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7月の経済統計について
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52639010.html
2014年08月29日 在野のアナリスト
今日は7月の経済統計の集中発表日でした。結果は、月例経済報告のときに予想したように衝撃的でした。総務省発表の全国の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比3.3%増。消費税増税分を除くと、1.3%の物価上昇となります。しかしこの1.3%は6月と同じ。つまり騰勢が徐々に弱まっており、上昇圧力の低下を感じさせます。さすがに需要の低下に合わせて価格転嫁が鈍ってきた、ということがうかがえ、ふたたびすすみ始めた円安にも、逆行する動きとなります。
衝撃なのは総務省発表の家計調査で、消費支出が実質で前年同月比5.9%減です。しかも季節調整した前月比で0.2%減。夏ごろには回復、と謳っていた政府、経済評論家の予想を完全に裏切って、低下基調を強めてきました。4ヶ月連続低下の中、6月に数値が改善したのはボーナスの影響であり、政策対応がなければ景気は失速するのがほぼ確実、というほどの厳しい情勢です。
経産省発表の鉱工業生産指数速報値は、前月比0.2%上昇です。ただし市場予想は1.0%上昇であり、これは6月の大幅悪化からの反動が、予想以上に弱かったという結果です。出荷指数は0.7%上昇ですが、在庫指数は0.8%上昇しています。4-6月期GDPでも増加した在庫が、7月にも積み上がっている。これは将来において、生産調整を引き起こす重要な問題となる可能性が高いものです。
同じ経産省の小売販売額が前年比0.5%増でした。小売関連の業種は軒並み、売上高は減少している中で意外感もありますが、これは公共工事の前倒しで、例年にはない調達が増えたこと、が影響しているとみます。しかし経産省発表の数値が改善傾向であるのは、興味深いところです。
総務省の労働力調査は、完全失業率が3.8%と前月比0.1%上昇。雇用者は増えた、と盛んに喧伝されますが、実は『正規の職員・従業員』は7月も6万人減、この数値は横ばいか、低下が続いており、『非正規の職員・従業員』はここ4ヶ月30万人以上の増え方で、7月など60万人増となっている。つまり就労するのは非正規が圧倒的に多く、表にでてくる数値だけをみて改善、とするのは厳に慎まなければいけません。むしろ労働の質は、懸念を指摘される米国以上に悪化を続けており、これが国民の安心につながっていない、消費鈍化につながっている面があるのです。
しかも産業別でみると、公共工事が増えた建設業、スマホ関連の伸びやセキュリティ重視から情報通信、それに運輸の伸びが顕著です。実はいずれも長期雇用につながりにくい業種であり、こうしたものも影響しているのでしょう。つまり政策の打ち方がまずい、長期で安定して働ける職場に、国が重点投資していない、という点が見かけの改善と実態の差につながっている、といえるのでしょう。
7-9月の経済指標も、各証券会社などで下方修正の動きが出てきました。以前から指摘しているように、回復経路が見えないのに、夏ごろから改善といい続けてきたツケですが、金融政策、財政支出などの政策期待が、株価の下支え要因とされます。しかし上記の通り、これまで政策的に誤ってきたことが、この不均衡な改善につながっている、とみるなら、その反省もなく新たな手は打ちにくいですし、打ったとしても効果はないでしょう。概算要求は100兆円越えと華々しいですが、間違った政策経費で国庫を悪化させ、そのツケで更なる増税を余儀なくするなら、いつか国を破綻させるまで国のムダ遣いは改まらないでしょう。そのツケで、国民が財布のヒモを締めているなら、これほど本末転倒なことはない、ということになるのでしょうね。
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