04. 2014年9月01日 15:02:16
: nJF6kGWndY
>日銀の当座預金に置いておけば多額の罰金を払わされるのなら、「金利をあげるからお金を借りて頂戴ね」という話になる知能が低すぎるな 欧州ではドイツ国債の金利が低下しているのを知らないらしい ちなみに欧州はアベノミクスの第1と2の矢を採用する方向になりそうだが 構造改革など成長戦略が機能しなければ、結局、日本化し 米国以上に、一般労働者の実質賃金の下落は続くことになる (ただし再分配政策が強い分、格差は小さく、全体が貧しくなる形をとる) http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0GW1CX20140901 コラム:欧州危機の再発回避に向けた最善策=カレツキー氏 2014年 09月 1日 14:27 JST アナトール・カレツキー [29日 ロイター] - フランスのバルス首相がわざとらしく辞意をほのめかしたことと、欧州における深刻なデフレへの不安を合わせて考えると、ユーロ圏の危機がぶりかえしてきた可能性がうかがえる。しかし危機は変化の好機になる場合も多く、ユーロ圏市場はそうなることへの期待で盛り上がっている。 投資家や企業経営者は自らに3つの点を問いかけつつある。それは(1)欧州各国と欧州中央銀行(ECB)は予想外に低調なユーロ圏経済を方針転換の機会だと認識するだろうか(2)もし認識するとしてもどういう方法になるのか(3)彼らが必要とされることを行うのを、欧州経済を牛耳るドイツのメルケル首相は果たして容認するのか──といった内容だ。 まずは機会の話。欧州は依然として、日本型の失われた10年の経済的停滞から自らを救い出すチャンスを保持している。そしてこれが最後のチャンスかもしれない。というのも、欧州で10年間も成長が失われれば、日本とは非常に異なる社会的な騒乱や政治的な大混乱が生み出されかねないからだ。結局のところ、欧州には日本のような社会的なコンセンサス、国としての一体性、金融面のまとまりといった要素は見当たらない。欧州が、ユーロ圏、あるいは欧州連合(EU)の解体問題を浮上させることなく10年間も景気後退を乗り切っていけるとは、とても断言できない。 次の問題は、欧州が停滞と分裂に陥らないためにやるべきことは何かだ。明確な答えは、日本の安倍晋三首相が掲げた「3本の矢」の改革と同じような措置を打ち出すことになる。日本の3本の矢は完全に実行されているわけではないが、大胆な金融緩和と財政規律の柔軟化、需給両サイドに存在する長期的な弱さを改善するための構造改革で成り立っている。 ECBのドラギ総裁が先のジャクソンホール会議で行った発言から判断すれば、これらの3つの政策はすべて実現可能になりつつある。ECBは成長をより重視した金融政策運営を示唆し、EUの欧州委員会は財政ルールの柔軟性を高める解釈に前向きの様子で、各国は構造改革の推進を約束している。 問題はこうした示唆や約束にあまりに多くの条件や不透明性、但し書きなどの「逃げ口上」がついている点にある。ECBが米国や英国、日本が採用したような量的緩和の試行に踏み切るとしても、過去の行動パターンからすれば恐らく規模は小さ過ぎ、時期は遅過ぎる形になるだろう。つまりユーロ崩壊は食い止められても、欧州経済を不振から脱出させるほどの効力は発揮しない。 財政政策と構造改革の分野は、フランスにおける政局の混乱を見るともっと心許なくなる。オランド大統領は、バルス首相の辞意表明に対応し、モントブール経済相など数人の閣僚を更迭した。だがモントブール氏は、財政運用の柔軟化と歳出拡大を求めていた人物であり、ドラギ総裁が示した考えと極めて似ている。またモントブール氏が、金融政策と財政、構造改革の適切な優先順位づけの重要性を強調していたのも正しく、これはドラギ総裁、それ以前には国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事がまさに言及した点でもある。 大事なのは政府や中銀が実行する政策自体でなく、実行の順番ということだ。 