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高騰する人件費と人材獲得費用/減少する若者労働力人口
時給1500円でもムリ? バイトを辞めさせないためには何が必要か
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/140830/ecd1408301701001-n1.htm
2014.8.30 17:01 SankeiBiz
減少する若年労働力人口、増える人件費、閉まる店舗……アベノミクスによって売り上げは上がったものの、どこにもいないアルバイト。外食産業にとって死活的な問題をどう乗り越えるべきか。
多くの企業がバイト不足に悩み、同時に社員の採用費も上昇している。一方で人手不足と無縁の企業もある。
「他社は60万、70万円かけていますが、うちは20万かかってませんよ。バイトの応募もどんどんきています」
そう語るのはユウシンの國松晃社長だ。グループ企業であるマックでは取締役副社長も務める。マックはこの6月、三光マーケティングフーズより「東京チカラめし」の直営店の約8割、68店舗の売却を受けた。國松社長はカラオケに始まり、牛丼屋、ラーメン屋など、多くの飲食店再建を手がけており、新進気鋭の「再生工場」として業界の注目も高い。
「実は3、4年前には年間の離職率が75%だったんです。これではいけないと思って、店長たちとの距離を近づけるために面談をとにかく繰り返し、研修も積極的に取り入れました」
さらにはバーベキューやボウリング大会といったレクリエーションの拡充を行い、加えて無理な長時間勤務で体調を崩さないよう、しっかり休みを取れる体制も整えた。
「おかげで去年には離職率は10%まで下がりました。そうなると社員とバイトのコミュニケーションも密になります。結果として、バイトは辞めなくなるし、紹介で人も入ってくる」
■バイトが殺到する店の特徴
國松社長は現場で活躍する社員やバイトとの対話を重視し、彼らの声にひたすら耳を傾け続けている。その中で数多くの気付きを得たという。
「体育会系的なノリでは若い人はついてきてくれない。バイトに接するときも、気遣いができているかセルフチェックしています。社員やバイトを大切にするというのはお題目に掲げるだけでは意味がない。ちゃんと自分の言動で示さなきゃ。上の考えをバイトに押し付けるのも時代にマッチしてないと思いますよ」
「30代後半の僕ですら、もう感覚が古い。だからバイトの若い子たちのアイデアをもっともっと生かしていきたい。そうすれば彼らだって一生懸命考えてくれるし、やりがいを感じながら楽しく仕事ができる。例えばうちのカラオケの制服は女子たちが『ダサいのはヤダ。もっとカワイイのがいい』って言いながら選び抜いたんです。自分たちで選んだカワイイ制服を着て仕事ができれば、お客さんに見てもらえる喜びだって生まれるでしょ。ラーメン屋だってそう。『こだわりの逸品』とかいっても、実際のところ業界は飽和してます。生きのいいアイデアは現場からしか出てこないんですよ。僕はバイトの子たちが必死になって考えたなら、マヨネーズが山盛りになったラーメンだってGOサインを出しました。そして、売れてるんです」
企業が制度改革や体質改善に力を入れる中で、人材育成熱が高まっている。サービス業に特化した研修を定額制で提供するグローイング・アカデミーの有本均学長に話を聞いた。
「人手の確保が難しいとなれば、せっかく獲得できた人材を外に放出するわけにはいかない。つまり、バイトが辞めない環境をつくらなければいけないわけです。バイトが辞めなければ、新人教育にリソースを割く必要もなくなります」
では、バイトを辞めさせないためには何が必要なのか。
「アンケートによれば、最大の要因はコミュニケーションがうまくいっているか。言い換えればバイト先が楽しいかということです。今日はあいつと一緒のシフトか、嫌だなみたいな気持ちでは当然長続きしません」
確かにバイトであれば、自分に合わないと思えば辞めてしまえばいい。売り手市場となっている現状であれば、より楽しく働ける職場を探してさまざまな職場を渡り歩くことも可能だ。
「実はそれに続いて重要視されているのが教育です。きちんとした教育、研修を受ける機会を与え、その努力を反映する仕組みがあるかどうか。バイトも厳しい目線で企業を評価しています。とはいえ、100人のバイト全員が向上心を持ってバイトを始めるわけではありません。でもやる気のある人間を50人に増やせるか、80人に増やせるかが問われています」
「やる気にあふれた人材が増えれば、それで企業の雰囲気が変わります。そういった環境がすでにできている会社や、人材枯渇を認識し、テコ入れを始めた会社でなければこれからは生き残れません。5年後、10年後には労働人口はさらに減ることは間違いないわけですから」
バイト情報誌「タウンワーク」の刊行やバイト募集サイト「フロム・エー ナビ」の運営を行うリクルートジョブズ。企業求人に長年携わる宇佐川邦子リサーチセンター長は変革が必要だと説く。
「これまで企業は、経験がなくても元気があれば育成はできるという考えのもと、若い労働力ばかり獲得してきました。しかし現実には若者が減っています。この構造的なミスマッチは10年ごろからずっと存在していて、それが顕在化しただけなんです。構造的な問題ですから、時給を上げれば解決するような単純な問題ではありません。例えばコンビニや牛丼屋では深夜の時給がぐんぐん上がったりして1500円というところもあります。でもそういう募集広告を見たときに、『このバイトは大変だったり、めんどうなことをやらされるから高給なんだろう』と考える人はたくさんいるんです。そうなってくると大事なのは、そこで働くことが『かっこいい』とか『ためになる』といった付加価値があるか、もしくは働きやすい環境を整備できているか、そしてそれらをわかりやすく人々に示すことができるかということです」
(ジャーナリスト 唐仁原俊博=文 村上庄吾、原 貴彦、市瀬真以、奥谷 仁=撮影)(PRESIDENT Online)
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