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部下と競争しちゃったり… できる上司になるために避けたいこと〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140901-00000002-sasahi-soci
週刊朝日 2014年9月5日号より抜粋
『週刊朝日』の長友佐波子編集長が企業で輝く女性役員にインタビューする「フロントランナー女子会」。今回は外資系製薬会社・アストラゼネカの野上麻理執行役員です。プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパンを経て、2年前に同社に入社し、今年から現職に就いています。
* * *
長友:前職で学んだという、管理職のおもしろさってどういうところですか?
野上:自分一人でやるより大きなビジネスができるというおもしろさですよね。今、うちの会社の後輩を見ていても思いますけども、優秀な人間が陥りやすいのは、自分が優秀だと思っているので、とにかく人に仕事を任せられないってこと。あるいは、自分より部下のほうが専門知識がある場合、自分の存在価値を出そうと、部下と競争しちゃったり。
長友:あ〜、わかります。
野上:私も一時期ドツボにはまりまして。当時は独身で会社の近所に住んでいたんですが、家には寝に帰るだけ。あとは全部が仕事みたいな状態でした。
長友:ひとごととは思えない話ですけど(笑)、どうやって変わったんですか?
野上:私から見たら世界一賢いと思うような上司がいたんですが、彼女は人間関係も円滑で、部下に仕事を任せるのがうまかった。コツを聞いたら「みんな、すごい賢いから」とおっしゃったんです。それを聞いて自分がいかにおごっていたか痛感して。それからは腹を決めて部下に任せるようにしたら、自分が想像する以上の結果が返ってくることも増えて、私一人が長時間働いても意味がないことが身に染みてわかったんですね。これは肝に銘じていて、当時の私があったから、今の私がある感じです。
長友:でも部下から報告を待たなきゃいけないときは? あるいは、任せてもうまくいかない場合は?
野上:もう、待たない。社長にはたまに嫌がられますけど、会議中でも「あ、時間」と言って帰ります。それと信頼できる相手であるか、何を任せるかはキッチリ見極めなくちゃいけませんが、「任せる」と決めたら人を育てることを喜びにすることですね。自分の子供だって言うことを聞かないのに、部下は一生懸命、期待に応えようと頑張ってくれる。その姿を見ると苦痛じゃなくなりますよ。
長友:女性の活躍のために何かやっていますか?
野上:合併してから新卒を100人単位で採るようになったんですが、優秀な学生を採っていたら自然に女性が増えて、今、女性が育ってきている段階です。産休、育休をしっかり整備して、制度を活用してもらうこと。受け入れる側の上司の教育はもちろんですが、いちばんネックになるのは、子供を持つと本人が管理職は無理だと諦めることなんですね。そんなとき実際にできている上司がいると違いますので、どんどん女性の管理職の数を増やしたい。特に営業はそうですね。
長友:今、女性の管理職比率ってどれくらいですか?
野上:女性社員は約3割、管理職比率は16%。経営陣は8人中2人が女性で役員比率は25%。まだまだです。
長友:でも国内の企業と比べたらさすがですね。ちなみに、女性ならではの悔しい体験ってないですか?
野上:ないだろうと思っていたんですけどね。今の会社に入って幹部トレーニングのなかに「360度評価」という、上司や部下、同僚らからどう見られているか匿名でフィードバックしてもらうものがあったんです。そしたら「あの人が女なのはどうもしっくりこない」「偉い人なのに、関西のおばちゃんみたいで威厳がない」という意見があって。正直、すごいへこみました。
長友:どうされましたか?
野上:会社の飲み会強化月間に入りました(笑)。私、すごく飲むんですけど、子供が生まれてからは9時半に寝ているので、早々に帰宅していたのを少し頑張って残って。今まで以上に部下の本音も聞けたし、学ぶことも多かったですね。
長友:遅くなってご家庭は大丈夫なんですか?
野上:帰る時間が遅くなると、物理的にも子供の行動的にも家が荒れますので、会話を増やしたりと家にかける比重を増やしています。
長友:家も仕事も多忙で、ストレスたまりません?
野上:前職からビジネスマンは体力だとたたき込まれているので、体力には自信があって。私、マラソンが趣味なので、朝、アルコールを飛ばしながら走ってるとスッキリします。家だけでも仕事だけでもイヤ。どっちも好きなので両方やりたい。それが私のストレスのない形なんです。
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