これまでその順番を間違えたことが、欧州経済を悪化させた要因の1つであるのは間違いない。例えば金融緩和は、一時的な減税もしくは歳出増加といった財政刺激と一体になった場合により大きな効果を発揮する。しかし金融緩和と矛盾する形で早まった財政健全化が打ち出されれば、いずれの政策も失敗に終わりかねない。 構造改革は作用するまで非常に時間がかかり、短期的な成長は生み出せない。このため金融緩和や財政拡張の前提条件ではなく、マクロ政策の補完的要素とみなされるべきだ。長期の効率性を高める可能性がある半面、短期の成長を押し下げてしまう大幅な歳出削減は、欧州委員会やドイツが要求するように減税に先行して実施するのではなく、改革プロセスの最終段階にもってくる必要がある。 これらの理由やその他の多くの要素から、欧州が停滞から抜け出す積極的な意思があるのかについて疑ってかかることには、確かに妥当性がある。そこで最後の、そして最も重要な点として、メルケル氏が欧州を救うことができるかが問われる。 メルケル氏の公式発言を見る限り、その答えは「ノー」だ。ドイツ政府は公式には、EUの財政ルールを緩めるための協議すら拒んでいるし、IMFや米国、日本、中国などで支持される政策の優先順位づけの理論も受け入れていない。もっとも、これがメルケル氏の本当の立場なのだろうか、またそうであるとしても今後もずっと同じ立場を維持していけるのか。 フランスや南欧諸国の景気後退や対ロシア制裁のためにドイツ経済の勢いが弱まっている中で、メルケル氏もドイツの流儀を押し付ける強硬さが薄れてきている。同時にドイツに対して姿勢を変えるよう求めるフランスやイタリア、スペインからの圧力も高まっている。オランド大統領、レンツィ首相、ラホイ首相はいずれも指導力が国内で批判を浴びているからだ。 その意味でオランド大統領に対する閣僚の造反劇は、メルケル氏にとっても有効な戒めとなるだろう。メルケル氏があまりに頑迷であり続ければ、すべての仲間を失い、ルペン氏やモントブール氏、ベルルスコーニ氏といったドイツへの反感を隠そうとしない政治家からの恐るべき敵意にさらされかねない。これはメルケル氏が残したいと考える政治的実績ではない。 だからこそ、足元のフランスの政局混乱は、実はオランド氏とメルケル氏が少なくとも水面下で協調して演出した可能性も相当程度ある。オランド氏とメルケル氏は、最近の経済指標の低迷から、欧州にとって財政と金融両面の拡張がすぐにも必要だとようやく悟ったと仮定してみよう。メルケル氏としては、EUの財政目標緩和に頑強に反対し、量的緩和のような金融政策の「実験」には大きな留保条件をつけてきた手前、こうした認識を示すのは非常に難しい譲歩だろう。それでも面目を保つためには、「陽動作戦」が必要になる。そしてモントブール氏が財政拡張を求めながら、メルケル氏が欧州の経済政策を支配している点を攻撃したことは完璧な目くらましだった。 一方、モントブール氏を更迭したオランド氏は、欧州経済におけるドイツの主導権を受け入れ、EUの財政ルールを順守するというシグナルを送ることができた。だがメルケル氏に対してこれだけの「貸し」を作ったため、オランド氏はあらためて財政ルールを破ることができるようになった。こんな歪んだマキャベリズムの論理が、欧州に最高の希望をもたらすという構図は、EUが政治・経済両面でいかに機能していないかを示す材料の1つといえる。 *筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。 *アナトール・カレツキー氏は受賞歴のあるジャーナリスト兼金融エコノミスト。1976年から英エコノミスト誌、英フィナンシャル・タイムズ紙、英タイムズ紙などで執筆した後、ロイターに所属した。2008年の世界金融危機を経たグローバルな資本主義の変革に関する近著「資本主義4.0」は、BBCの「サミュエル・ジョンソン賞」候補となり、中国語、韓国語、ドイツ語、ポルトガル語に翻訳された。世界の投資機関800社に投資分析を提供する香港のグループ、GaveKal Dragonomicsのチーフエコノミストも務める。 |