです。
さらに日本の保険料は高く、価格競争が進んでいる定期タイプの死亡保険でも米国の2倍以上だそうです。日本では保険金支払いの確率を高めに見積もっていることや諸経費が高いことに加え、加入者の健康状態などに応じた割引料率の適用が進んでいないことが背景にあると分析しています。このように公的保障制度が手厚い日本で高額な民間保険に入るのは贅沢品の域に達している、というのがこの筆者の趣旨です。
もちろん国を問わず、保険とどう関わるかは個々の消費者が決めることで、日本では日本なりの考え方があっていいでしょう。ただ私は安心料やお守りのような感覚で、死亡や医療、介護、貯蓄といった目的別に、一生涯にわたって保険を利用するのは経済合理性に欠けると思っています。
経済合理性といっても難しく考えたり、冷徹なイメージを持ったりする必要はありません。簡単に言えば、保険の仕組みに合った「無理がない」使い方を心がけるだけで、私たち日本人の保険は「贅沢品」ではなくなるはずなのです。
前回8月25日付「老後医療費、『貯蓄より保険』の損得勘定を疑う」でも取り上げた通り、保険の意義は「めったに起きないけれども、いざ直面したら手持ちの資金では対応できないような不測の事態に少額のお金で備える」ことにあります。若いときの大病や急死のようなまれなリスクに対応するため一定期間だけ加入するのが分かりやすい例です。これに対し中高年が他人事とは思えない不安を解消するために広く長く保険に頼るのは、保険の根本的な仕組みに合わないため多額の保険料がかかり、生活に無理が生じることになります。
どんな保険にどれだけ入ろうが自由ですが、ツケを払うのは消費者自身です。欧米の保険との付き合い方は、客観的にみても合理性があります。日本の保険が必需品として無理なく備えられる商品になるには、消費者が必要最低限の保障と期間を見極めることが欠かせないのです。
後田亨(うしろだ・とおる) 1959年生まれ。95年に日本生命に転職。2012年から保険相談室代表、一般社団法人バトン代表理事(13年に両者を統合し、バトン「保険相談室」代表理事)として執筆やセミナー講師、個人向け有料相談を手掛ける。07年に出版した「生命保険の『罠』」(講談社+α新書)で保険のカラクリを告白、業界に波紋を広げる。ほかに「“おすすめ”生命保険には入るな!」(ダイヤモンド社)、「がん保険を疑え!」(ダイヤモンド社)、「保険会社が知られたくない生保の話」(日本経済新聞出版社)など。
公式サイト(1)http://www.seihosoudan.com/
公式サイト(2)http://www.yokohama-baton.com/
http://www.nikkei.com/money/household/hokenhonto.aspx?g=DGXMZO7627228028082014000000&n_cid=DSTPCS008
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